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「ヒッグス粒子」とは? 日本の研究チームによる解説エントリーを紹介


<ヒッグス粒子とみられる新粒子を観測>

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120704/k10013334061000.html
20120704 - LHC アトラス実験

ヒッグス粒子は、イギリスの理論物理学者、ピーター・ヒッグスさんが1964年に存在を提唱していた粒子です。素粒子物理学の標準理論に登場する素粒子の中で、唯一存在が確認されていませんでした。物質に質量を与える役割を持っているとされており、存在しなければ宇宙を構成する星や生命などが生まれないことから、「神の粒子」とも呼ばれています。

ヒッグス粒子とみられる新しい粒子の発見は、オーストラリアで開催された素粒子物理の国際会議「ICHEP2012」で発表されました。ヒッグス粒子を探索するための「ATLAS実験」と「CMS実験」で、質量125-126GeV付近に新粒子を観測したとのことです。

発表された結果は2011年と2012年のデータをもとにした暫定的なもので、2012年のデータはまだ解析途中のため、最終的な解析結果は7月末に公表される予定です。CERN所長のロルフ・ホイヤーさんは、「自然を理解する上での新たな段階に入った」「我々の宇宙の他の謎を解き明かすことができるかもしれない」と語っています。

<新粒子を観測したATLAS実験とは>

ATLAS 実験ヒッグス粒子探索の最新の結果(PDF)

上記のエントリーでは、日本の物理学者たちも参加しているATLASチームによる最新のATLAS実験を解説しています。ATLAS実験では「大型ハドロンコライダー(LHC)」を使用して陽子を正面衝突させ、宇宙が誕生した直後の状態を再現することでヒッグス粒子を探索してきました。ATLASチームによると、ヒッグス粒子は不安定な粒子で、「生まれてすぐ、ほんの短い時間の後に他の(通常の)粒子に崩壊する」そうです。

<ヒッグス粒子の性質を解説>


ヒッグス粒子ってなんだろう? - LHCアトラス実験オフィシャルブログ

日本のATLASチームによる公式ブログでは、ヒッグス粒子をイラスト付きで説明しています。宇宙の温度が100兆度よりも高い時のヒッグス粒子は、素粒子に対して「くっつく性質」と「はなれる性質」の両方が存在するそうです。しかし、温度が低くなり、エネルギーが低い状態に変化する「相転移」が起きると、ヒッグス粒子は「くっつくだけの性質」を持つようになるとのこと。ヒッグス粒子にまとわりつかれた素粒子は運動しにくくなるため、光の速さより遅くなります。この「ヒッグス粒子に“まとわりつかれやすさ”」が、質量の始まりだそうです。

文: あおきめぐみ

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