ヤマト運輸は、3月31日(火)の受け付け分をもって「クロネコメール便」のサービスを廃止すると発表しました。理由は、メール便で送ることが法律で禁じられている「信書(手紙)」と、メール便で送ることができる「冊子や書類」の区別が曖昧なため。違反すると運送事業者だけでなく送り主まで罰せられることから、リスクを防ぐために廃止する決断に至ったと説明しています。
▽ クロネコメール便の廃止について | ヤマトホールディングス
信書は、郵便法および信書便法で「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定義されています。ヤマト運輸によると、その定義は「極めて曖昧」で、同一文書であるにもかかわらず、輸送の段階で「信書」と「非信書」に分かれる場合があるとのこと。特に個人向けの書類については、総務省に問い合わせても「信書か否か」がすぐに回答されないケースが多発しているそうです。
同社は、送り主がクロネコメール便で信書に該当する文書を送ってしまう事例についても説明。運送事業者だけでなく、送り主まで郵便法違反容疑で書類送検されるなどのケースも発生しているそうです。さまざまな解決策を試みたものの、信書規制の改革が進まず、送り主のリスクを防げない状態が続いていることから、同社はクロネコメール便の廃止を決断。「安全で安心なサービスの利用環境」と「利便性」を同社の努力だけで持続的に両立することは困難であると、その理由を説明しています。
なお4月1日(水)からは、クロネコメール便から名称を変更した「クロネコDM便」を、法人の利用者向けに用意するとのこと。申し込みの際に内容物の種類を確認できるカタログ・パンフレットなどの「非信書」に限定し、運賃体系を見直して提供します。「小さな荷物」のやりとりにクロネコメール便を使っていた個人や法人の利用者向けには、同じく4月1日から新サービスを提供するとしています。