「人は静かに狂っていく」 芥川賞作家・円城塔さんがポスドク問題を語る

CiNii 論文 -  ポスドクからポストポスドクへ(<シリーズ>"ポスドク"問題 その12) CiNii 論文 - 
 		
	 		ポスドクからポストポスドクへ(<シリーズ>

「ポスドクからポストポスドクへ」は2008年7月発行の「日本物理學會誌」に掲載されたエッセイです。上記のサイトからPDF形式で読めます。ポスドク(博士研究員)とは、博士号を取得した後に任期付きの研究職に就いている人や、そのポストそのものを指す言葉です。日本ではポスドク制度が運用され始めてから日が浅く、雇用形態や社会保険制度などの面でさまざまな問題があるとされています。

円城さんは2000年に東京大学大学院博士課程を修了後、ポスドクを経験しています。エッセイでは自身の経験をもとに、ポスドクの現状と問題点を生々しくつづっています。

「お前が研究者をやめてくれて心底からほっとした」

母親もそんな言葉で大卒初任給ほどの待遇で居場所を探してきた息子の転身を心から喜んでくれ, なるほどこれからは親孝行をせねばなるまいと恥じ入る次第である. これまでに大変に苦労をかけた.

エッセイは「三十四の春」まで研究生活を送っていた円城さんが、民間会社に就職したところからはじまります。「任期三年から五年、よくて更新一回程度という、人を完全に馬鹿にした」雇用形態の不安定さや、「事前に知れることがほとんどない」うえに「計画の立てようがない」突然の削減もありうる給与待遇の実態、若い研究者が精神的に追い込まれ、「静かに狂っていく」様子などに言及しています。

はてなブックマークのコメント欄には「いまCiNiiでいちばん盛り上がっている論文」「物理学会もよく掲載したものだ。。シビアな世界」「アカデミアにとっては身近な、そして世間にはあまり知られていない話。辛い」「文才が猛威をふるっている。破壊力抜群。ポスドクは研究というより、非正規低賃金労働してますというのが的確」などの感想が寄せられています。

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