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“ペルソナ手法”でマネキンを導入!京都府庁広報課のユニークな取り組み




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京都府ホームページ

京都市上京区に建つ京都府庁。正面にあるレトロな建物は1904年(明治37年)に竣工した旧本館で、重要文化財にも指定されています。

広報課があるのは、北に位置する1号館の2階。おそるおそる扉を開けてみると…。


ありました!どこからどう見ても、“マネキン”です。


みなさん、マネキンを机の上に置いて、サクサクと仕事をしています。現在、広報課には男2体、女3体の計5体のマネキンが置かれているとのこと。しかし、なぜマネキンを置くことになったのでしょうか。広報課の丸山紀夫さんにお話を伺いました。

マネキンを置いたのは、“ペルソナ”という架空の人物や顧客を想定するマーケティング手法を導入するためです。私たち広報課は情報誌『きょうと府民だより』の発行や、府知事と府民が交流する「知事と和ぃ和ぃミーティング」の主催など、京都府と府民をつなげる役割を担っているのですが、府民の存在をいつも近くに感じるため、この手法を導入しました。対象となるペルソナはパネルやシートなど、何でもよかったのですが、たまたまいらなくなったカット練習用のマネキンを持っていた方がいたため、そちらを職員が譲り受け、導入することになりました。

知っておきたいIT経営用語 - ペルソナ:ITpro

外部の有識者を招く自治体職員向けのセミナーで紹介され、7月1日(木)から始まったマネキンによる“ペルソナ手法”。開始直後は3体だったマネキンも、およそ2か月たつ現在では、5体に増えています。このマネキン、何より興味深いのが、より具体的に利用者を想定するため、各キャラクターの名前や職業、性格などを細かく設定していることです。

 
子育て世代を想定した、「人見知子」さん。職業は主婦で、ガーデニングやオークションが趣味とのこと。

 
インターネットが趣味の「早瀬はやと」さん。Web制作会社で営業職に就いているようです。

 
観光都市、京都ならではのペルソナが、こちらの「浪速野吉子」さん。京都府広報課は観光に関するPRも行っているため、普段は京都になじみのない府外の人物も想定しています。

 
こちらも、大学が多い京都らしい、学生をイメージしたペルソナです。名前は「福雅治」さん。文系の大学院生のようです。

 
自治体に関心が薄い若い世代をターゲットにしたのが、アパレルショップで働く「井出映美」さん。「買い物」や「ネイル」など、若者らしい趣味が設定されています。

このように、職員がアイデアを持ち寄って幅広い府民を想定し、広報課の活動に役立てているいるようです。ちなみにこのマネキン、先述した通り、元は美容師のカット練習に使われていたもの。髪が短くなり、練習に使えなくなったものを再利用しています。カット練習用のマネキンは首から上しかないため、胴体部分は段ボールで作っているそうです。

首から下は、職員が段ボールやガムテープで手作り

服や帽子も着古したおさがりを使っているため、今回のペルソナ手法の導入でかかった経費はゼロとのこと。導入当初は「無駄遣いじゃないのか」といった意見も寄せられたようですが、そんなことはないようです。

しかし、気になるのが実際に働く職員の反応。ペルソナ手法の導入により、どんな効果が生まれたのでしょうか。広報課で働く、職員さんに聞いてみました。

私は京都府のホームページの管理を担当しているのですが、いつも見出しや本文が堅くなりがちだったんです。ペルソナのマネキンを机の上に置くことで、“常に府民側に立つこと”を心掛けられるようになりました。
もちろん、最初は、ペルソナの定義がよくわからず、書籍などを読んでもなかなか理解できなくて苦労しました。導入後も、府民のみなさんに理解してもらえるか不安だったのですが、最近は趣旨をわかってくださる府民の方も多くて、安心しています。

ペルソナの導入後、京都府のホームページトップのアクセス数が前年度の同月より1.5倍に、またYouTubeで公開している動画コンテンツ「ねっとTV京都府」の再生回数も約3倍の伸びと、その成功は確実に数字に表れているそうです。しかしながら、「まだペルソナ手法に対して厳しい声もあります」と話すのは、前出の丸山さん。

「“仮想の府民”を想定しないと、よりよい活動ができないのか」という意見はよく頂きます。もちろん、私たち広報課も“現地現場主義”を第一としています。しかし、ペルソナのマネキンが、府民やその他の地域の方との話のタネになったり、想定ユーザーに近い方から直接意見が届いたり、“現地現場”を行うきっかけにもなっています。

京都府広報課が導入した、ユニークな“ペルソナ”手法。それは、府民に対する真摯な思いから生まれた発想だったようです。

文: タニグチナオミ

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