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1Q84 BOOK3発売日決定!今こそ知りたい、村上春樹の世界


■村上春樹という作家

村上春樹 - Wikipedia
村上春樹クロニクル(1949〜1980年) 【村上春樹研究所】
1949年京都市に生まれ、その後兵庫県に移り住んだ村上春樹さん。早稲田大学在学中にジャズ喫茶「ビーター・キャット」を開店。経営と同時に小説を書き、1979年、『群像』に応募した『風の歌を聴け』で第22回群像新人文学賞を受賞、文壇へと足を踏み入れます。当時のアメリカ文学から影響を受けたスタイルが多くの人の心を魅了、たちまち日本を代表する作家の一人と称されるようになりました。

■映画化が決まった『ノルウェイの森』

映画|ノルウェイの森
2010年12月に公開が決まった『ノルウェイの森』。主演は『デスノート』シリーズ、『デトロイト・メタル・シティ』で知られる松山ケンイチさんと、『バベル』でアカデミー賞にノミネートされた菊地凛子さん。監督はカンヌやヴェネチアといった国際映画祭で多くの受賞歴を持つトラン・アン・ユンさん。豪華なキャスティングで、今から公開が待ち望まれている作品です。
1987年に発売された『ノルウェイの森』は、国内での累計部数が870万部、36言語に翻訳されており、20年たった今でも多くの人に読まれています。ストーリーは37歳になった主人公が、飛行機の中で流れていたビートルズの「ノルウェイの森」のオーケストラを聴き、過去を思いだす、という導入から始まります。主人公の「僕」と自殺した親友「キズキ」、そして「キズキ」の恋人であった「直子」。思春期の恋愛はもちろん、葛藤、生と死、喪失感…さまざまな要素を取り入れた繊細な作品です。未読の方はもちろん、既読の方も映画公開の前にチェックして、比較してみてはいかがでしょうか。

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

  • 作者:村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/09/15
  • メディア: ペーパーバック
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

  • 作者:村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/09/15
  • メディア: ペーパーバック

■7年ぶりの超大作!『1Q84』

村上春樹の最新長編小説『1Q84』|新潮社
【『1Q84』への30年】村上春樹氏インタビュー(上) : 出版トピック : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
そして、今最も注目されている作品が『1Q84』。「BOOK1」「BOOK2」が同時刊行された直後から、続編の可能性を漂わせていましたが、この度新潮社が正式に発売日を公表。初版の印刷部数は50万部と、出版不況を感じさせない驚異の数字となっています。

1Q84 BOOK 3

1Q84 BOOK 3

  • 作者:村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/04/16
  • メディア: ハードカバー
Amazon.co.jp: 1Q84 Book3: 村上春樹: 本
アマゾンでは予約もスタートしており、すでにサイト内でのベストセラー上位に食い込む人気ぶり。
物語の舞台は、1984年の東京。塾の講師として働きながら小説家を目指す「天吾」と、とある理由で殺し屋として動く「青豆」のストーリーが交互に綴られていきます。ある物語を生み出した美少女、カルト教団、天吾と青豆の過去が絡まり、やがて繋がっていく展開は、勢いがあり長編とは思えないほどすっと読めてしまう作品です。作中に登場する音楽や小説までもが売れ、社会現象を引き起こした『1Q84』。今年もまだまだヒートアップしそうですね。
1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

  • 作者:村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/05/29
  • メディア: 単行本
1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2

  • 作者:村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/05/29
  • メディア: 単行本

■逆輸入された『象の消滅』

感想『象の消滅』
長編小説家として高い評価を受けている村上春樹さんですが、短編小説も多数発表しており、国内だけでなく海外でも人気を博しています。海外での評価の高さがわかる1冊が『象の消滅』です。
これは、もともとアメリカの文芸誌『ニューヨーカー』に掲載された作品を集めたもので、アメリカのクノップフ社から『 The Elephant Vanishes』という題名で1993年に出版されています。英語圏を中心に人気が高かったため、日本でも逆輸入という形で2005年に発行されました。『パン屋再襲撃』や『カンガルー通信』を始めとする1980年から1991年にかけて書かれた初期作品に加え、村上さん著者みずから翻訳した新バージョンの『レーダーホーゼン』など17作品と、ニューヨーカーに掲載が決まった当時のエッセイなども収録されています。

「象の消滅」 短篇選集 1980-1991

「象の消滅」 短篇選集 1980-1991

  • 作者:村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/03/31
  • メディア: 単行本

■翻訳家としての村上春樹

白水社 : 村上春樹・柴田元幸『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を語る (1/5)
先日亡くなったアメリカの小説家J・D・サリンジャー。村上さんは彼の代表作ともいえる『ライ麦畑でつかまえて』を、2003年、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』という題名で新訳しています。当時のインタビューでは、名作の翻訳に関して、赤裸々に語られています。そのほかにも、幼いころよりアメリカ文学を読み漁っていた村上さんは、レイモンド・カーヴァーやトルーマン・カポーティといった有名作家の作品を翻訳しています。

キャッチャー・イン・ザ・ライ

キャッチャー・イン・ザ・ライ

■注目されたエルサレム賞受賞のスピーチ

「わたしは常に卵の側に立つ」 - 琥珀色の戯言
≪資料≫村上春樹エルサレム賞スピーチ全文(日本語訳) - 47トピックス
2009年に村上春樹さんへの注目度が高まったもうひとつの理由として、エルサレム賞受賞のスピーチがあります。2月15日に行われたイスラエル最高の文学賞「エルサレム賞」。この記念講演で村上さんは、人を脆い卵に例えながら、イスラエルによるガザへの攻撃を批判しました。紛争が起きている国の文学賞を受賞、さらに授賞式に出席を決めたことで、国内外で議論されていたところでのスピーチに、多くの人が関心を寄せました。


デビューから今まで、止まることなく多くの作品を生み出し続けている村上春樹さん。今回紹介した作品以外にも、名作がたくさんあります。発売を控えている『1Q84』はもちろん、今後はどんな物語で私たち読者を魅了してくれるのか、楽しみですね。

Title Photo by ka_tate

文: タニグチナオミ

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