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高濃度のPM2.5は中国からの影響? 国立環境研究所が調査結果を発表


■ PM2.5とは?

環境省_微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報
PM2.5とは サイエンスの人気・最新記事を集めました - はてな
PM2.5とは、大気中に漂う直径が2.5マイクロメートル以下の小さな粒子です。髪の毛の太さの30分の1程度と非常に小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、健康被害をもたらすリスクが高いと懸念されています。

発生源としては、ボイラーや焼却炉などのばい煙を発生する施設や、コークス炉など粉じんを発生する施設、自動車や船舶など人為的なもの、さらには土壌や火山など自然起源のものもあります。環境基本法では環境基準値を「1年平均値15μg/m3以下かつ1日平均値35μg/m3以下」であることが望ましいと定めています。これまでの取り組みの結果、PM2.5の年間の平均的な濃度は減少傾向にあるとのことです。

■ 最近のPM2.5

日本国内での最近のPM2.5高濃度現象について(お知らせ)|2012年度|国立環境研究所
大気汚染物質広域監視システム(そらまめ君)ホームページ
環境省の大気汚染物質広域監視システム「そらまめ君」による1月1日~2月5日のデータでは、環境基準値を超過した日数が16日ありました。特に、1月13日前後、1月21日前後、1月30日~2月1日に濃度が上昇していることも判明しています。

濃度の高かった4日間を地域別で見ると、1月13日は九州中部・瀬戸内・近畿・関東北部、1月30日は九州北部・北陸、1月31日は九州北部・瀬戸内、2月1日は九州中部・瀬戸内・東海の地域で濃度が高くなっています。これらの結果から、西日本で高濃度のPM2.5が発生し、東海や関東北部の一部でも高濃度になったと考えられています。

■ 国を越えた汚染の影響

同研究所では、東アジア全体の大気シミュレーションモデルによる結果と「そらまめ君」のデータから、大陸からの越境汚染についても分析しています。シミュレートされたモデルでは、濃度の高かった1月13日・30日・31日・2月4日の4日間、大陸で発生したと考えられる高濃度のPM2.5が北東アジアの広域を覆い、その一部が日本列島にも及んでいます。西日本で広域的に高濃度のPM2.5が観測されたことなどから総合的に判断した結果、PM2.5の高濃度現象には大陸からの越境大気汚染による影響があったと分析されています。

以上のことから、1月から2月初めのPM2.5高濃度現象は、大陸からの越境汚染と、国内の都市汚染が複合したことによって発生した可能性が高いと考えられるそうです。このような例は、2011年2月上旬に発生したPM2.5高濃度現象や2007年5月に発生した光化学オキシダントの高濃度現象でも見られるとのこと。ただし、影響は地域や期間によって大きく異なる可能性が高いため、今後の詳細な解析が必要であるとしています。

記者発表2011年2月10日2月初旬に九州から近畿で観測された視程低下(もやの発生)について (お知らせ) | 国立環境研究所
記者発表2007年5月21日「2007年5月8、9日の広域的な光化学オキシダント汚染について ―国立環境研究所及び九州大学が数値シミュレーションによる再現に成功―」 | 国立環境研究所

文: 古関崇義

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