4月30日、世界的に大流行しつつある新型インフルエンザの呼称について、世界保健機関(WHO)は「豚インフルエンザ」(Swine influenza,Swine flu)から「インフルエンザA型」(Influenza A)に改めると発表しました。この変更の背景にはどんな事情があったのでしょうか。
asahi.com(朝日新聞社):WHO、呼称を「インフルエンザA(H1N1)」に - 国際
朝日新聞の記事によれば、その理由は、各国の養豚業者や国連食糧農業機関(FAO)などの国際機関から「豚」という言葉の使用を控える申し入れがあったことのようです。そもそも現時点で、豚肉を摂取することでこのインフルエンザに感染したという報告はなく、WHOも日本の内閣府食品安全委員会も、食肉によってヒトに感染することはないという見解を出しています。それにも関わらず、すでにメキシコからの豚肉輸入停止を決めた国がいくつも出ている状況があったのでした。 なお、メキシコ経済省は、メキシコ産豚輸入の停止を決めた国を提訴する方針があるとの発言をしているようです。
なぜ「豚」インフルと呼ばれたのか――フィナンシャル・タイムズ(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース
また、フィナンシャル・タイムズの記事では、そもそも現時点でこの新型のH1N1型ウィルスが動物から分離・検出されたこともなければ、まだ豚から人間へ直接感染した事例も見つかっていないことが書かれています。「豚」という名称が使われたのは、今回のウィルスを遺伝子解析した結果に豚インフルエンザの成分が多かったことが理由のようです。
なお、一部では、今回のインフルエンザの感染源がメキシコの養豚場にあったのではないかという憶測も出ているようですが、これもこのインフルエンザについての多くの情報と同様に、未確認情報にすぎません。WHOや厚生労働省からの公式発表を待ち、冷静な判断を行うべきだと思われます。