フリーライターの山田井ユウキです。最近は誰もがスマホで写真を撮るようになって、写真文化がものすごく多様化していると感じます。コンテストに応募したり、SNSでシェアして「いいね!」をもらったり……まさに楽しみ方は人それぞれ。そんな中、ここ数年で再び盛り上がっているのが、インスタントカメラ。撮ったらその場でプリントされるカメラのことですね。特に富士フイルムのチェキは若い女性を中心に大ヒットしているようです。
かつてのフィルム文化がデジカメ、スマホを経て帰ってきた……などというと、別にフィルムカメラ自体がなくなっていたわけでもないし、写真の印刷文化にしたってプリクラとかあるやんけと怒られそうですが、やっぱりスマホを持っているにもかかわらず、わざわざカメラ、それもプリントの手間がかかるフィルムカメラが今流行るのって面白い現象だなと思うのです。
でも、なぜ流行るんだろう?
フィルムカメラにまったく触れずに育ち、デジカメからカメラに入っていった筆者には、今インスタントカメラが流行る理由がよくわかりません。だって、フィルム代もかかるし、プリントするだけならデジカメでもいいじゃない。その場でモノとしての写真ができあがることが、そんなにいいものかなぁ。
そんなことを考えていたら、チェキの愛称で知られるインスタントカメラの大ヒット商品「instax」シリーズに、新製品が登場しました。
instax SQUARE SQ10(インスタックス スクエア エスキューテン)です。
▽ instax SQUARE SQ10(インスタックススクエア) | FUJIFILM
これを使えば、もしかして今インスタントカメラが愛されている理由がわかるかもしれない。そんなふうに思ったので、5月19日(金)の発売よりも一足早く富士フイルムさんに現物をお借りして使ってみることにしました。
ということで、こちらがinstax SQUARE SQ10(以下、SQ10)。価格はオープンで、フジフイルムモールでの販売価格は31,860円(税込)です。
大きさがわかりにくいかなと思ったので、iPhone 7 Plusと並べてみました。
こうして見ると、SQ10はけっこう大きいですね。ポケットにはちょっと入りそうにないですし、カバンに入れてもそれなりにかさばりそう。
厚みはそうでもないですが、縦横のサイズだけで考えるとミラーレス一眼とかの方がコンパクトです。
このSQ10、ユニークな特徴を持っています。
背面にデジカメっぽい大きめの液晶画面がありますね。
実はチェキ史上初、デジタルイメージング技術を搭載した、アナログとデジタルのハイブリッドカメラなのです。
「デジカメの良さを持ったインスタントカメラ」といえばいいでしょうか。
裏蓋を開けて、ここにフィルムをセットします。
蓋を閉めると、ウィーンという機械音がして、何も写っていないフィルム(?)が1枚出てきます。撮影準備はこれで完了。
その後は撮り切るまで蓋を開けてはいけません。開けると感光してフィルムがダメになってしまうからです。
この隙間から、プリントされた写真が出てくるわけですね。
電源はレンズを回すことで入ります。
レンズは単焦点で、35mm換算28.5mmのF2.4。
……まぁチェキにおいてそんな数字にあまり意味はありません。iPhoneとほぼ同じ画角ということだけわかっていれば十分です。
面白いのはシャッターボタンが2つ用意されていること。
どちらかを別の機能に割り当てることもできます。
ボタンの場所も面白いですね。ガシッと握ってちょうど人差し指や中指が当たる場所に配置されています。
メニュー画面などを操作するためのボタン類。
周囲に配置されたボタンで、フィルターやビネット(周辺光量)、露出補正(明るくしたり暗くしたり)などが行えます。
SQ10の使い方はシンプルです。
電源を入れたら、背面液晶を見ながら撮影し、プリントしたい写真を選んで加工して、プリントする。それだけです。
ポイントは撮った後からでも加工できること。そういう意味では使い勝手はスマホに似ているといえそうです。
ちなみにサイドのこのスイッチを「AUTO」にしていると、撮った写真が即その場でプリントされるのでご注意を。実際にやって慌てました。
「MANUAL」にしておけば、撮ってすぐプリントではなく、後から選んでプリントできます。
逆に撮ったらすぐプリントしたいというテンポ重視の方は「AUTO」設定でいいでしょう。
さて、カメラを眺めていても仕方ないので、実際に撮ってみましょう。
実際に撮影してプリントし、それをスキャンした画像を載せていきます。
SQ10はmicroSDが使えるので、撮影データはそこに残していけるのですが、残念ながらPCと接続して取り込んでも、後からかけたエフェクトが反映されません。あくまでも最終出力として想定されているのが、SQ10からのプリントだからでしょう。
ただ、今回は記事で紹介するのに電子化しないわけにもいかないので、プリントしてからスキャンするという手順を踏んでいます。
※今回、池袋のイタリアン「トマト・トマト・デ・ルーチェ」にご協力いただきました。
いかがでしょう。
書き忘れていましたが、SQ10のフィルムは正方形です。Instagramっぽくていいですね。
写真の下の余白に日付やコメントを入れて渡すのなんておしゃれですね。
……さて、SQ10を使ってみて思ったのは、
まず、プリントするのが楽しい!ということ。
何を当たり前なといわれそうですが、撮るのも見るのもスマホやPCのディスプレイで完結している自分にとって、
プリントされて、
少しずつ写真がはっきり出てくるのを眺めるのはすごく楽しい"体験"でした。
チェキに慣れている若い世代にとっては別に珍しくもなんともないと思いますが、本当にそう感じたので素直に書かせていただきます。
それから、もう一つ感じたのは、プリントした写真を介したコミュニケーションが楽しいということ。
正直、最初に風景を撮ってみたときは、まぁプリントする新鮮さは感じるけど、だったらスマホや一眼カメラで撮って後からアプリで加工してプリントすれば同じじゃない?などと思ったのです。
しかし、ランチに訪れたお店でシェフを写真を撮ってみると、それをネタに会話が弾むのです。
"その場ですぐにプリントできること"でコミュニケーションが生まれるんだなということに気付かされました。
これは別にSQ10だけの特徴ではなく、インスタントカメラならどれも持っている特徴ではあります。
なので、すでに使ったことのある人にとっては何を今さら……という感想だと思いますが、今回のSQ10でチェキがデジタルとのハイブリッドになったおかげで、僕のようにデジカメにしか興味がなかった層でも「やってみようかな」と思える取っ掛かりになったのはかなり大きなことだと思います。正直、今までのアナログオンリーのチェキは、デジカメに慣れていると不便なこともありそうで(それがいいという人もいると思います)なかなか興味がわきませんでした。
デジカメのような使い勝手と利便性を持ち、それでいてベースはあくまでもインスタントカメラであり、プリントする楽しさを教えてくれるSQ10。
今回さわってみて、めちゃくちゃ欲しくなりました。
僕と同じように、フィルムに興味がなく触ったことすらないという人にこそ、手にとってみてほしいカメラでした。
FUJIFILM デジタルチェキ SQUARE SQ10 ブラック instax SQUARE SQ10
- 発売日: 2017/05/19
- メディア: エレクトロニクス
FUJIFILM スクエアフォーマットフィルム instax SQUARE INSTAX SQUARE WW 1
- 発売日: 2017/05/19
- メディア: エレクトロニクス