日本の宇宙開発をリードした研究者・糸川英夫さんが誕生して、2012年7月20日で100年が経ちました。これを受け、宇宙科学研究所(ISAS)は生誕100周年記念サイトを公開しました。略歴では糸川さんが携わったロケット研究の歴史だけでなく、80歳で完成させた自作のバイオリンについてなど、意外な一面も紹介しています。
▽ 日本の宇宙開発の父 糸川英夫 生誕100年記念サイト 宇宙科学研究所
糸川さんは1912年に東京で生まれました。東京帝国大学(現・東京大学)の工学部航空学科を卒業後、中島飛行機に入社。戦闘機の設計に携わり、独力でジェットエンジンを研究しました。1954年に東京大学生産技術研究所内で航空および超音速空気力学に関する研究班を組織すると、1955年にはペンシルロケットの水平発射実験を実施。これ以降もさまざまなロケット実験を繰り返したほか、日本初の人工衛星「おおすみ」の開発に関わりました。
宇宙開発から引退した1967年以降は、 62歳から始めた“バレエ研究”の成果として、1975年に貝谷バレエ団の公演「ロミオとジュリエット」のモンタギュー伯爵役で帝劇デビュー。1992年にはバイオリン「ヒデオ・イトカワ号」を完成させ、80歳の誕生日にサントリーホールでコンサートを開催するなど、宇宙開発以外でも活躍しました。1999年に、療養中だった長野県の病院で逝去。2003年には、小惑星探査機「はやぶさ」の目的地である小惑星「25143」が、糸川さんにちなんで「イトカワ」と命名されました。
このほか特設サイトでは、糸川さんに関する画像ギャラリー、関連リンク、関連書籍を掲載しています。