2014年7月、エンジニア向けのQ&Aサイト「teratail」がリリースされました。技術系のQ&Aというと「Stack Overflow」が思い浮かびますが、teratailはどのようなサービスを目指して運営されているのでしょうか? 「勉強会」「エンジニア同士の交流」などのキーワードを軸に、サービスについてお話を伺いました。
(※この記事はレバレジーズ株式会社によるPR記事です)
藤本 メディア・システム部、teratail プロジェクトリーダーの藤本です。
本橋 メディア・システム部の本橋です。teratailの開発側のリーダーとして立ち上げから関わっています。
―― teratailはエンジニア向けのQ&Aサイトですが、立ち上げの経緯から教えてください。
▽ teratail【テラテイル】|思考するエンジニアのためのQAプラットフォーム
本橋 立ち上げは2014年7月ですが、構想はもう少し前からでしたね。
藤本 ある日、代表との会話のなかで「エンジニアのためになるものを作りたい」という話になり、そこからレバレジーズにできることはないかを考え始めたのがきっかけでした。複雑なものからシンプルなものまでアイデアはさまざまでしたが、最終的に「Q&Aサイト」に決めました。
―― エンジニア向けのQ&Aサイトというと、有名なところで「Stack Overflow」が思い浮かびます。
▽ Stack Overflow
▽ Stack Overflow日本語版開設へ、バイリンガルのコミュニティマネージャ募集中! - Publickey
藤本 Stack Overflowは、大学時代に研究室でプログラミングをしていた際、よく見ていました。ただ僕自身、英語は多少できるのですが、読むならともかく、技術レベルの英語を書くのは本当に苦労しました。リファレンスとして読んでいらっしゃる日本人エンジニアさんはたくさんいると思いますが、書くとなるとぐんとハードルが上がる印象です。この経験から、日本語で投稿できるサイトは需要があるだろうと考えました。
―― Stack Overflow日本語版開設へ、という話も聞こえてきますが、意識はされましたか?
藤本 意識する部分がないといえばウソになると思います。Stack Overflowもそうなんですが、FacebookやTwitterなど、アメリカのサービスが日本で多くのシェアを取っているのを見ると少し悲しい気持ちになりますね。戦うというより、日本のサービスを日本人でブラッシュアップしていきたいという気持ちは大きいです。
―― 日本のサービスですと、Qiitaが当初エンジニア向けQ&Aサイトとしてリリース後、2ヶ月で技術情報共有サイトにピボットしました。
藤本 Qiitaさんの取り組みはすごく素晴らしいと思っています。teratailではエンジニア同士のコミュニケーションや交流に重点を置きたいと思っていました。特に、僕らは、勉強会などで起きている情報交換や議論を、オンラインでも活発化させたいという思いがあったんです。その実現のためには、Q&Aの形式が最も向いているのではないかと考えました。
―― 勉強会ですか!
藤本 はい。勉強会の場では、質問して、議論して……ということが行われていますが、オンライン上には資料はアップされても、そこで起きた議論や質問が第三者には見えにくいですよね。オンラインで、質問や議論の結果が見えて、かつ記録として残せるようにしたかったんです。
■ リリース2ヶ月でのユーザー数や回答率は?
teratail プロジェクトリーダー
藤本直也さん
―― リリースから2ヶ月ほど経ちましたが、ユーザー数などの数字はいかがでしょう。
藤本 teratailへの登録数が2,000ユーザーを超えてきたぐらいです。
本橋 回答が付いた質問は1,400件ぐらいですね。
藤本 KPIとして、回答が付く割合を特に重視しています。現状、回答率は96~98%くらいで、質問するとだいたい回答が付く状態ですね。
―― 「人気のタグ」を見ると、PHP/Java/Rubyが多いですね。こういったサイトでは最初に使い始めるユーザー層でサービスの色が決まっていく側面もあると思いますが、そのあたりは?
藤本 弊社オフィスが渋谷にあるということもあって、ローンチ前から渋谷近辺の企業やエンジニアの方にご協力いただいて、ユーザーテストやヒアリングを行いました。Web系でPHP/Java/Rubyを使用している方が多かったのが、今の「人気のタグ」につながっているのかもしれません。
―― もうちょっとこの言語や技術のQ&Aも増えてほしい、などはありますか?
藤本 新しい言語や技術のQ&Aも増えるとうれしいなと思っています。最近だとSwiftとか。
本橋 あと、弊社はPHPがメインなのですが、Laravel(PHPフレームワーク)を使い始めたので、その辺りの話が増えるとうれしいですね。
▽ Laravel - The PHP framework for web artisans.
―― エンジニア向けということで意識した機能や、今後さらに実装予定の機能はありますか?
藤本 Markdownで書ける点や、シンタックスハイライトなどの基本的な部分はもちろん実装しています。
Markdownで書ける
―― Markdownいいですね。
藤本 あとは、エンジニアさん同士のオンライン上での交流を増やしていきたいという思いがあるので、それを実現するための機能を考えています。現状は他のユーザーのフォロー機能を実装していますが、今後はさらに回答依頼機能なども加えていきたいです。
―― 回答が評価順に並び変わる機能の実装予定はありますか?
藤本 検討したんですが、最初はどちらが喜ばれるか分からなかったので、まずは時系列でリリースしました。その後、やはりユーザーの方から要望の声が多くあがったので、機能を追加していく予定です。
■ 「勉強会」のような価値をオンライン上に
―― 目指すゴールなどはありますか? ここまで「勉強会」「オンライン上での質問や議論」といったキーワードが出てきましたが。
藤本 エンジニア同士の交流によって成長が生まれる場面を作っていきたい、というのがゴールです。しかもその記録が第三者にも見える形で残る。
メディア・システム部
本橋佑介さん
本橋 teratailの開発が始まったとき、僕はベトナムでオフショア開発に関わっていたんですね。ベトナムにいると、みんな英語が話せるんですけど、最新の技術情報にリーチできる人は本当に少ないんです。そうやって情報が手に入らない場所がある一方で、日本は入ってくる情報のレベルがすごく高いじゃないですか。
―― ふむふむ。
本橋 ただ、東京で勉強会は盛んに行われているけど、そこでの情報が一気に広まるかというと、そこまでではない。地方とかで、すごく面白い勉強会をやっているのに、参加者が5~6人であるとか……。もったいないですね。
―― たしかに、東京だと勉強会がたくさんあるし人気のものは100人以上集まったりしますけど、地方だとなかなか大変ですよね。
本橋 そうなんです。だからteratailも勉強会がキーワードで、実際に参加しているかのような感覚をオンライン上でも実現させ、日本全体の底上げにつながればと思っています。日本人を最強にしたい!
藤本 サイトのキャッチコピーに「勉強会」というワードを使おうか、という話もあったくらいです。勉強会系の機能開発も進めています。僕達のゴールと勉強会はすごく近いんです。いろんな側面でエンジニアの交流を支援したいですね。
サイトには、Facebook/Twitter/Google+/GitHub/はてなアカウントでログインできる
本橋 例えば勉強会のアフターケアに使えるような機能なども考えています。
藤本 具体的に考えている機能のひとつに「イベントタグがあります。いま、タグはPHPなどの軸のみですけど、今後は勉強会やイベントの名前がそのままタグになって、あのときの勉強会での関連の質問を投稿したり見つけたり……ということができるようになる予定です。
―― 勉強会名がそのままタグに!
藤本 現場で、全員と話したいけど話せない、手を上げて質問したいけどできないというケースって少なくないと思うんですよ。teratailが勉強会に参加する方々の交流の場を提供し、気軽に質問・交流できるようにしたいんです。
■ リリース当初の規約や海外からのアクセスについて
―― リリース当初、はてなブックマークで厳しいご指摘なども上がっていましたので、そのあたりもお聞きしたいです。
藤本 はい。
編集部注:リリース当初、サイトは「http://teratail.com/」として公開されていましたが、取材後の2014年8月に「https://teratail.com/」に変更されました。それまでに付いたはてなブックマークのコメントはこちらからご覧いただけます。
httpからhttpsに移行した理由についてteratailに追加取材したところ、「Googleによるhttpsへの移行の推奨があったこと」と「セキュリティの強化」の2点であるという回答が得られました。
―― 目立ったのが、登録情報のあたりの話ですね。登録情報が多すぎるのではないかという声があって、その後、規約も修正されたとのことですが。
藤本 立ち上げ当初、ユーザーの方にはご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした。ご指摘を受けて、なるべく簡単に登録できるように修正しました。利用規約は法務部に依頼をしたのですが、カバー範囲を多く書きすぎてしまいました。求めに応じて住所や氏名を、というのも規約に書かれていて、お恥ずかしながら僕もリリース後にそこまで必要がなかったなと気付き、急いで法務に確認・修正したという経緯があります。
―― 海外からアクセスできないという声もあります。
藤本 今のところIP制限はしています。もともと7月のリリースはベータ版に近い部分があったので、最初は日本限定で始めたいという意図がありました。海外の日本人からの声もありがたいことにあがってきていて、そろそろ制限を外すことを検討しています。
―― あと、teratail自体とは関係ないのですが、フルスタックエンジニア講座説明会というイベント告知が、その内容や、表記などが当初誤っていたことで話題になりました。レバレジーズさんは「講座の運営支援」となっていましたが……。
藤本 申し訳ございません。teratailとは別部署で担当していることですが、より正確な情報の記載を心がけ、内部チェックフローの改善に取り組んでいます。これに限らず、社内でコミュニケーション不足な部分がユーザーの方の信頼性を欠く印象を与えてしまったと考えております。こちらも改善してまいります。
■ 収益化は「考えていない」
―― teratailについても、運営企業が人材事業をされているということで、そのビジネスに使いたいからではないのか、というふうに見られる面はどうしてもあると思います。teratailのビジネス部分、収益化についてはどのようにお考えですか?
藤本 収益化については、teratail上でユーザーの方に質問されるくらいです。実際、ベンチャー企業ですし、人材事業も行っていますから、お金に結び付く発想にはなるかと思います。ただ、今のところ収益についての目標は設定していません。
―― いっさい考えていない?
藤本 はい。ただ、会社としてやっていることなので、会社にどんなメリットがあるかという部分は説明しないといけないと思っています。1つは広報的な側面。もう1つは、日本の開発のスピードを上げていくインフラになりたいんです。そうやって開発が盛り上がっていけば、弊社は人材事業の会社ですから、案件が増えて、まわりまわって会社が収益を上げられると考えています。社長が僕にエンジニアのためになるものを考えて、と言った理由もここにあります。
―― なるほど、teratailのようなサイトを通じて、市場そのものを大きくしていくというイメージですね。
藤本 そうですね。
―― 最後に、このように使ってほしいなど、メッセージがあれば。
藤本 勉強会やイベントの関連機能など、ご要望いただける主催者の方がいましたら、ご連絡いただければと思います。まだまだ立ち上がったばかりで、不十分なところも多いと思いますが、ぜひエンジニアのみなさまに一度ご利用いただきたいですね。
本橋 個人で質問するだけでなく、例えばコミュニティ内で使ってみるとか、盛り上げたい言語や技術があればteratail上でその話題を出していってみる、などを試してみていただけるとうれしいですね。
―― ありがとうございました。