好きになったマンガやアニメの登場人物が死んだ時、悲しい気持ちに襲われた経験はありませんか?読売新聞の読者相談コーナー「人生案内」に寄せられた、とある女子中学生の悲痛な相談とアドバイスする精神科医の誠実な態度が、はてなブックマークで話題を呼んでいます。
※以下の文中には、マンガ「NARUTO」の作品内容に触れる情報が含まれています※
▽ http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/shinshin/20110301-OYT8T00178.htm
▽ NARUTO
女子中学生が相談したのは「『NARUTO』に登場するうちはイタチの死から立ち直れない」という内容です。『NARUTO』とは、週刊少年ジャンプで連載中の忍者を題材にしたマンガで、コミックスの発行部数が累計1億冊を突破しているほか、TVアニメや劇場版も制作されるなど、人気の高い作品として知られています。そして、「うちはイタチ」とは主人公のライバルの兄で、弟を思い自らの命を犠牲にした人物です。
相談した女子中学生は、彼の事を思うと翌日に目が腫れるほど泣いてしまうそうで、「現実と漫画の世界が違うことはわかっていますが、彼のことを忘れるのは絶対に嫌です」とその心境を吐露しています。
彼女の悲痛な悩みに応えたのは、相談を受けて『NARUTO』を全巻読み通したという精神科医の野村総一郎さん。野村さんは「かなりハマりましたね。私の年ですらそうですから、若い感性なら、抜け出せなくなっても不思議はない」とコメントし、相談者へ以下のようなアドバイスを送っています。
ちょっと青臭いかもしれませんが、次のように考えてみては?イタチは自分の使命を果たし、弟への愛を貫いた。これは美しい自己犠牲の生き方である。いや、現実に自己を犠牲にする必要はない。若い時には「美しい生き方とは何か」をイメージできるだけで、素晴らしい体験だと思うのです。このイタチの思いをあなたの心の片隅に留とどめていくことができれば、イタチも本望でしょう(漫画の作者はもっと本望に違いありません)。それにイタチはストーリー上では死んでいても、ページをめくればいつでも会えるのです。
この回答に、はてなブックマークのコメント欄では、「ちゃんと読んだのかすごいな」「まず全巻読んでみる回答者の先生は偉い」「こういう回答をしてくれる先生が居るというだけでも世の中捨てたもんじゃないと思える」などの声が寄せられています。ちなみに『NARUTO』のコミックスは、2011年3月現在で54巻まで発売されています。