2010年7月、Yahoo! JAPANは、Googleの検索エンジンと広告配信システムを採用することを発表しました。さまざまな会社やサービスが現れては消えていった検索サービス戦線。インターネットの黎明期から今回のYahoo! JAPANでのGoogle採用に至るまで、日米Yahoo!の検索サービスの変遷を整理します。
■ Yahoo!、Yahoo! JAPAN誕生 1994年~
1994年、アメリカでYahoo!が誕生しました。翌年4月にはヤフー・コーポレーションが設立され、本格的に米Yahoo!はサービスを開始します。日本法人の設立は1996年。ヤフー・コーポレーションとソフトバンク株式会社によってヤフー株式会社が設立され、同年4月にはYahoo! JAPANがサービスを開始します。
■ ロボット型検索エンジンの導入 1990年代後半~
サービス開始当初のYahoo!は、人手でウェブページを分類するディレクトリ型の検索エンジンで、ユーザーはカテゴリーをたどって目的のページを見つけていました。1998年5月、Yahoo! JAPANはNTTレゾナント株式会社と提携し、プログラムが自動的にウェブページを収集するロボット型検索エンジンとして、gooを採用します。
■ Googleとの提携 2000年~
牧歌的なウェブ黎明期からドットコムバブルに突入する中で、1998年にGoogleが誕生します。2000年6月には、米Yahoo!がそれまで利用してきた「Inktomi」の検索技術から、Googleの検索技術に切り替えを行います。翌年の2001年4月には、Yahoo! JAPANもGoogleの検索技術を採用しています。
▽ http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0627/google.htm
▽ http://journal.mycom.co.jp/news/2001/04/02/13.html
■ 独自の検索技術へ 2002年~
米Yahoo!は、検索エンジンとしてGoogleを採用する一方で、独自検索エンジンを開発するべく、布石を打っていました。2002年12月には、Googleとの提携以前に検索技術を利用していたInktomiを買収し、2003年7月には検索連動型広告を提供する「Overture」を買収します。Overtureは、Yahoo!に買収される数カ月前、2003年2月に、アメリカの検索エンジン企業「AltaVista」と、ノルウェーの検索エンジン企業「FAST」の検索エンジン「AllTheWeb」を扱う部門を買収しています。
2004年2月、Yahoo!独自の検索エンジン技術「YST」(Yahoo! Search Technology)が発表されます。米Yahoo!に続き、Yahoo! JAPANも2004年5月にGoogleからYSTへの切り替えを行っています。
独自の検索技術を開発した理由について、当時、経営コンサルタントの梅田望夫氏がYahoo!の検索部門を率いるVish Makhijani氏にインタビューした記事があります。
▽ Yahooが検索エンジンを自社開発した理由 - CNET Japan
米Yahoo!は、Inktomi、AltaVista、AllTheWebの検索技術を統合して、Overtureのモデルでマネタイズし、検索サービスのすべてを自社で運用することを目指します。「人がやった方がユーザーの満足度が高くなるところに人を配置」し、「ユーザーがどんな意図を持って検索をしているのかを理解する」ことで、Googleとの差別化を図ろうとしていたようです。
■ 米Yahoo!はBing、Yahoo! JAPANはGoogleを採用 2009年~
2007年5月から2008年5月にかけて、Microsoftによる米Yahoo!の買収に関する話題が取りざたされるものの、この交渉は決裂します。翌月2008年6月には、米Yahoo!とGoogleが検索広告事業に関して非独占契約を結ぶというニュースが流れます。
▽ 米ヤフーがグーグルと検索広告で提携、マイクロソフトとの交渉は不成立| テクノロジーニュース| Reuters
この1年後の2009年7月には、米Yahoo!とMicrosoftが検索事業で提携することが明らかになり、Yahoo! JAPANもBingを採用するのではないかとささやかれます。
▽ MicrosoftとYahoo!が検索事業で提携、Yahoo!の検索エンジンはBingに -INTERNET Watch Watch
▽ 日本のヤフーも「Bing」採用へ 米Yahoo!とMSの検索提携で - ITmedia NEWS
検索エンジンとしてBingを採用すると目されていたYahoo! JAPANですが、2010年7月、Googleとの提携を発表し、業界の話題をさらいました。
▽ Yahoo! JAPAN - プレスリリース (Yahoo! JAPANの検索サービスにおけるグーグルの検索エンジンと検索連動型広告配信システムの採用、ならびにYahoo! JAPANからグーグルへのデータ提供について)
■ おわりに
Yahoo!の検索エンジンの変遷を追ってきました。最後に、今回Googleとの提携で反響を呼んだYahoo! JAPANの検索エンジンの足跡をまとめてみます。
- 1996年4月 Yahoo! JAPAN、サービス開始
- 1998年5月 NTTレゾナントと提携し、ロボット型検索エンジンとしてgooを採用
- 2001年4月 Googleと提携し、カテゴリ検索の結果にGoogleの検索結果も合わせて表示
- 2004年5月 米Yahoo!の独自技術YSTへ移行
- 2010年7月 Googleとの提携発表
6年の時を経て、Googleの検索技術を採用することを発表したYahoo! JAPAN。検索サービスの数はウェブ黎明期に比べて随分絞られてきましたが、業界の巨人たちの大規模な覇権争いは今後も続きそうです。
The Photo is by "Matt McGee".