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「さくらの大納涼会2018 at 北海道」開催直前! さくらインターネットが北海道で事業をやってきて思ったことを田中社長に聞いてみた

北海道での事業展開に注力するさくらインターネットが、2018年8月2日に豪華ゲストを招く「さくらの大納涼会2018 at 北海道」を開催!その前に、さくらの社長・田中邦裕さんに「なんで北海道?北海道で事業を行うってぶっちゃけどう?」と聞いてきました。記事の最後にはイベントの募集要項があります!なんと「石狩データセンター見学付きチケット」も……。

石狩にデータセンターをオープンして以降、さくらインターネット(以下、さくら)は北海道での事業展開に注力しています。データセンターはいまや3号棟まで増設し、現地でのエンジニア雇用にも意欲的です。そして来る8月2日(木)、さくら、そしてはてなのエンジニアに加え、豪華ゲストエンジニアが集まり「技術と北海道のこと、語り倒そうぜ!」なイベント「さくらの大納涼会2018 at 北海道」が開催されます! しかし、そもそも大阪の会社であるさくらは、なぜこうまで北海道にこだわりを見せるのでしょうか? 「なんで北海道? あと、北海道で事業を行うって、ぶっちゃけどう?」と、さくらの社長、田中邦裕さんに聞いてきました。記事の最後には、イベントの募集要項もあります!

※この記事は、さくらインターネット株式会社の提供によるPR記事です。

■ 最初の印象は「遠すぎる」

──北海道・石狩の地にデータセンターをオープンした当時は、巨大で最先端の施設ができたということで話題になりました。それからずいぶん時間が経過しましたが、あらためて、北海道にこうした施設を建設した背景を教えてください。

田中邦裕さん(以下、田中) オープンしたのが2011年11月ですから、今年で8年目を迎えますね。現在、3号棟まで稼働しています。でも、そもそもでいうと、北海道にデータセンターを作るつもりはありませんでした。「都市型データセンター」を前提としていたので、都市郊外、千葉や岐阜といった3大都市圏から近い場所に加えて、東海道本線沿線を候補地として検討していたんです。北海道庁からは熱心な誘致を受けていたのですが、さすがに遠すぎるだろうと。

さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中邦裕さん
さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中邦裕さん

──それがなぜ北海道に?

田中 現地に行ってみたら、データセンター運営に対する既存の価値観とは違う施設が作れそうだと感じたんです。とにかく広大なのがまずひとつ。行ってみたらとにかく広いんですよ。土地があるということにはいろいろなメリットがあります。例えば、土地が狭いと空間を確保するには高層の建物が必要になり、そうすると耐震や免振構造も欠かせないのでコストがかさむ。でも、広い土地、かつ地盤がある程度しっかりしていれば、そういったコストを低減しながら安全性も高められます。設備を拡大する際も、土地代が安いので増設すればよい、という考え方もできます。我々は10年前はラックをお客様に貸すビジネスがメインだったので、1ラックあたりの価格を安くしなければならない。そのためには大きなセンターを作らないといけないというジレンマがあったのですが、その状況を変えるきっかけになりました。

もうひとつは、省エネだという点です。北海道の寒さのおかげで、コンピューターを冷やすためのコストが浮くんですよ。あと、当時は人件費が安いということも言われました。


2017年12月に稼働を開始した3号棟イメージ(データセンター紹介より)

──北海道側からすれば、誘致が成功したことになりますね。誘致には助成金がつきものですが、なかなか誘致した企業が根付かないという話も聞きます。

田中 金の切れ目が縁の切れ目、っていう話ですね。でも弊社はもう固定資産税の減免も終わっているし、新規で作ったものに関しては助成金も出ないですからね。その土地に根付くかどうかというのは、その土地で事業を行う必要性がある企業、例えば、いったんそこで事業を始めたら別のところに移れないとか、そういう会社を誘致すべきだと思っています。

──さくらさんは、その点が北海道という土地と合致していたわけですね。

田中 データセンターはそんな簡単に移動できませんからね。ずっとサービスを継続して提供し続けているので、工場の生産ラインのようにいったん区切りをつけて次の生産に移る、みたいなことは無理です。お客様が全員同時にすぱっと解約する、ということはあり得ないですからね。

■ コンシューマービジネスなら給与による地域差があるのはおかしい

──「当時は人件費が安いと言われた」ということですが、現在その状況は違ってきているんですか?

田中 北海道進出当初は、弊社の社員は5人しかいなくて、あとは派遣社員さんなどでした。当時はコストを抑えることが第一で、安く、自社の社員数を増やさないという風潮があったように思います。「狭義の効率性」で言えば、自社の社員は増やさないほうが経営効率はよくなるんです。ただ、短期的な効率化だけを重視する流れの中からは、イノベーションは生まれないんですよ。いま、石狩のデータセンターでは、エンジニアは当社の社員です。エンジニアは自社のサービスを支える人間であって、それが外部人材というのは違和感があります。強みの部分はしっかりと中に入れていく、という方針です。40人くらいが石狩データセンターで働いているので、全社員の1割くらいを占めるようになりましたね。そして、北海道に限ったことではないですが、どの都市で働いていても、弊社の社員の給与水準は同じです。

──それができるのはなぜですか?

田中 さくらの事業は、コンシューマービジネスです。「コンシューマー×データセンター」という事業は日本ではあまり存在しなくて、それが我々独自の立ち位置でもあります。1件あたりの値段は高くないけれど、大口取り引きのように割引を求められることがなく、お客様と一緒に伸びていける。直接雇用で同一賃金を払えるのも、コンシューマービジネスだからなんです。はてなさんとかLINEさんとか、全国で同一賃金のところも増えてきましたけど、みんなコンシューマービジネスですよね。値引き合戦に陥るビジネスですと、競合企業がなくなってしまうことまで起きますし、よくないですね。

──どの地域にいても、さくらのエンジニアはそのビジネスモデルの上で仕事をしていると。

田中 石狩のエンジニアは必ずしも石狩の仕事だけをしているわけではありません。もちろん現地でしかできないこともありますが、基本的には地域差はなく、全国のエンジニアで仕事を分担しています。自社のプロダクト、サービスを作るうえでは、別にどこで作っても一緒ですから。だから、給与に差があるというのはおかしいですよね。

──1ヶ所に社員が集中していたほうが管理はしやすいのではないか、と感じますが。

田中 弊社でも10年くらい前は、社員を東京に集めようとしましたが、むしろ東京から離れている方が効率やアウトプットは上がる人もいるだろう、という予想があり、3年ほど前に東京集中の考え方を止めたんです。

もちろん、東京で働きたい人は働けばいいんです。私自身も東京が嫌いじゃないですしね。都市では通勤時間とか生活コストの高さといった課題がありますが、大きな足かせとなっている給与の地域差がなければ、他の都市で働くという選択肢も生まれてきますよね。

やっている仕事が同じであれば、自分の価値観に合わせて住みたい場所に住めるほうがいい。弊社では、東京からほかの地方に転勤する人には100万円の補助金を出すという制度も開始しました。

──かなり積極的に分散に取り組んでいるのですね。

田中 北海道に行きたい人が北海道に行くとか、実は北海道に帰りたいという人が帰れる。ただそのときにちゃんと、仕事と東京と同じだけの給与水準が必要なわけですね。そういうことに我々が率先して取り組んでいくことで、北海道も含めた地方の業界も風向きが変わるんじゃないかと期待しているんです。

──石狩のエンジニアの方たちの出身は北海道ですか?

田中 東京や大阪から移ってきた人もいますが、北海道出身で北海道で採用された人が一番多いのは間違いないですね。

■ 裾野を広げてトップレベルを探す

──もともとは誘致に乗った形ですが、北海道とのつながりも年々強くなりますね。

田中 そうですね。社員も雇用しているし、投資もしているので、もはや逃げられない立ち位置ですね(笑)。また、北海道でも、自社サービス、自社プロダクトを持つ企業も増えていて、横のつながりも自然と出てきています。Webサービスやクラウドが、世界をだいぶ変えていますね。

経産省が設置した「地方産業競争力協議会」というのがあるんですが、その北海道ブロックで委員をしたりもしてましたので、北海道の企業としての観点が出てきたという点もあります。あと、コンピュータソフトウェア協会という業界団体の中にある「プログラミング教育委員会」の委員長をしているんですが、その実践フィールドとして、石狩の小学校でプログラミング教室をやったりもしました。

──プログラミング教育によって、人材育成もされていると。

田中 そもそもでいうと、社会構造の変化が必要だというのが根本にあります。現状のIT事業では「ウォーターフォール」「人月」という世界観が大半です。それだと個人の生産性はそれほど変わらない。それが、クラウドだったりサービスになれば、大きく変わってきます。するとエンジニアは「数で勝負」ではなくなり、通常の100倍とか1,000倍の生産ができるトップレベルにいかに上げるかが大きな課題となります。そのためには、裾野を広げないといけない。例えばJリーグという場を作ったことで、子供の時からサッカーをやる人口が増える。みんなやるから抜きんでた人が増えるんです。だから、プログラミング教育は職業訓練じゃないわけです。「将来のエンジニアを育てる」と言う人がいますがそれは間違いで、多様な経験をする場を提供することと、トップレベルを探す役割を担っているんです。

■ コミュニティは成長する場ではなく、「きっかけづくり」

田中 北海道現地での採用が増えたとはいえ、地方出身で、やっぱり東京に出てみたいっていう人も多いんですよね。

──そうなんですか? 仕事も同じ、給与も同じだったら地方差はあまりないと思うんですが。

田中 個人の能力差は感じませんが、東京はエンジニアの人数が多い分、トップレベルが高くなるというとはあると思います。あとエンジニアのコミュニティも多い。そういういわゆるネットワークの外部性が違います。そういう場に加わってつながりを持ちたいということですね。ただし、そのあとまた地方に戻りたいという人も多いです。

──東京では確かに、毎日各所でコミュニティの集まりや勉強会が開かれていて、活動が盛り上がっているのを感じます。

田中 でも、わざわざ週末とか業務時間外に行かないと勉強できないっていうのは、ちょっと違うと思うんですよね。仕事に直結する勉強は「業務」なので、給与をもらって仕事の中でやるべきです。では勉強会に意義がないかというと、そうではない。新しい技術を知って視点を高めたり視野を広げるとか、人とのつながりを作るとか、それによって自分のやりたいことを見つけるきっかけになるとか、そういう情緒的な部分を補完する場所だと思いますね。実際に成長している人は、勉強会で勉強したから成長したわけではなくて、勉強会できっかけを得て、業務に生かしたことで成長しているはずです。

──生かせる業務に携われるかどうかどうか、というのは大きいですね。

田中 それがセットでないといけないですよね。さくらインターネットのコーポレートスローガンは「やりたいことをできるに変える」というんですが、この言葉は結構味わい深いんですよ! 「やりたいことができる状態」という段階でないといけないので、すでにできることでは意味がないんです。例えば本当に今すぐやりたいことは何かって聞かれたら、「家に帰って寝たい」とかになるわけですけど、今やれることではなくて、本当にやりたいことを通じて成長することこそが価値なんです。あと、やりたいことは消費ではなくてクリエイティビティであってほしいんですよね。コードの1行でも社会を変えるかもしれない世界に生きているんですから。

ただ、最初からやりたいことを明確に持っている人はほとんどいません。いろんな外の人とつながることで、小さいことから大きいことまで、やりたいことを見つけるきっかけになればいいと思います。例えば勉強会で誰かが熱量をもって語った「コンテナが来る」ということを聞いたのがきっかけになって、自社で導入してみたら社内の開発がガラッと変わった。それを今度は勉強会で話す側になってフィードバックすることで、ほかの人に火をつけることになるかもしれない。

そういった勉強会やイベントであれば、業務に生かせるし、会社やチームに対してもよい影響を与える。理想ですよね。北海道でも以前から勉強会やイベントは開催されていますが、我々も北海道の企業として、サポートしていきたいと思います。

──ありがとうございました! そしてここからは、来たる8月2日(木)に開催する「さくらの大納涼会2018 at 北海道」のご案内です。ぜひ参加をご検討ください!

■ 8月2日(木)「さくらの大納涼会2018 at 北海道」開催のご案内

「さくらの大納涼会2018 at 北海道」は、エンジニアはもちろん、経営者やITに携わる皆さまに楽しんでいただきたいという想いから開催するイベントです。石狩にデータセンターを構えるさくらには、札幌のグループ企業やパートナー企業が多くいらっしゃいます。そんなさくらだからこそ、北海道でITに携わる皆さまと、なまら有意義な夏を過ごしたい!

  • 北海道の皆さまに面白い技術の話や情報をお届けしたい!
  • 北海道で働く方に交流いただき、北海道でのビジネスを活性化させたい!
  • 北海道の皆さまにさくらインターネットのことをもっと知っていただきたい!

最前線でご活躍されているゲストのお話でチャレンジのきっかけを得ていただいたり、参加者同士で交流いただいたり……そして、さくらの中の人に道民の皆さまの想いをぜひぶつけてください!

【第1部:トークコンテンツ『技術が実現するイノベーション』】

さくら、はてなを代表するエンジニアが、エンジニアリングの今や未来について語ります! ビジネスに価値を生み出す技術やアイデアに関するトークで、新しい世界を切り拓くきっかけをもたらしたいと考えています。

<登壇者プロフィール>
さくらインターネット株式会社
さくらインターネット研究所 所長
鷲北 賢さん

1998年エス・アール・エス(有)入社。その後さくらインターネット株式会社と合併。
創業当初のデータセンター立ち上げ、バックボーン構築から、サービスの開発と運用までの技術責任者を担当。主な担当プロジェクトはバーチャルドメインサービス、オンラインゲームプロジェクト、さくらのクラウド開発チーム・マネージャー。2009年より現職。主なテーマはサーバの仮想化技術の研究。2018年度から研究所専任に戻ったため、マイクロサービスの勉強をし直そうと画策中。
株式会社はてな
システムプラットフォーム部長兼チーフエンジニア
渡辺起id:wtatsuru

2011年、はてなに新卒入社。「はてなブログ」をはじめとする多くのサービスの運用に関わる。
2015年よりシステムプラットフォーム部長。現在は、はてなのインフラ部門全体の統括と、エンジニアの育成・技術組織の運営を行っている。

【第2部:パネルディスカッション『北海道で活躍するエンジニアによるパネルディスカッション』】

北海道で実際に活躍されている方々で語りあう、“ミライについて”のパネルディスカッションです。北海道から、楽しいことを始めていきましょう!

<登壇者プロフィール>
株式会社インフィニットループ
代表取締役、札幌移住計画代表
松井 健太郎さん

1977年生まれ。北海道北広島市出身。札幌市内の大学卒業後、地元のシステム開発会社に就職、その後札幌駅北口にあるベンチャー企業に転職するも数年後その会社は解散、暇を持て余して趣味のバイクで日本一周の旅に出る。帰宅後フリーランスのエンジニアとして活動を開始。順調に拡大を続け2007年には法人化し株式会社インフィニットループを設立、2018年時点でグループ全体で200名ほどの規模にまで成長した。ブラウザゲームやスマホ向けゲーム開発、VRシステムなどを手がけている。
<モデレータープロフィール>


さくらインターネット株式会社
代表取締役社長 / 最高経営責任者
田中邦裕さん(@kunihirotanaka)

1978年、大阪府生まれ。
1996年に国立舞鶴工業高等専門学校在学中にさくらインターネットを創業。当時国内ではまだ珍しかった共有ホスティングサービス(さくらウェブ)を開始。高専卒業後に(有)インフォレストを設立し事業を継承、代表取締役へ就任。
1999年にはさくらインターネット株式会社を設立し、月額129円から始められる低価格レンタルサーバ「さくらのレンタルサーバ」の開発に自ら関わる。その後、最高執行責任者などを歴任し、2007年より現職。インターネット業界発展のため、各種団体に理事や委員として多数参画。

【第3部:ライトニングトーク『さくらの中の人が皆さんの想いを受け止めます!』】

北海道の皆さまの代表者からさくらへのリクエストを、さくらの“中の人”の目の前でぶつけてもらいます! また、さくらから皆さまへのLT(ライトニングトーク)も実施。一緒に北海道を盛り上げましょう!

<登壇者プロフィール>
■ 対象・募集人数

ITに携わる皆さま(本イベントはビジネスを前提としています):70名

  • 参加費用は無料です。※現地までの交通費は参加者ご負担となります
  • 先着順で受付をいたします
  • さくらインターネットのFacebookページやTwitterでのツイート、参加者のブログなどに当日の写真が掲載される可能性がございます。あらかじめご了承ください
■ タイムスケジュール

タイムスケジュールは以下の通りです。ぜひチェックしてください!
(プログラム内容は調整中のため、予告なく変更する場合もございます)

2018年8月2日(木)
  • 18:30:開場
  • 19:00~:開始のご挨拶
  • 19:05~:トークコンテンツ『技術が実現するイノベーション』
  • 20:15~:パネルディスカッション『北海道で活躍するエンジニアによるパネルディスカッション』
  • 21:10~:ライトニングトーク『さくらの中の人が皆さんの想いを受け止めます!』
  • 22:30:終了(予定)
■ イベント要項

ご参加に際しては、イベント開催支援ツール「Doorkeeper」へのログインまたは会員登録をお願いいたします。

  • Doorkeeperにて以下の情報をお送りいただきます
    • お名前
    • メールアドレス

ご来場の際は、名刺を1枚ご持参ください。

また、このページでは、ご要望の多い「石狩データセンター(IDC)見学付きチケット」(イベントと同日、8月2日の14時より)も用意されています! お申し込みにあたっては、Doorkeeperから詳細をご確認ください。完成したばかりの3号棟を含む、北海道の冷涼な外気冷却を利用したさくらのデータセンターをご覧いただけるチャンスです。

しばれる冬も北海道らしくて素敵ですが、夏のうちにさくらと一緒に盛り上がりませんか?

ご参加、お待ちしております!

[PR]企画・制作:はてな
取材・構成:森嶋 良子
写真:初瀬川 裕介

文:森嶋 良子