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テレビが王様だった時代


上の記事の通り、昨年、民放キー局2社が赤字決算を出したことが話題になりました。サブプライムローンでの有価証券の特別損失を計上した影響もあるようですが、やはり目をひいてしまうのが広告費の削減による影響。近年、多くの企業がマスメディアにおける広告効果に疑問を持ち始めており、今回の不況を機に「コスト削減」を理由にして広告費を大幅に削減しているようなのです。
テレビ局にとって、広告費は最大の収益源。その低下は番組制作費の削減に繋がります。現在、テレビ局ではこうした状況に対応するために、大物芸能人を「リストラ」したり、ドキュメンタリー番組を増やすなどの策を検討して、色々と試行錯誤しているようです。
こうした方策がどこまで実を結ぶかはわかりませんが、出演者の知名度に頼らず内容の面白さで勝負するバラエティや、地道に取材した丁寧な作りのドキュメンタリーというのは、番組作りの正攻法ではないでしょうか。民放番組の視聴率低下も、よく耳にする話題ですが、かえってこうした模索が、より良い番組作りにつながっていくのかもしれません。
とはいえ、今回の問題の背景には、これまでにテレビ業界が想定していなかった技術革新や娯楽産業の変化に伴う旧来のビジネスモデルとの齟齬があります。

小寺信良の現象試考:テレビをおもしろくするいくつかの奇策 (1/3) - ITmedia +D LifeStyle

小寺信良氏のコラム『小寺信良の現象試考』では、こうした状況を踏まえて大きく三つの「奇策」を披露しています。現状を冷静に見据えた説得力のある提案もあり、はてなブックマークでは「奇策と言っても真っ当な分析に基づいて」いるというコメントや「ぜんぜん奇じゃない」などのコメントが付いています。

最近はてなブックマークの人気エントリーでも、「はてなでテレビの土踏まず」や「てれびのスキマ」を始めとした、テレビについて書かれたブログを見かけることが増えてきました。

昔に比べて娯楽が多様化し、多くの企業が消費者の時間のパイを奪い合っている時代に、テレビがこれまでのような「娯楽の王様」であり続けるのは難しいかもしれません。ネットでも風当たりの強いテレビ業界ですが、スイッチを入れるだけで受け身の姿勢で情報や娯楽を気軽に摂取できる、このメディアへのニーズが無くなることは考えづらい、と筆者は思います。

文: 稲葉ほたて

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