旅行や出張など、あらゆるシーンで利用する“宿”。一流ホテルにビジネスホテル、ドミトリーなど、予算や目的に合った宿がありますが、京都にちょっと変わったカプセルホテルがあるのはご存じでしょうか。今日は、スタイリッシュなカプセルホテル「9h(ナインアワーズ)」を紹介します。
▽ 9h ninehours|ナインアワーズ|公式サイト
2009年12月9日、京都の中心街、四条寺町にオープンした「9h(ナインアワーズ)」。“1+7+1”をコンセプトに、1時間のシャワータイムと7時間の睡眠、1時間の身支度というスタイルを宿泊客に提供しています。このユニークなシステムと、カプセルホテルとは思えないスタイリッシュなデザインが話題になり、さまざまな雑誌やWeb媒体に取り上げられています。
■まずはチェックイン
9hがあるのは、ファッションビルや家電販売店、飲食店などが並ぶ寺町通り。祇園や八坂神社、新京極など、観光スポットからもほど近い場所にあります。
まずは、シューズボックスに靴を預けてチェックイン。
チェックインは24時間、いつでも好きな時間にできます。基本的に、Webや電話での事前予約が必須ですが、飛び込み宿泊も対応可能とのこと。
宿泊カードに、氏名や性別、住所などを記入したあと、受付に提出します。この時に翌日のチェックアウト時間の指定と、料金の支払いを済ませます。延滞料金なしで最大17時間の滞在が可能ですが、途中変更はできないので注意してください。
手続きのあと、館内で履くスリッパと水、ロッカーキーを受け取ります。水は富士山のふもとで採取しているという、オリジナルのミネラルウォーターとのこと。
初めての宿泊の場合は、スタッフから宿泊システムの説明があります。また、スリッパの裏にも、説明書きがあるので安心。
受付スペースの横には、宿泊者が使えるラウンジと、PCスペースも完備しています。
館内では無線LANが利用できます。2階には女性専用のラウンジルームもあります。
その奥にあるのが、エレベーターホール。手前が男性用、奥が女性用のエレベーターです。
男女で利用階が分かれているのが9hの特徴。3階~5階は女性専用フロア、6階~9階は男性用フロアです。会員登録も必須なので、女性の一人客でも安心して宿泊することができます。筆者が女性のため、今回は女性専用フロアの様子をレポートします。
■ロッカールーム&シャワールーム
3階に、女性のロッカールームとシャワールームがあります。
使用するロッカーのナンバーは、チェックイン時にもらったカギに書かれています。
ロッカーに入っているのは、ルームウェアとフェイスタオル、バスタオル、ハンガー。女性のロッカーのほうが、少し広めに設計されているそうです。
ルームウェアのサイズが合わなければ、別のサイズのものを利用することも可能。
女性はSサイズがデフォルトで、Mサイズ、Lサイズが用意されています。男性はLサイズがデフォルトで、XL、2XLもあります。
ドレッサーと洗面台。
女性のフロアには、ドレッサーが多めに設計されているそう。身支度に時間がかかる女性への、うれしい心遣いです。
もちろんドライヤーもあります。
シャワールームは女性が7室、男性が6室。宿泊時間内であれば、24時間、いつでも使用することができます。
脱衣スペースとシャワースペースが分かれているのがうれしいポイント。中から施錠することも可能です。
奥には通路があり、向かって右奥の浴槽につながっています。
こちらの浴槽も自由に入浴可能です。
タオルは、ロッカーに入っているもののほか、シャワールームの前にもスタンバイ。
タオル類は東洋紡とコラボレーションしたもの。専用のリネンを使用した、9hだけの特別仕様となっています。
構想に2年をかけたという、こだわりのアメニティ。
左から、歯ブラシ、ボディーソープ、シャンプー、コンディショナー。
ボディーソープやシャンプー、コンディショナーは、スキンケアメーカーの玉の肌石鹸とコラボしたもの。クセがなく、誰にでも受け入れられる優しい香りに仕上がっています。
■快眠をもたらす、こだわりの寝室
最後は、9hが最もこだわったという寝室スペース。男性は75ユニット、女性は50ユニット、計125人の宿泊が可能。1フロアに25のユニットがあります。
すべてのユニットに、パナソニック電工製の「睡眠環境システム」が導入されています。就寝前に起床時間をセットすると、30分かけて徐々に照明が落ち、起床の30分前から徐々に明るくなります。少しずつ光の強さを調整することで、快眠をもたらします。
もちろん、こだわりは寝具にも表れています。枕は、岡山県立大学と共同開発した「枕のキタムラ」のジムナスト。掛け布団は、寝具専門メーカー丸八真綿の羽毛布団を使用しています。
宿泊した外国人観光客が「宇宙船のようだ」と漏らした、というエピソードもうなずける近未来的なデザイン。室内にはTVやラジオはなく、とことん睡眠に専念することができます。
■「今までにないカプセルホテルに」――9hの今後は
今回、9hを訪れてまず驚いたのが、そのシンプルなデザイン。内の設計からインテリア、アメニティまで、9hのすべてのデザインを手掛けたのは、プロダクトデザイナーの柴田文江さんを中心とした、3人のデザインチーム。ディレクション及びプロダクトが柴田文江さん、グラフィックとサインは廣村正彰さん インテリアは中村隆秋さんが担当しました。「従来のカプセルホテルのような、たくさんの説明書きがあふれている空間にはしたくなかった」という9hの意向通り、館内の案内はほぼすべてが、スマートなアイコンで成り立っています。
「旅を楽しんでもらえる、その一部になりたい」という思いから着想された9h。日本随一の観光地、京都での成功を受け、今後は東京進出もあるようです。
【9h(ナインアワーズ)】
住所:京都市下京区寺町通四条下ル貞安前之町588
電話番号:075-353-9005
宿泊料金:基本料金900円+時間料金(21時~9時400円、9時~21時300円)
※10時間~17時間までは一律4900円