独立行政法人 水産総合研究センターは2月12日(水)、人工的に生産したニホンウナギの仔魚(レプトセファルス幼生)を、大型水槽で稚魚のシラスウナギに変態するまで育てることに成功したと発表しました。新たな飼育方法の開発で、完全養殖ウナギの安定生産への道が見えてきたとのことです。
▽ 260212|プレスリリース|水産総合研究センター
養殖のニホンウナギは、捕獲した天然のシラスウナギを育て、生産されています。しかし近年、シラスウナギの不漁が続いており、ウナギ養殖業の存続が懸念されていました。
水産総合研究センターは2002年、世界で初めて卵から育てたウナギ仔魚をシラスウナギに変態させることに成功しました。2010年には、人工生産ウナギを親に育て、次世代を誕生させる完全養殖にも成功。2012年から、大型水槽を用いた飼育開発研究に取り組んできました。
ウナギ仔魚飼育の研究開発にはこれまで、5~20リットルの水槽が用いられてきました。しかし、個別に視認しながら手作業で飼育管理を行う必要があるため、透明な水槽に限られていました。加えて、1水槽当たりの生産量の少なさ、細菌発生による生存率の減少などが問題になっていました。
今回の研究では、不透明な1,000リットルの塩化ビニール製水槽を使用しました。2013年6月から約28,000尾のウナギふ化仔魚を飼育したところ、同年12月9日に184日齢で1尾がシラスウナギに変態。2014年1月には、変態尾数が17尾となり、残りの仔魚も成長を続けているとのことです。
水産総合研究センターは、この水槽を用いたウナギの飼育手法について特許を出願中です。今後も大型水槽を用いた飼育試験を継続し、シラスウナギ大量生産技術の開発に取り組むとのことです。