• Twitter
  • Facebook
  • Google+
  • RSS

クラウドの“今”とは?「第1回 ニフティクラウドフォーラム ~みんなで作るニフティクラウド~」に参加してきた



http://cloud.nifty.com/seminar/report.htm

■ ニフティクラウドの概要

ニフティクラウド」は、ニフティ株式会社が提供しているパブリック型クラウドサービスで、今年1月27日にサービスが開始されて以来、既に100社以上が利用しています。主な特徴としては、以下のようなものがあるようです。

  • オンデマンド性
    • サーバの準備、スペック変更が5分
  • 選べる料金体系
    • 時間単位の従量課金または月額課金を提供
  • 実績に基づく信頼のサービス提供
    • @niftyの大規模システム運用ノウハウ

http://cloud.nifty.com/

■ フォーラムでの講演内容


フォーラムでは、ニフティの上野貴也さん、株式会社エクストーンの仲川昌宏さん、株式会社想創社の藤川真一さんの3名が講演されました。

まず、ニフティの上野さんから、「ビジネスを加速するニフティクラウドの活用」と題して、ニフティクラウドの概要や適用事例などの紹介がありました。また、ニフティクラウドの開発ロードマップの説明もあったのですが、みなさんが期待されているロードバランサー(*1)やファイアウォールだけでなく、個人的に気になっていたメモリ最大搭載量の増量もロードマップに既にプランに入っていたのに安心しました。

次に、エクストーンの仲山さんから「ソーシャルアプリが求めるクラウド環境」というタイトルでの発表がありました。Amazon EC2だけでなく、3月からすでにニフティクラウドを使用しているということで、ニフティクラウドとAmazon EC2を実際に使用してみた上での比較や、ソーシャルアプリをクラウドで運用する上での注意点など、詳しい内容の講演でした。

最後に、創想社の藤川さんの発表は「モバツイによるクラウドコンピューティング活用の事例」というタイトルで、携帯端末向けTwitter利用サービス「モバツイ」をAmazon EC2で構築した際の事例やノウハウの発表でした。クラウドサービスの利点は、サーバを容易に減らせること、とおっしゃっていたのですが、これは確かにそうだなぁと感心しました。藤川さんの講演の最後で、クラウドサービスは「ネットを通じてノウハウを共有できるサーバ環境」と言っておられたのが印象的でした。
http://cloud.nifty.com/seminar/report.htm

■ 参加者やニフティ担当者にお話を聞いてみた

フォーラム後に懇親会があったので、こちらにも参加してみました。既にニフティクラウドでmixiアプリを提供されている方や、まさにニフティクラウドでサービスを開発中の方、複数のクラウドサービスを検討中の方など、様々な方がいらっしゃいました。また、ニフティの担当者の方も数名参加され、参加者の方とざっくばらんなお話をされていました。

懇親会で参加者の方にいろいろとお話を聞いたのですが、やはり新規でサービスを立ち上げる場合は、ゼロから立ち上げることができるという理由でクラウドサービスを使うという意見が多く聞かれました。その中でも、ネットワーク品質を考えるとニフティクラウドを使いたいという意見が多かったです。

また、既に何らかのウェブサービスを展開されている方は(はてなもこちらに分類されます)、クラウドは検討してはいるが既存の機能の一部をクラウドサービスに載せるにはどうしたらよいか?ということについて考えている最中で、まだ実際にクラウドサービスを使っている方は少ないようでした。特に、既存のウェブサービスをクラウドサービスに載せる場合、アプリケーションサーバはデータベースへのアクセスが発生するため移行しにくいというような意見が多くありました。

ただ、画像データなどを置くストレージは移行が容易なので、ニフティクラウドでストレージサービスがあれば是非試してみたい、といった意見もありました。はてなとしても、画像データなどはクラウドサービスに載せることを検討しているので、期待しています。

ニフティ担当者の方からは「APIを設計しているところだが、どういった機能が欲しいかユーザさんの声が聞きたい」といったお話もあり、ユーザの声を聞きながら機能を拡充させていく姿勢がうかがえました。また、別の技術者の方は「1000VMくらい立ち上げても全然問題ないです!」とおっしゃっていました。

■ ウェブ上での反応をまとめてみた

ニフティクラウドフォーラムでも配布されたモニターアカウントの試用レポートがいくつかあったので、ウェブ上での反応をまとめてみました。

サイボウズラボの奥一穂さんが、IOパフォーマンスのベンチマークをされています。クラウドサービスでここまでの性能を出しているサービスは他にないようです。実際、はてなの標準的なデータベースを動かしても問題はなさそうな数値がでています。
ニフティクラウドのI/Oベンチマーク - kazuhoのメモ置き場

ニフティクラウドフォーラムでも講演された藤川さんのブログには、ニフティクラウドモニターアカウントを試用した感想がまとめられています。

ニフティクラウドのssh接続は、まるでローカルサーバのように速いです。

はてなでもモニターアカウントをいただいたので使ってみたのですが、体感でも相当レスポンスが良く、全く同じ印象でした。
F's Garage @fshin2000 :twitterとかiPhoneとかandroidとかクラウドとかの日記 4/20

スクリーンショットや、VMの各種スペックなどが書かれています。「マニュアルを見なくても、あちこちクリックして何をすれば何が起こる」とのことですが、自分で試用した際もマニュアルは見ずに済みました。
バケツ: ニフティクラウドを試してみました

Twitterの発言をまとめるサービス「Togetter(トゥギャッター)」を利用して、Twitter上でのニフティクラウドに関する発言がまとめられています。試用してみた声としては、 「インターフェイスはAWSよりもわかりやすい気がします」「レスポンス軽すぎ」といった感じで、インタフェースの便利さやレスポンスの軽さは、使用された方も実感されているようです。
ニフティクラウドフォーラム(4/16開催)と試用感想のまとめ - Togetter

id:marqsが考えるニフティクラウドの特徴

ニフティクラウドフォーラムでの話や、ウェブ上での反応をまとめると、ニフティクラウドはネットワーク品質、サポート、移行のしやすさ、の3つが大きな特徴であると感じたので、それらについて少しまとめてみます。

<ネットワーク品質>
これは、フォーラムに参加者のほとんど全員がおっしゃっていたメリットですが、やはり品質のよいネットワークを持つクラウドサービスといえばニフティクラウドしかない、という意見の方がほとんどでした。実際に計測してみた方も、速いという感想が多かったようです。

<サポート>
ニフティクラウドは日本発のクラウドサービスなので、フォーラムでノウハウを共有するにしても、日本語でコミュニケーションできるということは大きいと思いました。自分でも、英語で質問するより、日本語の方がうまく書けそうです。フォーラムは、まだまだFAQの数は少なそうですが、今後の充実に期待したいところです。また、APIの提供はこれからとのことでしたが、Amazon EC2互換にしたほうがよいのか?など既存ユーザの声を聞きながら機能が拡充されることになるようなので、ユーザが求める便利な機能が実装されそうです。

<移行のしやすさ>
ニフティクラウドは、Amazon EC2の徹底したコンポーネント指向とは異なり、サーバ1台1台が見えやすいVM指向のクラウドサービスと言えそうです。この点については、懇親会でニフティの上野さんも同様の事をおっしゃっていました。ニフティクラウドでは、特に意識せずサーバを再起動してもIPアドレスは変わらないですし、ストレージもなくなりません。そういった意味では、現在レンタルサーバを借りてサービスを運用している事業者や開発者の方は、現在の構成をほとんど変更せずにクラウドサービスへ移行できるので、Amazon EC2などのクラウドサービスに比べて移行の手間は相当少なそうです。

またフォーラムの議論の中で、「旬を過ぎたサービスをクラウドサービスに載せる」という話題がありました。こういった場合、クラウドサービスに載せて運用の手間を省く、というのが主な目的だと思うのですが、既に稼働中のウェブサービスをAmazon EC2のようなコンポーネント指向のクラウドサービスに載せようとすると、設計や構成の変更を加える必要が出てしまい、本来は手間を省きたいのに、逆に工数が発生してしまうという本末転倒な事態になりかねません。こういった場合でも、ニフティクラウドを利用すれば、既存サーバをニフティクラウド上のVMに置き換えればよいので、移行は容易なのではないでしょうか?

■ まとめ

今回ニフティクラウドフォーラムに参加してみて、ニフティクラウド担当者の方のニフティクラウドへの意気込みが感じられました。今回は第1回でしたが、まだまだニフティクラウドを利用した事例やノウハウの紹介が少なかったので、第2回、第3回と回を重ねるにつれ、ニフティクラウドユーザ同士のノウハウ共有が進めばもっと面白く、使いやすくなってくるのでは、と思いました。はてなでも、既存サービスの一部機能をクラウドにうまく載せるノウハウなどができたら、是非公開していきたいと思っています。そういったノウハウ共有が進めば、藤川さんの講演での言葉にあるように、まさにニフティクラウドが「ネットを通じてノウハウを共有できるサーバ環境」になっていくのではないかと思いました。
今後のイベント予定や、ニフティクラウドに関するTwitter上でのリアルタイムの反応(本記事ではとりあげなかったロードバランサーの試用レポートなどもあります)など、最新情報をまとめたオフィシャルページはこちらです。
http://cloud.nifty.com/now/

■ (おまけ)モニターアカウントをいただいたのでちょっと使ってみた

モニターアカウントをいただいたので、自分でも使ってみました。

<やっぱりネットワークは10倍速い>
Twitterでもレスポンスが軽いと言っておられた方がいましたが、他社のクラウドに比べてコンソールでの操作が体感で相当速く、はてなの自社サーバとあまり変わらないくらいです。クラウドサービス側からはてなのサーバにデータを転送して速度を比較してみたのですが、だいたい他社のクラウドサービスの10倍近く速かったので、ネットワークは全く問題なさそうです。

<サーバに名前とメモをつける機能が便利>

フォーラムの参加者にはモニターアカウントが配布されたので、ニフティクラウドの管理ツールを少し使ってみました。個人的に「お、良いな」と思ったのは、細かい点ではありますが、サーバ1台1台に名前とメモがつけられる点です。Amazon EC2では、サーバ名はランダムな文字列です(RightScaleなどの管理ツールを使ってラベルをつけることは可能です)。サーバ名がランダム文字列の場合、ちょっと台数が増えてくるだけで間違ったサーバをシャットダウンしてしまう可能性が出てきます。実際、EC2を使っていても「このサーバ、シャットダウンしてよかったっけ?」と思うことが結構あります。クラウドサービスを利用したとしても、こういった運用上の問題はうまい仕組みを構築しない限りなくなりません。その点、ニフティクラウドはこういった機能が標準でついているので、間違ったサーバをシャットダウンしてしまう心配はありません。運用側のエンジニアのこともよく考えて作られているなと感じました。個人的には、各VMから名前にアクセスできて、Puppetなどの構成管理ツールで自動セットアップできるなどの点が便利かもしれないと思っています。


 *1…ロードバランサーは、2010年4月22日にラインアップ強化第二弾として発表されました。


[PR]企画・制作:はてな
文: 吉田晃典