ブーンという機械音を立てながらリズミカルに歩き回る、あの”キモイ”四つ足ロボット「BigDog」を皆さんは知っているでしょうか。氷の上を走らされていたり、なぜかいつも登場するたびに蹴られていたりと何だかとても可哀想なロボットですが、今回はそんな彼が登場したエントリーをまとめてみました。
■ BigDogが話題になった経緯
<2006年にYouTubeで動画公開>
▽ ロボットラバが開発される | スラド
「BigDog」が私たちの前に登場したのは、2006年のはじめのこと。当時世界中でネットユーザーの注目を集めつつあった、まさに黎明期のYouTubeにBoston Dynamics社が動画を投稿したのが、私たちネットユーザーと彼のファーストコンタクトでした。
▽ http://www.youtube.com/watch?v=mpBG-nSRcrQ
もちろん、あまりにも気味の悪い動きの「BigDog」は、ネットユーザーに大ウケ。YouTube初期のヒット動画の一つになりました。
<Boston Dynamics社とは?>
▽ Home | Boston Dynamics
▽ BostonDynamics - YouTube
▽ Boston Dynamics社が軍事用に開発した、生き物のような動きをするロボットベスト3 : カラパイア
Boston Dynamics社は、MIT(マサチューセッツ工科大学)のレッグラボラトリーで、ホッピングロボットの研究していたMarc Reibert氏が設立したリアルタイム人間シミュレータとロボットを開発している会社。過去には、ソニーデジタルクリーチャーラボと共同で Running AIBOを開発したり、QRIOのシミュレータを受注したりしていたんだそうだ。
「BigDog」の動画を投稿したBoston Dynamics社はまさにこのロボットを制作した会社で、プロモーション戦略としてこの動画をYouTubeにアップロードしたのだそうです。YouTubeを宣伝に使うという発想がまだまだ一般的ではなかった時代ですが、その目論見は大当たりだったと言えそうです。
<BigDogの仕組み>
▽ コラム: 鹿野 司の「人生いろいろ、ロボットもいろいろ」-BigDogの秘密にせまる-
気になる「BigDog」の仕組みですが、例えば科学技術評論家の「鹿野司」さんの上のエントリーが参考になりそうです。
アシモは外乱には弱いけど、機械のような正確さは実現できる。
ビッグドッグは外乱に強いけど、機械のような正確さはできない。
・・・(中略)・・・
用途によって、正確さを取るか、ロバストネスを取るか、そのバランスの取り方の判断は、色々ありえるはずだ。
アシモのような「王道的な制御」で作動するロボットとは違う、「BigDog」の「ロバストな歩き方」についての解説と考察が書かれています。なぜか登場するたびに蹴られていたのは、ロバスト性(=外からの刺激に対して現状維持できる能力)の高さを示していたわけですね。
■ その後のBigDog
<ますます進化するBigDog>
その後も、「BigDog」は改良が重ねられており、そのニュースが報じられる度にネットユーザーの話題の的になっているようです。
▽ 痛いニュース(ノ∀`) : あのキモい四脚ロボ「BigDog」が進化。蹴られても、氷上で滑っても転ばず - ライブドアブログ
▽ http://www.youtube.com/watch?v=W1czBcnX1Ww
▽ 「BigDog」が走行速度を更新、現在時速8キロでの走行が可能に
上の記事はますます「BigDog」が外乱に強くなったという話で、製作者のサディストっぷりがますますヒドくなった動画を見ることができます。下の記事は、歩行速度が上昇したということを報じた今年の記事です。
<プロモーションビデオも作られる>
単に実験風景を撮影した映像だけではなく、プロモーションビデオのような映像も作られました。
▽ http://www.youtube.com/watch?v=P0s7aRUIoTw&NR=1
こちらでは、海岸を「BigDog」が水を跳ね散らかせながらはしゃぎ回る様子を見ることができます。
また、ユーザーによるネタ動画も多く作られているようです。
▽ あまりにバカバカしい「BigDogベータ版」(動画) | ギズモード・ジャパン
▽ http://www.youtube.com/watch?v=VXJZVZFRFJc
▽ きょうの キモい わんこ - ニコニコ動画
上は世界的に話題になった、二人の男性による「BigDog」実演動画。蹴られて普通にこけている辺り、もはや「BigDog」の方が人間より外乱に強かったりして……なんて思ってしまいますね。下の方は、朝のニュース番組内の人気コーナーのパロディ。確かに「BigDog」という名前を考えると、「わんこ」で間違いないですね。
<「弟」たちが登場>
▽ 痛いニュース(ノ∀`) : あのキモイ4足歩行ロボットに弟が誕生 - ライブドアブログ
▽ 痛いニュース(ノ∀`) : Boston Dynamics社がリアルな動きで速く歩く二足歩行ロボットを開発 - ライブドアブログ
▽ http://www.youtube.com/watch?v=67CUudkjEG4
もちろん、Boston Dynamics社は「BigDog」だけを作っているわけではありません。「BigDog」の弟なんて言われている「LittleDog」や、最近話題になった二足歩行ロボット「PETMAN」なども、この会社の作品です。
この二つもまた「動きがキモイ」という声が上がっているようですが、果たして彼らが「不気味の壁」を超えられる日は来るのでしょうか?
■ 遂に戦場に投入?
ところでこの「BigDog」、そもそもは米国政府機関が戦場での物資輸送を目的として出資して、開発されていたものでした。
▽ 4脚ロボットBigDogが戦争の顔を変える!?(動画) | ギズモード・ジャパン
米陸軍との練習風景を紹介したこの2009年の記事では、「BigDogの戦場デビューはあと数年後ぐらいに実現するんじゃないか」なんて書かれていましたが、遂に今年大きな動きがあったようです。
▽ 4脚ロボット「BigDog」いよいよ出陣か!? | ギズモード・ジャパン
そのBigDogの最終版が完成し、名前も新たに「LS3」となったようです。
そして、ついに国防総省国防高等研究事業局が米国海兵隊のためにLS3を使用してもOKと
Boston Dynamics社との契約を承認したんです。ということは・・・実戦での任務にデビューする日が近づいたってこと。
「BigDog」、もとい「LS3」が戦場を縦横無尽に駆け回る日が来るのも近そうですが、そんなことが無いようにしたいものですね。