芝生に寝転がってマンガを読める、「京都国際マンガミュージアム」に行ってきた

はてなブックマークではマンガ関連のエントリーを見かけることが多く、そうしたエントリーの中で、時折この「京都国際マンガミュージアム」は話題に上ることがある。だが、この施設の名前を聞いたことはあっても、実際にここへ足を運んだことはあるという人は、意外と少ないのではないか。

そこで、今回はこの「京都国際マンガミュージアム」に実際に足を運んで、その中の雰囲気を簡単にではあるが紹介してみることにした。

500円で一日中マンガを読み放題!

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中に入ると、壁一面にマンガを収めた棚(「マンガの壁」)があるのがまず目につく。実は、このミュージアムでは、当日入場料500円を払えば館内で一般公開されているマンガ(その数 5万冊!)を自由に読むことができるのである。ちなみに、マンガの博物館と聞くと、昔の貸本漫画のような資料的価値の高い作品ばかりしかないのではないかと思う人もいるかもしれないが、実はそうでもない。

館内の棚には、週刊少年ジャンプやりぼんに連載されている作品のような、それこそ漫画喫茶に置いてあるような最近の本も多く置かれている。ちなみに、館員の方の説明によれば、一般公開されている棚では、1970年代頃から2005年までのマンガ作品を置いているとのことであった。

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もちろん、上で写真に収めたような普段は中々読むことのできない海外のマンガや、『DRAGON BALL』のような日本の漫画の海外翻訳版、そして今は入手困難な絶版マンガなども置いてある。館内の蔵書は非常にバラエティ豊かだ。館内にいる人も、海外マンガをメモを取りつつ目を皿にして読んでいる人、制服姿で新篠まゆを読んでいる女子高生、「のらくろ」を読んでいる年配の方、そして外国からの観光旅行客と思しき人など、様々であった。

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また、このミュージアムでは、館内の明るくゆったりとしたスペースの中で、時には芝生に寝っ転がって自然光を浴びながら、自分のペースでマンガを読むことができる。マンガ喫茶のように、時間とお金に急き立てられながらページをめくり続ける必要は無いし、芝生に出れば、人と会話をしながら本を読むことだってできる。マンガを読むことの幸せが館内に漂っており、マンガ好きには非常に快適な空間になっている。

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なお、1階には少年漫画、2階には少女漫画、3階には青年漫画が並んでいる。ちなみに、上の写真は2階の少女漫画の棚。

不思議に懐かしい建物の雰囲気

ところで、この施設は廃校になっていた小学校を改修して作られたものだという。マンガという特殊な展示物を扱う博物館であることや、小学校という地域の活動における重要な場を利用すると言うこともあり、地域住民への繊細な配慮のもとに設立されたようだ。上の写真で来場者が寝そべっていた芝生も、休日には野球の練習や消防士の訓練に使われているとのことである。

そんな経緯で作られたこの施設は、なるべく元の小学校の雰囲気を活かすようにして設計されており、それが不思議に懐かしい雰囲気を館内に与えている。人によっては、かつて内緒で校内にマンガを持ち込んで読むときの背徳感を思い出して、ゾクゾクできるかもしれない。

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落ち着いた雰囲気の階段。こういうムーディな場所が随所にあるため、コスプレイベントの際などに訪れたコスプレイヤーたちなどは、良い写真が撮れると喜ぶのだそうである。

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校長室。写真右側の振り子時計は、壊れていた物をわざわざ修理して展示したのだとか。

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職員室を改築して作られた、子ども向けの絵本が置かれた「こども図書館」。名前には「こども」とついているが、混雑時以外は年齢を問わず誰でも入ることが出来る。お母さんたちの憩いの場になっていることもあるとか。


他にも、ここでは紹介できないが、かつてこの学校にいた子どもたちが卒業制作で描いた絵なども残されている。卒業生からも、自分たちの学校がこのような形で残ったことを喜ぶ声はあるようだ。

研究機関としてのマンガミュージアム

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館長室に置かれている、館長の養老孟司氏の顔を針金で模した像。ちなみに、この作品は一本の針金で構成されている。


京都国際マンガミュージアムとは、30年以上にわたってマンガ研究を続けてきた京都精華大学の提案に基づいて、同大学と京都市、そして地元の住民が一体となって作り上げた、世界でも珍しいマンガの博物館である。

このミュージアムに併設された京都精華大学の「国際マンガ研究センター」では、「マンガ資料の体系的収集・整備」「マンガの学術的・総合的研究」「マンガ活用モデルの開発手法研究」「ミュージアムによる研究成果の社会還元」という四つのプロジェクトが進行しており、ここでの研究成果を展示物という形で公開しているのが、この施設である。

したがって、1Fから3Fまでに公開されている5万冊のマンガは、一般公開されてはいるものの本来はマンガ研究の資料であるし、館内で行われている多彩な展示やイベントなども、研究プロジェクトの一環という位置づけになっているようである。とは言え、案内していただいた館員の方は「来場者の皆さんにとっては、マンガを楽しみに来ていただく施設です」とおっしゃっていたし、決して肩肘を張って訪れなければならないような場所にはなっていない。

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漫画家の作業机を再現。土・日・休・祝日には現役の漫画家が、ここで仕事をするとか。
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宮崎駿、浦沢直樹などにも影響を与えた、バンド・デシネの巨匠メビウスの企画展
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杉浦茂の展示も。島本和彦などが描いた杉浦キャラも展示されていた。
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AVホールにて、はてなと共同で行ったうごメモワークショップの様子。

この施設に収容されているマンガは全体で30万点を超えており、地下1Fに下りると、それら古今東西のマンガの資料が収蔵されているのを見ることが出来る。これらの本は、上の階のコミックのように気軽に手に取ることはできないが、研究・調査目的であれば閲覧登録を行うことで読むことができる。

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昔のジャンプやフレンドも置かれている。ちなみに、資料の多くは貸本屋や出版社、一般の方からの寄贈が多くを占めているとのこと。マンガの購入は、そうした資料を補う形で行われているようだ。

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マンガの定義は論者によって様々だが、このミュージアムではなるべく広く柔軟にマンガを捉えているようである。これは北斎漫画の原本。


一日の来場者数は、休日は1000人程度で、平日でも300~500人程度はあるという。館内のイベントを見るためにわざわざ地方から来る人も多いようだ。また、海外から京都に来た観光者の来場も多く、以前に調べた際には来場者の15%ほどが外国人ということもあったという。京都と言えば、長い歴史を持つ寺社仏閣などの建立物が多い観光地だが、そんな場所でこのマンガミュージアムは新たな観光スポットになり始めているようだ。

と言うわけで、筆者も活用してみた

えーっと、どうせだから、普段は読めない本でも読もうかね。梶原一騎の絶筆『男の星座』なんかはどうだろう。あれ、なかなか古本屋でも見かけないんだよね。どれどれ、館内の検索システムを使って……

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おおっ! あったぞ!

さて、芝生に寝そべって、じっくり読ませてもらおうかな。

京都国際マンガミュージアムの基本情報

  • 開館時間:午前10時~午後6時 (最終入館時刻: 午後5時30分)
    • ※ただし、2009年7月~9月は午後8時まで延長 (最終入館時刻: 午後7時30分)
  • 休館日:毎週水曜日 (休祝日の場合は翌日)と、年末年始、及びメンテナンス期間
  • 入場料は、当日500円で、その日の内であれば何度でも出入り可能。また、6000円で年間パスポートを購入できる。
  • 地下1Fに収蔵されている資料の一部は、館内で申請を行えば研究閲覧室にて見ることが可能
  • 公式サイト


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