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京アニのプロデューサーと音楽会社のプロデューサーが考える、アニメのこれから

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■ 作品の舞台はどうやって決まる?

イベントは、あらかじめ寄せられた質問をもとに進められました。

まずは、京都アニメーションとアニメーションDoが共同で制作した「Free!」の裏側を、八田さんが話してくれました。「Free!」は、「たまこまーけっと」の放送枠で流した京都アニメーションの企業CMがきっかけで誕生した作品。「京都アニメーション、アニメーションDoでお互いの会社が“らしい”映像を作り、放送したところ思いの外好評だったため、アニメーションDo主体でアニメ化しました」とのこと。

「作品の舞台はどう決める?」という質問に答えたのは、大橋さん。基本的に原作がある場合は、原作者が思い描いた場所や地域をそのまま使っていますが、「中二病でも恋がしたい!」は、石原立也監督から滋賀県大津市の風景を描きたいという要望があったそうです。ただし作品の舞台はあくまで“参考”のため、「必ずしも作品に登場する場所があるわけではない」とも。「みなさん、もし現地に行っても、『◯◯がなかった!』というメールは送らないでください(笑)」と話し、会場を沸かせました。

「Free!」の舞台は、原案の「ハイ☆スピード!」(KAエスマ文庫/京都アニメーション)では港町という設定のみだったため、“日本海の美しい場所”を探し、鳥取県の某所に決まったそうです。

■ アニメファンは一体感を求めている

続いて、中村さんと斎藤さんが音楽の制作についてトーク。アニメ音楽の制作は、監督と打ち合わせをして、要望を聞いて進めていく流れが一般的とのこと。監督によって、キーワードやイメージを伝える“感覚派”と、具体例を挙げる“明確派”に分かれるとし、「中二病でも恋がしたい!」の石原立也監督と「たまこまーけっと」の山田尚子監督は“感覚派”、「Free!」の内海紘子監督は“明確派”と話しました。

近年、アニメ業界ではライブやイベントなどを1つの作品の“パッケージ”として企画していることについて斎藤さんは、「ファンが一体感を求めている」とコメント。「今日のイベントも、京都アニメーションが好きな人たちがたくさんいて、大好きですと表現していい場所になっている。街で『僕、アニメが好きです!』と叫ぶのはちょっと恥ずかしいですけど、ここだったら許されるという場所を求めているのでは」と推測していました。中村さんも、「音楽は、最高の共通言語なので、みんなが楽しめて、みんなが1つになれるものだと思います」と続けました。

また、CDが売れなくなってきたといわれている時代で、アニメ音楽がどうなるかについては、「むしろ上がっているものも」と力強い一言を発する斎藤さん。「たしかにCDの売り上げが下がってると世間ではいわれていますが、アニメに関していうと、それほど激下がりしていない。アニメ関連のCDは、手元に残したいグッズの1つとして捉えていただいていると思います」と話しました。

CDのほか、DVDやBlu-rayなども販売しているポニーキャニオンの中村さんは、一時期は“てんこ盛り”だった特典に言及。「最近は、パッケージの紙の質感など仕様を向上させたり、映像特典や音声特典などを収録したり、コンテンツそのものを強くしています。ファンの方は、フィギュアが付くより、作品の本質的なところを求めていると考えています」と傾向を明かしました。

■ これからアニメはどうなっていくか

イベントの終盤、「プロデューサーの立場から見て、これからアニメーションはどうなると思うか」という質問が司会から投げかけられました。

  • アニメが多くの方に支えていただいているというのは何も変わりませんので、まだまだ発信していかなくてはいけない。これからどうなるかというよりは、アニメやグッズ、こういったイベントなど、直接みなさんと触れられる機会を今できる精一杯の力で作っていくのが、役割だと思っています。(大橋さん)
  • アニメは、業界や日本が活性化するパワーを持っています。見てよかったと思ってもらえたり、明日への活力につながったりするような、作品を打ち出していきたい。(八田さん)
  • 我々の仕事は、宣伝や販促など、お客さんに一番近いポジションにある。京都アニメーションさん、アニメーションDoさんは、いつも最高のアニメを作っているので、きちんと正しく、みなさんのもとに届けなければいけないと思っています。(中村さん)
  • 最近、業界内はもちろん、それ以外の方にも「学生のころ◯◯見てました」と言っていただく機会がとても増えました。アニメをより身近なものとして感じている世代が社会の中に入ってきているので、もっと一般的なものになっていくと考えています。大事なのは何があっても続けていくということだと思うので、僕も音楽という形で関わり続けたいです。(斎藤さん)

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文: タニグチナオミ

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