WBCで世界を相手に活躍したイチロー選手などが話題を集めていますが、スポーツではなくビジネスで世界を相手に活躍しようとする若者に向けた講演録が、話題になっています。その講演とは、ベストセラーになった『ウェブ進化論』などの著作で有名な、経営コンサルタント・梅田望夫氏によるもの。
「自分の力と時代の力」講演録（JTPAシリコンバレー・カンファレンス2009年3月21日） - My Life Between Silicon Valley and Japan
この講演は、日本人プロフェッショナルがシリコンバレーで働くのを支援するための「JTPA」というNPOが開催した「シリコンバレー・カンファレンス」で行われたものです。梅田氏曰く、「一般に、何かの仕事でうまくいくというのは、必ずしも『自分の力』だけではないのですよ。必ず『時代の力』というのがそこに重なっている」。そして、現代は若者を社会の前面に押し出してくれる「時代の力」が衰微しているとのこと。この他にも、「今僕たちの年齢だったらＩＴをやっていたか」という質問に、あえて「ノー」と答えたことなど、『ウェブ進化論』の著者だからこそ言える、冷徹な現実認識に基づく内容が語られています。
随分と厳しい内容の講演であるはずですが、はてなブックマークのコメント欄では、「（上記のような質問に対して）『ノー』と答える梅田望夫は信頼している」、「勇気づけられる」などのコメントがついています。こうした率直な物言いをあえて発する梅田氏の勇気には驚かされますが、それを真剣に受け止めることのできる、コメント欄に集う人たちの心の強さにも驚きです。
自己啓発本のように、読むだけで希望が満ち溢れてくるような内容ではありませんが、著者の人生経験から生まれた率直なメッセージが伝わってくる、読み応えのある講演録だと思います。ぜひ一読をおすすめします。
