「再現レシピ」――冷静に考えると、これは随分と変なジャンルではないでしょうか。だって、これに挑む人々は、料理を美味しくすることよりも、手軽に作ることよりも、何よりもまずオリジナルの料理を忠実にコピーすることにこそ創意工夫の情熱を傾けるわけですから。なんだか普通の料理とは方向性が違う気がします。

そして、そんな彼らの情熱には、謎に満ちた犯行現場から真実を再現しようとする無謀な名探偵を見ているような、ちょっとしたドキドキ感があるのも事実ですね。今回は、そんな「再現レシピ」の中から、「外食産業」のレシピを再現した記事を紹介しようと思います。

まずは吉野家

日本のインターネットで「再現レシピ」と言えば、やはりまず真っ先に紹介するべきは「吉野家」の牛丼の再現でしょうか。かつて、平成不況真っ直中の日本において、ネットユーザーにとって「吉野家」は独特の存在感を放つ外食店でした。先日10周年を迎えた2ちゃんねるでも、その初期には「吉野家コピペ」が流行したり、吉野家オフなどが開かれたりしていたのを覚えている人もいるかもしれません。

そして、その頃のネットユーザーの間では、「一体「吉牛」の味の秘密はどこにあるのか?」「自分の家でも再現できるのか?」という話が、しばしば語られていたのでした。庶民的な価格で提供されているからには、そんなに特別な材料を使っているはずがない。チェーン店の料理なのだから、それほど繊細な技術が要求されるとも思えない。ところが、不思議なことに、どうしてもみな上手く再現できないのです。

特に、これが大きく話題になったのは、「狂牛病騒動」で吉野家が牛丼を取りやめて以降のことでしょうか。その辺の経緯は、「吉牛の再現に興味を持つのって そんなに特別なことかい?」に詳しくまとめられています。

はてなブックマークで特に人気があるのは、この二つの再現レシピでした。

天下一品、二郎

先日、はてな匿名ダイアリーで、すっかりラーメンについて小うるさくなってしまった自分についての戸惑いを書いた記事が話題になりました。ラーメンブームが起きてから早幾年、「ラーメン文化」は今やすっかり私たちの生活に根付きました。都市部に住んでいると、周囲に素人ラーメン評論家を見かけることも多いかもしれません。

ただ、一つ不思議なのは、ラーメン評論家は多くいても、休日に趣味でラーメンを作ろうという人は少ないことです。やはりラーメンを自分で作るのは大変なのでしょうか。もしそうなら、まして有名店の再現レシピなどはとてつもない苦行……というところかもしれません。でも、そんな荒技に挑戦してしまう人はいるのです。

天下一品のスープが作りたい: スープの再現工程

天下一品と言えば、あのとろみたっぷりと言うか、ほとんどドロドロに近い触感のあのスープ。この記事では、それを再現するために、出がらしを砕いてスープに入れているようです。

ヤバス!!! 家二郎!! ウマス!!! | "Dの字" STYLE

ジロリアンと呼ばれる熱烈なファンもいる「二郎」。そんな「二郎」のラーメンを家庭で再現することを、再現レシピ界(?)では「家二郎」なんて呼ぶようです。このレシピでは二郎の、あの独特のスープを再現。化学調味料を使っていることを全く隠そうとしないのが二郎の怖ろしいところですが、この再現レシピでもちゃんと化学調味料を二さじ入れてました。海原雄山? 何それ?

ケンタッキーにポン・デ・リングも……

他には、ケンタッキーのフライドチキンや、ミスタードーナツのポン・デ・リングを再現している人もいました。

Alternative Gourmet ~ おるとグルメ:ケンタッ○ーフライドチキンの秘密にせまる パートⅦ・・・レシピ公開

ここに至る過程を見ると分かりますが、すごい情熱です。著者曰く、再現度95点というこのフライドチキン。たぶん、直接ケンタッキーに行く方が、金銭的にも時間的にもコストが低いのでしょうし、そもそも本物に行けば再現度もへったくれもないワケですが、なぜか家庭で自分でも再現してみたくなるから不思議です。ちなみに、この人は「自宅で朝マック」なる企画もやっていたようです。

ポンデリングをとことん再現。 - 千種の、ほんまにうまいもんだけ。

ミスタードーナツの、ポンデリング。かわいいですね。

どこからこんな情熱が来るの?

それにしても、上の記事を眺めていると、一体この人たちの情熱はどこから来るのか不思議になってきます。外に行くのは面倒くさいから家で食べたい? いやいや、それにしては手間もお金もかけすぎです。模倣という「遊び」の持つ楽しさなのか、それともまるでパズルを解くような楽しさなのか。いずれにせよ、こんな益体もないこと(失礼!)に夢中になっている大人たちは、何だか格好良くすら感じます。

料理店によるレシピがある場合も

再現レシピとは少し違うかもしれませんが、Web上にはその料理店のレシピそのものが出回っていることもあるようです。

なかなか手軽に……というわけにはいきませんが、外食店のあの味を再現することに興味のある方は、この週末にぜひ試されてみてはどうでしょうか。

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