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『セカイカメラ』体験レポート 京都国際マンガミュージアムの特大“火の鳥”を覗いてきた


セカイカメラとは、近年『電脳コイル』や『東のエデン』などアニメーション作品で大きく採り上げられて話題になっているAR(拡張現実)の技術を用いたiPhone 3G用のアプリケーションです。開発したのは、日本のIT企業「頓智・(どっと)」。開発中から既にネットユーザーやエンジニアの間では大きな話題を呼んでおり、今年の2月にはパリで開催された「世界を変革するインターネ.ット技術ベスト10」で2位に選出されていました。
では、このセカイカメラとは、具体的にどういうものなのでしょうか。iPhoneカメラを通じて見える現実世界に情報を貼り付けて公開できるとのことですが、ここは百聞は一見に如かず。まずは以下の動画を見てみましょう。

iPhoneを通じて見えるセカイ

これは、現在マンガミュージアムで開催されているはてなと任天堂が協同で提供しているコーナー・うごメモワークショップです。

ここの風景をiPhoneのスクリーンを通じて覗き込んでいる人がいるようです。ちょっと近づいてみましょう。

f:id:deja_vu:20090925114603j:image:w180:right

iPhoneの位置を移動させても、現実空間に上乗せしてスクリーンに表示されていた、「ふわふわしたもの」の位置が固定されたままになっているのが分かるでしょうか。この「ふわふわしたもの」は、現実空間の位置情報に紐付けされているようです。実は、このふわふわしたものは、エアタグと呼ばれるもの。これをタッチすると表示が拡大され、エアタグ内に収められた情報が表示されます。




©Tezuka Productions
これも実際に動画で見てみましょう。例えば、これは現在マンガミュージアムの吹き抜けスペースに展示されている、手塚治虫作品に出て来る「火の鳥」の模型ですが、これをセカイカメラで覗き込んで周囲のエアタグをクリックしてみると……


火の鳥の真下に展示されている「のらくろと戦前・戦後漫画コーナー」についての情報や、この動画の後ろで行われている海洋堂のボーメさんのフィギュア展の情報が表示されました。実はエアタグとして投稿できるのはテキストだけではなく、画像や音声などの投稿も可能とのこと。そうなると、いわゆるタグと言うよりは、公式サポートページにも書かれている「デジタルなポストイット」と考える方が分かりやすいのかもしれないなと思いました。
気になる使い心地に関してはと言うと、ザッと代表的な機能を使ってみた感じでは、どれも非常にシンプルなインターフェイスで、直感的に操作できる印象を受けました。ただ、アクセスが集中しているためかサーバーが重くなっており、タグを投稿しても反映されるまで数分の時間がかかることがありました。

今回の実証実験について

今回の実証実験は、京都国際マンガミュージアムと京都市の京都高度技術研究所との提携によるもので、セカイカメラの他にも、館内の展示物の近くにマーカーを置いて展示物を紹介したり館内の資料を検索する機能を搭載したアプリケーションを使用することが出来ます。
ミュージアムの職員の方のお話を聞くと、今回の実験から分かった利点として、物理的に場所を取らないため、「展示物の紹介を多言語で表示したり音声で表現するのが容易になる」、「展示が難しい貴重な資料を画像で紹介できる」、などの点が挙がりました。「端末を覗き込んでいる姿が写真を撮影している姿と区別をつけづらいという問題はあるが、もしこれが広まればミュージアムにおける展示のあり方に新しい展開をもたらすかもしれない」と語られていたのが印象的でした。

京都国際マンガミュージアムについて

芝生に寝転がってマンガを読める、「京都国際マンガミュージアム」に行ってきた - はてなブックマークニュース

  • 開館時間:午前10時~午後6時 (最終入館時刻: 午後5時30分)
    • ※ただし、2009年7月~9月は午後8時まで延長 (最終入館時刻: 午後7時30分)
  • 休館日:毎週水曜日 (休祝日の場合は翌日)と、年末年始、及びメンテナンス期間
    • ※9月30日(水)は通常通り開館
  • 入場料は、当日500円で、その日の内であれば何度でも出入り可能。また、6000円で年間パスポートを購入できる。
  • 地下1Fに収蔵されている資料の一部は、館内で申請を行えば研究閲覧室にて見ることが可能
  • 公式サイト


大きな地図で見る
マンガミュージアム内の実証実験は、9月25日から10月4日までとのこと。開館時間の間は、ずっと実証実験を行っているようです。また、iPhoneはその場で貸し出されているので、所持していない人でも参加できるようになっています。


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  • 発売日: 2008/06/01
  • メディア: 単行本
文: 稲葉ほたて

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