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『週刊ファミ通』編集長が語る、ゲーム業界の今昔と“うごメモ”が描く未来

暮らし インタビュー


ゲームを取り巻く世界、今と昔


笑顔がさわやかな長田編集長

――長田編集長とお会いしてびっくりしたのですが、ずばりイケメンでおしゃれですね! 「ゲーム業界といえばオタクっぽい」(失礼!)みたいなステレオタイプの印象は以前はあった気がするのですが、最近はそうでもないですよね。ゲーム業界に長くいらっしゃる編集長、今と昔で一番変わったなと思うことはなんでしょうか?

「やはり、作り手も受け手もいろんな人が増えましたね。僕がゲームを好きになった頃は、同じようなタイプの人たちばっかりでした。だから、ゲームも同じような方向性を掘り下げる感じにしか発展しなかったような気がしますね。コアな人たちが集まるエンターテイメント界なので裾野が広がるというよりは、どんどん深くなっていく感じで。パソコンやゲームセンターでしか出来なかったゲームが、ファミコン(任天堂ファミリーコンピューター)が出来てから、より多くの人がゲームを楽しむようになり、結果的に種類も増えていきました。当時は僕らからすれば『ヌルイ』ゲームも増えたと思ったりしたんだけど、たまにそういう初心者向けのゲームをやるとすごく楽しかったり。例えば女の子向けに作られたゲームが出てくるなんて、当時の自分は思ってもみなかったですからね! 今まで触れ合えなかった人と同じ趣味を共有できる。そんな広がりは感じていますね。更に言えば、ニンテンドーDSはハードの普及台数も今までのゲーム機と比べ物にならないし、それこそ子どもからお年寄りまで使っています。僕は子どもの頃、漫画やアニメを見るとみてると頭が悪くなると言われてきた世代です。ゲームも同じようなことを言われてきた。でも、DSが出てきてから『いやいや勉強もできるんだよ!』と言えるようになりましたよね。それもすごく大きな変化だと思います」

――今やゲームは一部のコアなファンだけでなく、子どもからお年寄りまで本当に広い層の人たちが楽しめるエンターテイメントとなっているんですね。ゲーム誌を編集する上で、コアな人から初心者の方まで広くフォローしていくのは大変なのではないでしょうか?

「色んな方が読むということを念頭に入れて、この記事はどういう記事か、ぱっと見ただけで分かるように気をつけています。ライトユーザー向けの記事だったり、ゲーム好きの人向けの記事だったりということを、デザインや見出しではっきり区別してるんです。具体的に言うと、例えば小中学生のユーザーが多い「うごくメモ帳」のページだったらイラストを多く使ったりですね。全部の記事を全読者向けに作るというより、それぞれの記事で明確にターゲットを意識した構成にしています」

――確かに、ライトユーザー向けゲームの記事は、イラストや文字が大きかったり、色が明るくポップだったり、コアな情報は文字も小さく大人っぽい雰囲気になったりしています。そういう視点で雑誌を読むのも面白そうですね。

「『週刊ファミ通』ってまわし読み率が非常に高いんですよ。僕はそれもいいなと思っているんですけど。ゲームって基本的に個々で楽しむものですが、感想をみんなで言い合ったり、みんなで持ち寄ってできたりする。これからのコミュニケーションの媒介役としてゲームは結構いいポジションにいます。小学生にとって雑誌は高いですからひとつ買ってそれをみんなで読んで色々言い合ってくれればいいなと思っています。僕も実際ゲーム好きの友達の家にファミ通を読みに行ったりしてましたからね(笑)。僕は『買わなくてもいい、立ち読みでもいいから読んで欲しい。どうしても欲しいときは買ってください』って言っているんです。週刊ですからね。マニアックな記事ばかり毎回掲載して、たまに買うと内容について行けないという雑誌にはしたくないんです」

クロスレビューは通算3000本、歴代三位

――そんな長田編集長が、ゲームに目覚めたきっかけは……。

「インベーダーですね。そのときはすっごく小さくてゲームセンターにも行けない歳でしたが、父母に連れて行ってもらった映画館の待合室にインベーダーのゲーム機があったんです。それこそもう、プレイしている人の画面を後ろから一生懸命見ていた(笑)。LSIゲームも買ってもらったりしたんですが、すぐ飽きるんですよ。なので兄貴と交換したり。アーケードゲームが大好きだけど普段ゲームセンターには行けないので、たまに行けると『いいなあ~』と傍目で貪欲に見ていたり、とにかくゲームが大好きなのにやれないというフラストレーションがすごくありました。その後小学校のときに、パソコンというものがあると知って、パソコン雑誌を読むようになりました。お年玉を貯めて頑張ってPC6001の中古を六万円くらいで購入したんです。一緒に『タイニーゼビウス』を買ったんですが、PC自体のスペックが低くて、ほぼ本家とは別物で全然しょぼくてショックでしたね……。でも買っちゃったんで……やるしかない!と、パソコン雑誌に載ってるプログラムを一生懸命真似てゲームを作っていました。

その後にすぐファミコンが登場して、友達の家で遊ばせてもらったら、衝撃的なくらいアーケードゲームと近いんですよ。僕が買ったPC6001とは比べ物にならない出来で……それが14,800円……。『やべー安すぎる!』となみだ目になりましたよ!! 一番驚いたのが、カセットを差し込むだけですぐにゲームが立ち上がること。僕のパソコンではデータレコーダーを読み込むのに30分くらいかかったんですよ~。もうどうしても欲しくて、中学生のとき、学校が終わって部活が始まるまでの間に新聞配達をして頑張って買いました。それだけの執念だったので、今でも、ゲームソフト買ったけどクリアしてないとか信じられないですよ。失敗してつまらないゲームを買っちゃっても、もうつまらないということを認めないですからね。何かしら面白いところを無理やり見いだしてましたね」

――今では当たり前のように家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機がある時代ですが、ファミコン以前のゲーム好きな子どもたちは血のにじむような努力を……。そいういった思い入れが元でゲーム誌編集に携わることになった長田編集長。好きなことが仕事になった今、プライベートでゲームをやる機会というのはあるのでしょうか。

「現場で編集をしていた頃はクロスレビューのコーナーをずっとやっていたんです。通算3000本で、これは歴代三位なんですけど、当時はプライベートがなかったですね。完全に仕事関係ナシでやったゲームは年間2,3本ですね。今はプライベートで結構楽しめるようになりまして、最近は『モンスターハンターポータブル 2nd G』も『ドラゴンクエストIX』もたくさんやりました。『モンハンP 2nd G』は800時間くらいやってますねー(※編注:取材当時)。大ヒット作なので、色んな方々がこれらのゲームをやってらっしゃいますが、そういう人からみたら僕らはゲームのことなら何でも知っててその上うまいと思われるじゃないですか。やはりそのイメージを崩してはいけないじゃないですか(笑)。だからそのためにも頑張ってやってます。『さすがファミ通編集部!』といわれたいですね。だから、編集部の人とやると単純に上手だし楽しいということで、いろんな人が編集部を訪ねて来てくれて。最初は仕事関係なしでやっていたんですが、それがきっかけでどんどん輪が広がり記事になったりして、あらためてゲームってすごいな!って思いました」



編集部の写真。未発売のあのゲームやあのゲームがここに……

目を離した隙にすっかり仕事モードの編集長

「うごメモ」は、ネットに触れるファーストステップとして非常にいい

――今回、週刊ファミ通編集部で「うごメモはてな」上にページを開設しましたが、「うごくメモ帳」の感想や、使っている子どもたちへのメッセージがあれば教えて下さい!

「『うごくメモ帳』は、うちの娘も遊んでいますよ。使い方によっては危ないので、『隠れてやるんじゃない!』とは言っていますけど。すごく楽しいみたいで、ずーっとやっていますよ。健全な使い方してくれればいいんですけど、ネットの掲示板ですからね。悪用しようと思えばできるじゃないですか。そういう使い方をしている人もいるかもというのを前提に、節度を持って使ってもらえばと思っています。これからはネットと向き合っていくのは当たり前の世代なので、実は知らないというのが一番マズイですよね。『うごメモはてな』は、そういう意味でネットに触れ合う第一ステップとしては非常にいいと思います。親としての関わり方は、やはり理解しようとしないというのが一番ダメだと思います。例えば映画でも、子どもが見に行きたいというものは内容をチェックしてみますよね。それと同じで、背中越しに画面を見て、『これは何?』と聞くだけでもいいと思います」

「絵を描くのって、ものづくりの基礎中の基礎のうちのひとつだと思うんです。今までは披露する場が、例えばクラスのみんなに見てもらうくらいだけだったかもしれないけど、それが急に世界に広がった。だから、僕は、『自分が描きたいもの』だけではなく、一歩進んで『みんなが見たいもの』を意識してほしいなと個人的には思います。見てる人はみんな勝手に好き放題言うわけじゃないですか(笑)。でもそれは当たり前なんです。ネガティブなことを言う人を無視するのは簡単ですが、そこにはすごくヒントが隠されている。もちろんただの誹謗中傷はダメですけどね。批判する人の中には本当に作品をこうしてほしい、という意見があるかもしれない。そういう意見をきちんと受け止めていくと、プロになるにしてもならないにしてもモノの見かたが変わるかな。『映画見るにしても、雑誌読むにしても、色んな視点があると今より楽しめるようになるよ』って言いたいです。僕は仕事をし始めてからそういう視点で物事を見るようになったけど、今は仕事なんてしなくてもそういう意識や視点を持つことが出来るからうらやましいですよ~。いずれにせよ、披露の場が増えると業界が盛り上がるし、子どもたちのヒーローがたくさん生まれて、新しい才能がどんどんでてきますよね。みんな頑張って遊んで欲しいです!」

――長田編集長、ありがとうございました! 確かに小さいうちから「他人に見られること」に慣れていったら、将来すごいクリエーターが誕生するかもしれません。頑張って長生きしなくては。


この後は、「週刊ファミ通」編集部にお邪魔。思ったよりも人数も多く、活気に溢れた編集部でした。


DSライフ担当の北口さん(左)と、川島さん(右)。川島さんは絵を書くのがとても上手だそうです

小ネタが得意な北口さん。DSiで遊んでいるようですが、うごメモを書くのも大事なお仕事のひとつ!


「週刊ファミ通」編集部の方々が書かれるパラパラマンガ作品は、うごメモ放送局で見ることができます。誌面では語りきれないこぼれ話や編集部の日常を知りたい方は、ぜひ一度アクセスを!


第一作には、松下進先生のネッキーが登場


最新の投稿作品。編集部にはお絵かきが上手な方が多いようです

ファミ通編集部
子供から大人まで大人気のTVゲーム総合情報誌、週刊ファミ通が「うごメモはてな」に登場!ゲーム雑誌を作っている編集部の取材こぼれ話や仕事の様子など、様々なものを題材にしたうごメモが日々アップされています。
ファミ通編集部のうごメモはこちら→うごメモはてな - ふぁみつうさんの作品

文: 卯月つぼみ

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