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舞台という2.5次元を、ドラマという3次元へ 実写版「弱虫ペダル」製作発表会で明かされた制作者・出演者の思い



弱虫ペダル|スカパー!の“おまけチャンネル”BSスカパー!(BS241)

「BSスカパー! オリジナル連続ドラマ『弱虫ペダル』」は、渡辺航さんが2008年から連載しているマンガ『弱虫ペダル』(秋田書店「週刊少年チャンピオン」)を題材にした同作初の実写ドラマです。キャストの多くは、ドラマに先駆けてスタートした舞台『弱虫ペダル』シリーズにも出演した俳優たち。2016年7月時点で8作品を上演するなど話題を呼び続けている“2.5次元”の舞台版を“3次元”のドラマ版に変換させるかのような試みは、舞台版のファンからも大きな期待と注目を集めています。

番組プロデューサー・長内敦さんは「BSスカパー!というチャンネルは地上波ではできない・やらないことを企画の趣旨として、2014年の秋から編成を強化して進めて参りました。その中でも(実写ドラマ「弱虫ペダル」は)今日という日を迎えるまでに一番時間がかかった企画なんじゃないかなと思います」とコメント。ドラマ化を成立させるのに困難を極めたと明かします。

さらに「アニメや舞台というメディアミックスがすでに大成功を収めているこの作品を、3番手としてドラマ化させていただくということで非常に責任は重たいと思っています」と続け、キャスト・スタッフ一同で良い作品を作っていくと意気込みを語りました。

ドラマ化の発表当初から話題を呼んだキャスト陣については「ご存知の通り、2.5次元の舞台(舞台『弱虫ペダル』シリーズ)のキャストもたくさん起用させていただいています。2.5次元の舞台というのは活況で、熱狂的なお客さんがいる。舞台という2.5次元をドラマという3次元にコンバートさせるというのは、企画としては“チャレンジ”なこと」と言及。舞台とは違い、実際にキャストがロードバイクに乗るというロケは「雨が降ったら撮影ができないとか、炎天下では日射病になってしまうとかで、なんとか撮影をしている日々です」とこぼしつつ、「ただそのお陰で、キャストの躍動感や風を切る疾走感など、原作の魅力を着々と再現できています。出来上がりを楽しみにしてください」と、リアルなロードレースの表現に自信をのぞかせました。

この日の製作発表会には、小野田坂道役の小越勇輝さん、今泉俊輔役の木村達成さん、鳴子章吉役の深澤大河さん、金城真護役の郷本直也さん、古賀公貴役の輝馬さん、杉元照文役の平井浩基さん、寒咲通司役の安里勇哉さん、寒咲幹役の桜井美南さん、橘綾役の野口真緒さん、荒北靖友役の鈴木拡樹さん、新開隼人役の宮崎秋人さん、泉田塔一郎役の青木空夢さん、真波山岳役の植田圭輔さんのキャスト13人と、棚澤孝義監督が登壇。総北高校のメンバーは6月中旬からすでにロケが始まっており、撮影の合間を縫っての参加となりました。

──すでにクランクインを迎え、順調に、天候によっては“待ち”も多い撮影だと伺っています。現場での雰囲気を教えてください。

小越 「初めまして」の人もいますけど、舞台から引き続きの人もいまして。舞台に出ていても一緒にやっていなかった人もいるので、そういった意味でドラマではどんなふうになるんだろうという思いはありました。最初からキャストの仲はすごく良くて。うちのキャプテンの金城役の郷本さんとかがまとめながら、みんなで和気あいあいと、スタッフさんも一緒になって……すごく楽しくやってるよね。

木村 (総北高校の)3年生が現場の雰囲気を作ってくれているな、っていうのはありますね。

郷本 今日3年生チームは僕だけなのでちょっと寂しいんですけど、現場ではみんなで和気あいあいと。(撮影の)初めはみんなであーでもないこーでもないって言ってたけど、雰囲気はすごく良かったよね。

──みなさん“すごい選手”という役どころですが、プロの指導でロードバイクの乗り方を教わっていると聞きました。難しい点などはありましたか?

深澤 ロードバイクと自転車って本当に次元が違うなと思いました。ロードバイクは競技用に特化されているので、本当に軽いですし、なおかつ足の“運び”がやりやすい。シューズも特殊なものですし、ダンシングやケイデンスもガチで漕(こ)いでるので。僕と(今泉役の)達成さんは一緒に山道を上るシーンがあるんですけど、立ち漕ぎですもんね。

木村 終わった後、2人して「はーはー」ってなってるくらいに本当のガチ漕ぎで。

深澤 本当に。そういった熱をぜひ伝えられたらなと思っています。

──みなさんもともと運動神経は良いと思うのですが、より筋肉質になってきませんか?

深澤 腿(もも)がもう、筋肉パンパンになりましたよね。

木村 (レーシングパンツのきつさが)昨日よりも今日だし、今日よりも明日だし、パンパンになるんですよ! どんどんきつくなっちゃって。

輝馬 ロードバイクは前もって練習をさせていただいたんですけど、普通の自転車と違ってギアのチェンジもあるし、プロの方に教えてもらったビンディング(シューズとペダルを固定する仕組み)も本当に難しくて。慣れないうちは何回もこけましたね。

平井 坂道を上りながらビンディングをやるという練習をしたんですけど、大ごけしまして。「あれ、やばい。俺(杉元照文としては)経験者なのに」って焦って。今は結構慣れてきたんですけど、競技用のロードバイクは最初が難しかったですね。

──演技よりもまずロードバイクに乗らなければいけない、というのがあるんですね。

深澤 それぞれの自転車がきれいなんですよね。今回、スポーツサイクル専門店のY's Roadさんが協力してくださったんですけど、1人ずつに自転車がちゃんとあるので、そこも見どころだと思います。

──ファンからすると、あのマンガやアニメで見ていた自転車が本当に走ってるっていうのが嬉しいですよね。一方で、(寒咲通司役の)安里さんは元キャプテンですけど、今は自転車をメンテナンスしたり車に乗って沿道で応援したりするという役です。

安里 初めて現場に入ってみんなの走りを見たときに、結構、マジで感動しちゃって。かっこよくて。撮影しているとき以外もみんな練習してますね。3本ローラーも難しいって聞いてます。

郷本 3本ローラーは練習マシーンなんですけど、マンガの中ではすごくきれいに乗れているんですよね。稽古の時からみんな室内でやっていました。

木村 練習中は疲れてない状態で3本ローラーに乗ってるんで、最初はできるんですよ。でも撮影していくうちに、体自体が疲れてくるじゃないですか。それで3本ローラーに乗ると、また一層違うんですよね。本当に氷の上を走っているようで。

深澤 すごく集中力使いますもんね。3本ローラー乗ってるときって。

木村 普通に走ってるときよりも、汗がめちゃくちゃ出る。

郷本 箱学のメンバーは、それこそ室内で練習することも多いだろうからね。

鈴木 実は舞台版の企画で3本ローラーに乗ってみようというのをやったことがあるんですよ。我々箱学(箱根学園)が体験してきたんですけど、箱学は運動神経がいいメンバーがそろっているので、乗れなかったのは唯一僕ぐらいで……(笑)これからということで、ご期待ください。

──すでに現場の雰囲気はすごく良さそうだなと伝わってきます。監督に伺いたいのですが、原作に忠実なドラマを描くに当たり、どういったところを大切にしていますか?

棚澤 舞台ですでに演じているという方もいるのですが、本作りから基本的にマンガ原作を大事にして、坂道くんや坂道くんが出会う人との友情関係を丁寧に描いていきたいと思っています。キャラクタービジュアルでいうと、それぞれの髪の色にも非常にこだわりました。Y's Roadさんには僕がわがままを言わせていただいたのですが、一番の見どころは今泉が乗っているSCOTT(スコット)。全世界で青っていうカラーは1台もありませんので、わざわざ作っていただきました。このカラーは世界中どこにもないんですよ。

Y's Roadのスタッフが約2週間かけて制作した特注のSCOTT。このカラーモデルは世界にこの1台のみ

ドラマで使用される本物のロードバイク

──プロも乗っていない特注品なんですね。

棚澤 原作に沿って、今泉のカラーは青、鳴子のカラーは赤です。坂道くんが初めに乗っているママチャリもY's Roadさんにイチから作っていただきました。千葉から秋葉原まで通ったママチャリというのを再現してもらっています。坂道くんはオタクという設定なので、原作者の渡辺航先生が作り上げているオタクなグッズとかのイメージも、美術スタッフを中心にできる限り再現しようと頑張っています。

小野田坂道がドラマの序盤で乗る自転車。こちらも約2週間かけて制作した特注品

──今日は舞台キャストも半分ほど登壇していますが、作品としての舞台とドラマの違いはどういうところにあると思いますか?

小越 まず大きく違うのは、舞台ではハンドルだけで自転車に乗っている表現をしていたんですけど、ドラマでは実際にロードバイクに乗るということです。個人だけじゃなく、みんなで走るシーンもすごく苦労して作っています。ドラマ版ということで登場人物も増え、女性陣が加わったり学校の中にも生徒がいたりしていますが、それが自分の中でも新鮮で難しい部分でもあります。でも掛け合いがすごく楽しいですね。

郷本 僕と箱学のメンバー(鈴木さん・植田さん・宮崎さん)は舞台のスタートの段階からやっているので、ドラマ化という意味ではさまざまな思いが各々にあると思います。舞台での表現はオーバーに動きを表現しているのですが、繊細になっていくドラマ版での作業は難しく感じました。

でも、自分たちにとってはすごく夢のあることだなと思いました。実際に舞台でやっていたことを、キャストもほぼ一緒のままドラマでやるなんてすごくありがたい話です。巻ちゃん(巻島)のせりふで「ドリームっショ!」っていうのがあるんですけど、馬場良馬(舞台版の初代・巻島役)と友常勇気(舞台版の2代目・田所役)に現場で出会ったときに「これドリームっショ!」って自然と言ってしまうこの状況を見て、いろいろな垣根を越えてドラマ化されることになったんだなと実感しました。ドラマは棚澤監督やスタッフさん、みんなで繊細に作り上げていっています。

みなさんに見ていただいたときに、筋肉の動き一つ一つや、カメラが近くに寄ったときに「こんな表情をしていたんだ」というような舞台版では分からなかったことの熱が伝わればいいなと思っています。

──箱学のメンバーはクランクイン前ということですが、ドラマ版に参加することへの意気込みはありますか?

鈴木 舞台でも初演から関わらせていただいているので、また一つ新しいものがスタートするんだなという意識で臨もうかなと思っています。舞台のお話を頂いてコミックスを初めて読んだ時に、世界観にすごく引きこまれました。ロードレースって楽しいんだなと感じたその時の思いを、このドラマでも再び味わいたいです。

キャストたちと目標にしていた舞台のインターハイ3日目(2015年3月上演「舞台『弱虫ペダル』インターハイ篇 The WINNER」)までやりきって、自分の中で1つの目標を達成して荒北という役を演じ終えたんですけど、こうして思ってもいない角度からまた荒北靖友と一緒に走れる機会をもらうことができたので、もう一度走れるという時間を大切にしたいなと思います。あとはもう、ドラマを楽しんで作って届けたいです。

植田 舞台とドラマというのは作り方も演じ方も全然違うものだと思っています。舞台で『弱虫ペダル』という作品に出会って、真波山岳という役に出会って、それぞれがそれぞれのキャラクターと出会って……作品が好きになって、作品の魅力に今でもずっと惹(ひ)きつけられています。これからの人生ずっとそうだと思います。ドラマでも同じ役を続けられるということはそんなにないので、新しいメンバーも含め、この出会いを大切にしたいと思っています。小越勇輝くんの演じる小野田坂道とは舞台で共演しているんですけど、最初のシーンとかは(小越さんは2代目のため)やってないもんね。

小越 そうですね、あんまりちゃんと絡んでないですもんね。

植田 そう。舞台では絡めなかったので、ちゃんと“小越坂道”と出会って、また物語が始まるというのは僕の中ですごく感慨深いです。こいつ、人見知りで俺になついてこなかったんですよ(笑)「俺、嫌われてんのかな?」ってずっと思ってて。最近は来てくれるから、かわいいなと。頑張ろうな。

小越 ………はい(笑)。

植田 よそよそしさの極みやな(笑)。もう、楽しみに尽きるなと思っています。

宮崎 舞台からずっと新開という役をこだわって作ってきました。舞台のインターハイ3日目まで走りきって、こだわり抜いたかなと自分の中で思っていたところでまたこうしてドラマで演じることができるので、ドラマでの新開という新しい一面が作れるんだな、見られるんだな、また新開隼人という男をこだわって作れるんだなというのがすごく嬉しいです。箱学のメンバーとまた一緒に走れるというのも楽しみで、その空気感も大事にしたいと思います。

──女性の登場というのも、ドラマならではのポイントです。幹と綾は坂道くんとの絡みがあり、ファンにとっても楽しみなところ、見どころだと思います。

桜井 舞台版では男性キャストだけだったんですけど、ドラマ版では幹と綾が女性キャストとして出演します。女性が加わったことで変化が見られたらいいなと思います。私は(役として)マネージャーをやっているので、撮影のときは男性陣とばかりが多くて……年もかなり離れてて……(笑)。

郷本 もう本当にね、娘を見る感覚になるんですよ私からすると(笑)。

桜井 舞台から一緒という方も多くて、溶け込めるかなと思ったんですけど、今のようにみなさん優しく温かく迎え入れてくださったので(笑)。楽しく撮影ができています。

野口 橘綾を演じるために、髪を20cmほど切りました。実は父親が『弱虫ペダル』の大ファンで。ここ半年くらい何も喋ってなかったんですけど……(笑)。「弱虫ペダル出るんだよ」って言ったら「おお~!」って。それから毎日会話するようになりました。今回参加できてとても嬉しいです。

──ファンとしても「坂道くんは幹なの?綾なの?」と気になるところもあると思います。

郷本 どっちなの?

小越 女性と絡むのは坂道くんみたいにどきまぎするというか……。本当にそういう感じが出ているというか。どっちかということに関してはちょっと、あれですけど……(笑)。

──青木さんはマッスルスプリンターの役ですが、体づくりは万全ですか?

青木 まだ撮影が始まっていないので筋トレをしているんですけど、ただひたすら寂しいですね(笑)。筋トレは結構孤独で。基本的にトレーナーさんを付けずに一人でやるんですけど、会話相手がいないので(泉田のように)筋肉に喋りかける気持ちが分かります。自然に「よしよし、今日も頑張ったな」って話しかけちゃうんですよね。

──8月26日からの放送が楽しみです。最後に主役の小野田坂道役・小越勇輝さんから一言お願いします。

小越 こうして現場の雰囲気や今の状況を製作発表会で報告することができて良かったです。僕自身、クランクインするまではどうなるんだろうという不安がたくさんあったんですが、キャストやスタッフのチームワークや和気あいあいとした空気の良さで毎日楽しく撮影を進めています。撮影したシーンがつながったときにどうなるか、まだすべてが見えているわけではないんですけど、ドラマにしか出せない『弱虫ペダル』の良さが出せるんじゃないかなと思っています。放送日まで、みなさんも僕たちも楽しみにしながら、最終話までけがなく安全第一で撮影をしていきたいと思っています。

トーク中には、キャストも初めて見るというキービジュアルも公開。いよいよ間近に迫りつつある放送開始に向け、キャストの勢いを感じさせるデザインとなっていました。

実写ドラマ「弱虫ペダル」は、毎週金曜日の午後9時~午後10時にBSスカパー!(BS241/プレミアムサービス585)で全7話を放送。スカパー!オンデマンドでも配信されます。第1話の放送は、8月26日(金)午後9時~午後10時。ドラマをさらに楽しむためのナビゲート特番「BSスカパー! オリジナル連続ドラマ『弱虫ペダル』事前特番 ドラマ『弱虫ペダル』徹底ガイド」は、7月29日(金)午後9時~午後10時に放送されます。

BSスカパー! オリジナル連続ドラマ「弱虫ペダル」

<番組概要>

放送日時:2016年8月26日(金)から毎週金曜日 午後9時~午後10時 全7話
チャンネル:BSスカパー!(BS241/プレミアムサービス585)

<キャスト>

小野田坂道:小越勇輝
今泉俊輔:木村達成★
鳴子章吉:深澤大河★
金城真護:郷本直也
田所迅:友常勇気
巻島裕介:馬場良馬
手嶋純太:鯨井康介
青八木一:八島諒
古賀公貴:輝馬
杉元照文:平井浩基★
寒咲通司:安里勇哉
寒咲幹:桜井美南★
橘綾:野口真緒★

福富寿一:滝川英治
荒北靖友:鈴木拡樹
東堂尽八:北村諒
新開隼人:宮崎秋人
泉田塔一郎:青木空夢★
黒田雪成:秋元龍太朗
真波山岳:植田圭輔

御堂筋翔:村田充

※★印は舞台版も含め初出演のキャスト

<スタッフ>

原作:渡辺航『弱虫ペダル』(秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載中)
監督:棚澤孝義
脚本:吹原幸太
宣伝協力:マーベラス
制作協力:ドリマックス・テレビジョン
制作:東宝映像事業部
製作:スカパー!
著作:スカパー!/東宝/舞台『弱虫ペダル』製作委員会
Twitter:@sptv_yowapeda

BSスカパー! オリジナル連続ドラマ「弱虫ペダル」事前特番 ドラマ「弱虫ペダル」徹底ガイド

<放送概要>

放送日時:2016年7月29日(金)午後9時~午後10時
チャンネル:BSスカパー!(BS241/プレミアムサービス585)

文: あおきめぐみ

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