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2010年FIFAワールドカップ・日本代表の軌跡を振り返る


■ 不安を呼んだワールドカップ直前の3連敗

今回のワールドカップは、普段のような大会前からの盛り上がりはありませんでした。むしろ、日本のファンにあったのは、「不安」です。その理由として大きいのが、やはり代表メンバー決定後の直前強化試合での3連敗。試合内容も、前方でボールを奪いに行く攻撃的な布陣が上手く機能せず、しかも失点6点中のうち3点がオウンゴールであるなど、先行きの暗さを感じさせるものでした。

その上、ネット上では、オシム氏退任後に協会から指名された岡田武史代表監督への風当たりも強く、氏への厳しい批判を書いたエントリーも、しばしば登場していました。

本大会における日本代表のスタートは、そんな決勝トーナメント進出への期待度が低い状況からだったのでした。

■ 初戦勝利で勢いをつけることになったカメルーン戦

そんな白けた空気をいきなり吹き飛ばし、今大会の快進撃の端緒となったのが、グループリーグ初戦のカメルーン戦です。実は日本のインターネットでは、ちょうど宇宙探査機はやぶさが帰還した日であったこともあり、その盛り上がりに声援がかき消されがちでしたが、テレビ放送では45.2%という高い視聴率を獲得しています(参考:【視聴率】日本×カメルーン 45.2% : 【2ch】ニュー速クオリティ)。

そんな多くの人々の注目が集まる中で岡田ジャパンが採ったのは、それまでの方針とはガラリと異なる、ボールを奪いに行く位置を後方に下げた守備重視の戦術でした。これが見事にハマり、日本はカメルーンを相手に1-0で勝利して、勝ち点3を獲得します。

はてなブックマークでは、この結果を受けて以下のようなエントリーが話題になりました。

一番上は、日本の勝利を称えながらも、カメルーンの不調を指摘しながら「勝って兜の緒を締めよ」という話を何度も繰り返す、オシム監督のインタビュー記事。はてなブックマークのユーザーは、メディアの報道が選手に与える影響を危惧した箇所に注目している人が多かったようです。

二番目は、大会前から「負けよ、日本」と書いていた、スポーツジャーナリストの金子達仁氏による文章。試合運びにつまらなさを感じたことに共感する人もいる一方、不思議に悲観的な物言いに疑問を覚えるネットユーザーも多かったようです。

三番目は、スポーツデータの提供を行う「データスタジアム」会長の森本美行氏による、扇情的なスポーツジャーナリズムとは一線を画す、数値データに基づいた分析記事。私たちが試合から受けた印象をデータによって裏付けていく分析手法も興味深いですが、特にサッカー好きのユーザーは、後半の「アクチュアルタイム」という概念を用いたスタミナ切れ対策についての考察に注目していました。

■ 惜しくも負けてしまったオランダ戦

続いてのFIFAランキング第4位の強豪オランダとの一戦では、日本は0-1で惜しくも負けてしまい、勝ち点を積み上げるには至りませんでした。しかし、オランダのFWロッベンが出場しなかった幸運もあったとは言え、昨年9月の試合では0-3という大敗を喫した欧州の強豪相手に善戦した内容に、普段はサッカーに馴染みの薄い日本の視聴者も大盛り上がりだったようです。

一番上は、グループリーグでの戦い方における岡田監督の全体戦略から、このオランダとの一戦を説明してくれた、サッカーライター宇都宮徹壱氏による記事。この試合のポイントも一通りまとまっており、非常に参考になる内容になっています。

二番目は、この試合で後半に途中出場するも目立った活躍が出来ずに終わってしまった、中村俊介選手への2ちゃんねるの反応です。少々きつめの発言が多く、彼のこの試合でのプレイには総じて厳しい意見が多かったようです。

三番目は、フランスの『レキップ』紙が日本代表に高得点をつけたことを報じた記事。格下と見ていた日本の予想外の善戦への驚きが反映されたのではとしながらも、海外に日本の戦いぶりが好印象を与えているようだと伝えています。

■ まさに快勝! 日本中が沸いたデンマーク戦

こうして迎えたのが、あのデンマーク戦。日本代表初の決勝トーナメント進出を賭けて、日本中の期待を一身に背負った代表チームは、見事な戦いぶりで勝利を収めてくれました。この結果をパブリックビューイングで見て興奮した日本の観客は、その後も各地でお祭り騒ぎ。

その様子は、Twitterを通じてネット上にリアルタイムで伝わってきていました。この歴史的な勝利を受けて、はてなブックマークでは以下のようなエントリーが話題になりました。

一番上は、海外ユーザーによるコメントを紹介した、らばQの記事。日本の勝利を祝福するコメントが多く掲載されているようです。二番目は、デンマーク戦から一夜明けてのオシム氏のコメント。本田圭佑選手のフリーキックはGKのミス、遠藤選手のゴールは(彼の実力からして)10本中9本は入れてほしい、と相変わらずの「勝って兜の緒を締めよ」の内容でした。

祝福ムードの中で異彩を放っていたのが、前出の森本氏による三番目のコラム。岡田ジャパンの今回の戦術が、状況が要請したものにすぎないことを再確認した上で、冷静に試合を分析しています。この試合で大活躍した本田選手に、際だって多くのパスが集まっていたことを指摘していますが、これは大会前に元・代表選手の中田英寿氏と本田選手が対談した際に(参考:http://ajickr.sakura.ne.jp/archives/1662)中田氏が彼に語っていたことを思い返すと、味わい深いものがあります。

一方、こんなオモシロ記事も話題になりました。

一番上は、デンマーク戦の試合終了前後とハーフタイム後に、顕著な配水量増加が見られたことを報告した大阪市水道局のエントリー。はてなブックマークのコメントでは、「トイレタイム」だろうとの推測がなされていました。

二番目は、モデルの小森純さんが、何と今回のリーグ戦の勝敗結果を得点まで的中させていたという記事。なお、彼女はパラグアイ戦の結果も予測していましたが、そちらは外してしまったようです。
最後の記事は、日本代表のGK川島選手が、なぜか海外のゲイ向けの下着通販サイトでトップページになっていることを報じたもの。ちなみに、このサイトはその後、本田選手を大きく採り上げたり、「日本サッカーの歴史が変わる時|Japan.Journal(J.J co.ltd)」などの記事で話題の西村主審も掲載するなど不思議なことになっていたようです。

■ 決定力不足が尾を引いたパラグアイ戦と今後の課題

そして、遂にやってきた決勝トーナメント初戦のパラグアイ戦。多くの人が知っての通り、残念ながら日本は0-0のまま延長戦にもつれ込んで最後はPKで惜敗を喫してしまい、岡田ジャパンが目標として掲げていたベスト4の目標は果たせませんでした。しかし、今回の日本代表の予想外の活躍に、視聴者の多くは拍手を送っていたようです。

一方、はてなブックマークでは、今回の結果を受けて、日本サッカー界の今後について考える記事が話題になっているようです。

何となくオリンピックやワールドカップのたびに盛り上がっては、終わるとすぐに熱心なファン層以外の興味が引いていってしまう、日本のサッカーを取り巻く状況。今大会の日本代表の活躍がそんな状況を変えるきっかけになることを願います。

文: 稲葉ほたて

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