日本SF作家クラブが主催する「日本SF大賞」は12月8日、第33回の大賞受賞作品に、月村了衛さんの『機龍警察 自爆条項』と宮内悠介さんの『盤上の夜』を選出したと発表しました。特別賞は、故・伊藤計劃さんによる未完の長編小説で、円城塔さんが執筆を引き継いだ『屍者の帝国』が受賞しています。
▽ SFWJ:list33(受賞作発表ページ)
▽ 【速報】 日本SF大賞・日本SF評論賞決定 : ニュース : SFWJ50
日本SF大賞は、対象年度内に発表されたSF作品から最も優れた業績を選んで顕彰し、SF界の発展に寄与することを目的に創設されました。小説に限らずさまざまなジャンルやメディアを選出対象に含んでおり、これまでに映画「ガメラ2 レギオン襲来」やアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」も大賞を受賞しています。
第33回の大賞に選ばれた『機龍警察 自爆条項』は、異形の未来兵器が活躍する“至近未来”を描いた警察小説です。作者の月村さんは2010年に小説家としてデビューするまで、アニメ「天地無用!」や「少女革命ウテナ」などに脚本家として参加していました。もう1つの大賞受賞作『盤上の夜』は、四肢を失った若き女流棋士の栄光を描いた表題作を含む、連作短編集です。2010年には表題作が第1回創元SF短編賞 山田正紀賞を受賞したほか、2012年には第147回直木賞の候補に選ばれました。
特別賞の『屍者の帝国』は、執筆を進めていた作者の伊藤さんが2009年に亡くなったことで未完となっていました。しかし、伊藤さんと同時期に作家デビューした円城さんが、2012年1月に「伊藤計劃が残した原稿を完結させる」と芥川賞の受賞記者会見で宣言。執筆を引き継ぎ、同年8月に河出書房新社から刊行しました。
▽ 故・伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』8/24発売 遺稿が盟友の手で完成するまでの経緯を公開 - はてなニュース
これらの受賞作について、はてなブックマークのコメント欄には「機龍警察が、もっと沢山の人に読まれたら嬉しいなあ」「『屍者の帝国』が特別賞というのは、まさに想像していた通り」「機龍警察が更に店頭で推される展開、良い」といった声が集まっています。
- 作者:月村 了衛
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/07
- メディア: 文庫
- 作者:宮内 悠介
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/10/25
- メディア: Kindle版