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Google Wave――発表から開発中止まで、1年あまりを振り返る



Google Waveは、日々のメモから会議まで、さまざまな用途に使える便利なサービスですが、その斬新さ故に一言で表すのは容易ではありません。はてなブックマークニュースでは、実際に使ってみるのが一番だと考え、Google Waveの使い方を紹介しました。

実は簡単?「Google Wave」を使った情報管理を試してみる - はてなニュース

ブックマークの数からも、Google Waveに多くの関心が寄せられていたことがうかがえます。しかし、2010年8月、Googleが突然開発中止を宣言し、ネット上では大きな波紋が広がりました。

ここからは、誕生から開発中止まで、Google Waveの足跡を追ってみましょう。

■ Google Wave誕生

Google Waveの生みの親であるRasmussen兄弟は、2003年に地図関連のスタートアップ「Where 2 Technologies」をシドニーで立ち上げました。その後、2004年にGoogleがWhere 2 Technologiesを買収。Rasmussen兄弟はGoogleに入社し、地図サービス「Google Maps」が生まれました。続いて同兄弟はGoogle Waveを開発。2009年5月に開催されたGoogleの開発者向け会議「Google I/O」で、Google Waveは広く知られることになりました。

【詳報】Google Waveとは何なのか? − @IT

発表直後のLars Rasmussen氏のエントリー"Went Walkabout. Brought back Google Wave."からは、Google Mapsの開発に携わりながら構想が練られていく様子や、Google Waveに込められた思想を知ることができます。

Official Google Blog: Went Walkabout. Brought back Google Wave.

■ 開発者、ベータテスターに限定開放

Google I/Oでの熱狂が冷めやらない中、2009年7月には開発者6000人に、さらに、同年秋には10万人のベータテスターに、段階的にアカウントが提供されていきました。

Official Google Blog: Surf's up Wednesday: Google Wave update
グーグル、「Wave」の提供を拡大へ--10万人のベータテスターにリリース - CNET Japan

サードパーティーによるツールやロボットの開発も注目を集め始め、プライベートベータ公開直後の技術系記事にはたくさんのブックマークが集まりました。

プレビュー公開が始まったGoogle Wave「超」入門(1/4)−@IT
JavaとPythonでGoogle WaveのRobotを作るには(1/4)−@IT

ただし、この時期には、斬新なサービスとして支持されつつも、多くの課題を抱えていたのも事実です。

「Google Wave」の課題とは――Googleがアンケート結果を発表 - ITmedia NEWS

記事中では、ユーザーが気に入っている点と合わせて、「遅い」「頻繁にクラッシュする、バグが多い」といったサービスとして致命的な問題も挙げられています。招待状を受け取っても、まだ完成には遠く、日常的に利用するのを躊躇した人も多かったのではないでしょうか。

■ 一般開放

ネガティブな指摘や心配をよそに、2010年春を迎える頃には、日常的に利用できるサービスとしてよい仕上がりを見せていました。そして、2010年5月、発表から1年の時を経てGoogle Waveは一般に公開されました。

Official Google Blog: Happy 1st birthday, Google Wave!
グーグル、「Google Wave」を一般向けに公開へ - CNET Japan

発表時ほどの反響はなかったものの、誰がこの時、数カ月後に開発中止が宣言されると予想できたでしょう。

■ 開発中止宣言

一般に開放されて約2ヶ月、2010年8月に入ると、突然、開発中止が宣言されます。

Official Google Blog: Update on Google Wave
Google、Waveの開発を中止 - ITmedia エンタープライズ

開発中止の理由として、期待していたほどユーザーを獲得できなかったことが挙げられています。サービスは少なくとも2010年年末まで継続するとのこと。開発中止やサービス停止を惜しむ声が広がる中、"Save Google Wave!"なるキャンペーンが始まりました。

Google Waveの存続願うユーザーが「Save Google Wave」キャンペーン - ITmedia NEWS

また、Google Waveの基本的な利用例から、APIやサーバーといった高度なトピックまで網羅した日本語による初の解説書『Google Wave 入門』の出版を間近に控えた著者のあんどうやすしさんには慰めの声が寄せられました。

「なんという切なさ……」 「Google Wave」開発中止、入門書著者にTwitterで慰めの声 - ITmedia NEWS

GOOGLE WAVE入門

GOOGLE WAVE入門

■ おわりに

今回の開発中止宣言は、Google Waveを愛用する一ユーザーとして筆者にとっても非常に残念なことでした。ただ、GoogleはGoogle Waveの開発で培った技術を他のGoogle製品に活かすとしていますし、オープンソースになっている技術が新たな形で活用される可能性もあります。"Wave魂"を引き継いだ素晴らしいサービスが今後世界のどこかで誕生することを願っています。


The Photo is by "colecamp".

文: イノアキ

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