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Yahoo!検索エンジンの足跡――Yahoo! JAPANとGoogleの提携まで


■ Yahoo!、Yahoo! JAPAN誕生 1994年~

1994年、アメリカでYahoo!が誕生しました。翌年4月にはヤフー・コーポレーションが設立され、本格的に米Yahoo!はサービスを開始します。日本法人の設立は1996年。ヤフー・コーポレーションとソフトバンク株式会社によってヤフー株式会社が設立され、同年4月にはYahoo! JAPANがサービスを開始します。

■ ロボット型検索エンジンの導入 1990年代後半~

サービス開始当初のYahoo!は、人手でウェブページを分類するディレクトリ型の検索エンジンで、ユーザーはカテゴリーをたどって目的のページを見つけていました。1998年5月、Yahoo! JAPANはNTTレゾナント株式会社と提携し、プログラムが自動的にウェブページを収集するロボット型検索エンジンとして、gooを採用します。

ディレクトリ型検索エンジン - Wikipedia
ロボット型検索エンジン - Wikipedia

■ Googleとの提携 2000年~

牧歌的なウェブ黎明期からドットコムバブルに突入する中で、1998年にGoogleが誕生します。2000年6月には、米Yahoo!がそれまで利用してきた「Inktomi」の検索技術から、Googleの検索技術に切り替えを行います。翌年の2001年4月には、Yahoo! JAPANもGoogleの検索技術を採用しています。

http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0627/google.htm
http://journal.mycom.co.jp/news/2001/04/02/13.html

■ 独自の検索技術へ 2002年~

米Yahoo!は、検索エンジンとしてGoogleを採用する一方で、独自検索エンジンを開発するべく、布石を打っていました。2002年12月には、Googleとの提携以前に検索技術を利用していたInktomiを買収し、2003年7月には検索連動型広告を提供する「Overture」を買収します。Overtureは、Yahoo!に買収される数カ月前、2003年2月に、アメリカの検索エンジン企業「AltaVista」と、ノルウェーの検索エンジン企業「FAST」の検索エンジン「AllTheWeb」を扱う部門を買収しています。

2004年2月、Yahoo!独自の検索エンジン技術「YST」(Yahoo! Search Technology)が発表されます。米Yahoo!に続き、Yahoo! JAPANも2004年5月にGoogleからYSTへの切り替えを行っています。

独自の検索技術を開発した理由について、当時、経営コンサルタントの梅田望夫氏がYahoo!の検索部門を率いるVish Makhijani氏にインタビューした記事があります。

Yahooが検索エンジンを自社開発した理由 - CNET Japan

米Yahoo!は、Inktomi、AltaVista、AllTheWebの検索技術を統合して、Overtureのモデルでマネタイズし、検索サービスのすべてを自社で運用することを目指します。「人がやった方がユーザーの満足度が高くなるところに人を配置」し、「ユーザーがどんな意図を持って検索をしているのかを理解する」ことで、Googleとの差別化を図ろうとしていたようです。

■ 米Yahoo!はBing、Yahoo! JAPANはGoogleを採用 2009年~

2007年5月から2008年5月にかけて、Microsoftによる米Yahoo!の買収に関する話題が取りざたされるものの、この交渉は決裂します。翌月2008年6月には、米Yahoo!とGoogleが検索広告事業に関して非独占契約を結ぶというニュースが流れます。

米ヤフーがグーグルと検索広告で提携、マイクロソフトとの交渉は不成立| テクノロジーニュース| Reuters

この1年後の2009年7月には、米Yahoo!とMicrosoftが検索事業で提携することが明らかになり、Yahoo! JAPANもBingを採用するのではないかとささやかれます。

MicrosoftとYahoo!が検索事業で提携、Yahoo!の検索エンジンはBingに -INTERNET Watch Watch
日本のヤフーも「Bing」採用へ 米Yahoo!とMSの検索提携で - ITmedia NEWS

検索エンジンとしてBingを採用すると目されていたYahoo! JAPANですが、2010年7月、Googleとの提携を発表し、業界の話題をさらいました。

Yahoo! JAPAN - プレスリリース (Yahoo! JAPANの検索サービスにおけるグーグルの検索エンジンと検索連動型広告配信システムの採用、ならびにYahoo! JAPANからグーグルへのデータ提供について)

■ おわりに

Yahoo!の検索エンジンの変遷を追ってきました。最後に、今回Googleとの提携で反響を呼んだYahoo! JAPANの検索エンジンの足跡をまとめてみます。

  • 1996年4月 Yahoo! JAPAN、サービス開始
  • 1998年5月 NTTレゾナントと提携し、ロボット型検索エンジンとしてgooを採用
  • 2001年4月 Googleと提携し、カテゴリ検索の結果にGoogleの検索結果も合わせて表示
  • 2004年5月 米Yahoo!の独自技術YSTへ移行
  • 2010年7月 Googleとの提携発表

6年の時を経て、Googleの検索技術を採用することを発表したYahoo! JAPAN。検索サービスの数はウェブ黎明期に比べて随分絞られてきましたが、業界の巨人たちの大規模な覇権争いは今後も続きそうです。


The Photo is by "Matt McGee".

文: イノアキ

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