室町幕府の初代征夷大将軍・足利尊氏。戦前は天皇に背いた逆賊として否定的に評価されることも多かった人ですが、最近は研究の進展に伴い、以前とは違った姿が描かれているようです。しかし、そんな尊氏の好転してきた評判に影響を与えてしまいそうな、ユーモラスな文章が登場して話題を呼んでいます。
この「高密度小池」のエントリーでは、南北朝時代初期の混沌とした世の中を生き抜いた、足利尊氏の人生を駆け足でユーモアたっぷりに紹介しています。そのあまりに波瀾万丈でつっこみどころ満載な内容に、はてなブックマークでは、「歴史とか中学生以来触れてないけどおもしろいんだなぁ」、「大河ドラマでやってくれ。原作はこの記事で」などのコメントがついていました。
中でも、多くの人が注目しているのが「花一揆」。西芳寺庭園の作庭などで知られる名僧・夢窓疎石の弟子であり、『太平記』にも「容貌当代無双の児」と書かれている希代のイケメン・饗庭氏直が率いていた、若武者の部隊だそうです。
三番に饗庭の命鶴生年十八歳、容貌当代無双の児なるが、今日花一揆の大将なれば、殊更花を折て出立、花一揆六千余騎が真前に懸出たり。
・・・(中略)・・・
三陣には花一揆、命鶴を大将として六千余騎、萌黄・火威・紫糸・卯の花の妻取たる鎧に薄紅の笠符をつけ、梅花一枝折て甲の真甲に差たれば、四方の嵐の吹度に鎧の袖や匂ふらん。
このエントリーの著者は、「尊氏の人生で最も特筆すべき事項は、イケメンを六千人もあつめて「花一揆」などという名前の武士団を作ったこと」と書いており、想像力を刺激されたユーザーたちから「すごい!見てみたい!」、「饗庭氏直の顔を池上遼一絵で想像ちゅう(笑)」などの声が上がっていました。コメント欄でも指摘されているように、時代の変革期ゆえの分かりづらさや政治的な問題などでなかなか日が当たりづらいこの時代ですが、この記事をきっかけに、時代小説や歴史書を紐解いてみるのもいいかもしれませんね。