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ミドリムシを主原料とするバイオプラスチック、産総研らのグループが開発



産総研:ミドリムシを主原料とするバイオプラスチックを開発

新たに開発された微細藻バイオプラスチックは、ミドリムシが細胞内に生産する多糖類に、同じくミドリムシ由来の油脂成分から得られる長鎖脂肪酸またはカシューナッツの殻から抽出される油脂成分「カルダノール」を加えて合成されました。得られた微細藻バイオプラスチックの物性を測定したところ、衝撃強度は改善の余地があるものの、熱可塑性については従来のバイオプラスチックや可塑剤を添加した酢酸セルロース、石油由来の樹脂と同等。耐熱性についてはこれらのプラスチックより優れていることが分かったそうです。

世界で年間約2.3億トン生産されるプラスチックのほとんどは、石油由来のモノマーを高温・高圧下で反応させて作られます。そのため、プラスチックの生産過程で発生する地球温暖化ガスの量や製造に要するエネルギーは膨大になります。また、石油由来製品の代替となる植物由来資源は将来予想される需要に対して不足する恐れがあり、その素材は食料と競合しない植物であることが望まれていました。こういった背景から、温暖化ガスの削減効果が期待できる、非食用植物を用いたバイオプラスチックの開発が進められていました。

研究グループでは今後、さらに高い耐熱性や強度などの実用性を目指して分子設計を進める予定です。また、ミドリムシの効率的な培養方法や多糖類の抽出方法など、微細藻バイオプラスチックの製造に不可欠な技術の研究も進めていくとのことです。

文: 古関崇義

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