名作ミュージカル映画『雨に唄えば』では、映画がサイレントからトーキーに移行した時期のドタバタが描かれています。そんな『雨に唄えば』にも出てきた初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』に匹敵する、映画の新しい時代の幕開けを告げる作品ではと最近話題なのが、ジェームズ・キャメロン監督の最新作となる3D映画『アバター』。今回はそのネット上での感想をまとめてみました。
■ アバターに寄せられる絶賛の声
- ▽ 押井守監督、『アバター』の完成度に衝撃!「10年かけても追いつけない」と完敗宣言でみんなで乾杯!? - シネマトゥデイ
- ▽ スピルバーグ、『アバター』を『スター・ウォーズ』以来のSF映画と絶賛! - シネマトゥデイ
- ▽ やっとAVATARみた!感動した。|堀江貴文オフィシャルブログ「六本木で働いていた元社長のアメブロ」by Ameba
- ▽ 映画「アバター」は観るべき? Twitter上のクチコミ調査では75%が好評価
押井守、スピルバーグなどの映画関係者から絶賛を浴び、Twitterやブログでも話題沸騰中の3D映画『アバター』。『ジャズ・シンガー』以外にも、『2001年宇宙の旅』や『ジュラシック・パーク』など映像表現におけるエポックとなった往年の名作を引き合いに出して語る人も多く、いつかは盛り上がると目されながらも、なかなか決定打となる作品が出ずにいた3D映画というジャンルで、ついに放たれた大ホームランという感があります。
- ▽ 米SF大作『アバター』、世界興収10億ドルを突破 史上最速 国際ニュース : AFPBB News
- ▽ asahi.com(朝日新聞社):「アバター」大入り初日4億円を突破 - 日刊スポーツ芸能ニュース - 映画・音楽・芸能
この圧倒的な商業的成功を受けて、ビジネスの視点からも、にわかに3D映画そのものが注目を浴び始めているようです。『ジャズ・シンガー』の商業的成功は映画ビジネスの世界を瞬く間に変えていきましたが、『アバター』もそんな役割を果たすことになるのでしょうか。
■ 『アバター』の制作経緯
構想から14年、制作に4年をかけた大作3D映画
- ▽ 映画「アバター」 オフィシャルサイト
- ▽ アバター (映画) - Wikipedia
- ▽ 映画『アバター』メイキング動画:モーションキャプチャの新技術 | WIRED VISION
- ▽ ハリウッド超大作映画のプロデューサーは一体何をしているのか、「アバター」プロデューサーのジョン・ランドーに聞いてみた - GIGAZINE
『アバター』の制作経緯については、上のエントリーが参考になります。キャメロンが構想を始めたのが1994年、そして実際の制作には4年の月日がかかっているとのこと。これほどの時間がかかった理由として、キャメロンは自身の構想に映像技術が追いつくのを待っていたことを上げています。実際、それだけの時間をかけて準備された本作では、様々な最新の技術が導入されており、何とこの作品のために開発されたカメラまであるのだとか。
ちなみに、はてなブックマークでは、従来の3D映像と比較して、こんな指摘をしている人もいました。
これはしばらく見ていて気がついたのだけど、あの富士通の3D映像の時代の頃と違って、CG技術は格段に進歩している。一番大きな違いは、ピントというものが存在していて、カメラが中心的に見ている部分以外は適当にボケていてくれる。かつてのCG 3D映像は無限の被写界深度を持っていたのだけど、この映画ではそうじゃないんで、「どこ見てていいかわからない」ということがなくて、違和感もあまりない。普通の映画のように「ピントが当っている部分が見るべき場所」とわかりやすいので、昔とはまるで疲労感が違う。3Dであることが十分楽しめる。
■ ネット上の感想~映像は凄いけど、ストーリーはどうなの?
※注意! 以下のリンクには、公開中の映画『アバター』の物語・作品・登場人物に関する重要な情報が含まれています。
ネット上の感想でまず目につくのは、やはり「とにかく映像は凄い」という意見。
一方、キャメロンの脚本については粗いという感想を持った人が多いようです。有名どころでは、SF作家のグレッグ・イーガンがまさにこうしたコメントを発表して話題を呼びました。とは言え、2時間半を超える長丁場は、映像の新奇な魅力だけで持たせるには少々厳しいのもまた事実。決して多くはありませんが、本作におけるキャメロンのストーリーテリングに一定の評価を与えている人もいるようです。
- ▽ 超映画批評『アバター』60点(100点満点中)
- ▽ 『アバター』: olddog's latest footstep
- ▽ ゲームの世界で、おれは生きる!:『アバター』 - 冒険野郎マクガイヤー@はてな
観客を異種族への感情移入に引きずり込んでいくキャメロンの演出技法を褒める人、キャメロンのフィルモグラフィーにおける連続性を指摘して彼の作家性について考察する人、そして、従来の異境モノと比較して、生々しい描写が周到に排除されていることを指摘する人。この映画の物語に興味を持った方は、ぜひ上のエントリーを読んでみてください。
また、本作を観て、随所に日本のアニメーション監督・宮崎駿氏からの影響を感じ取った人は多かったようです。実際、妙に既視感のあるシーンが多いと感じたアニメファンも多いのでは。宮崎作品からの影響は、キャメロン自身もインタビューで認めているようです。
▽ 新作「アバター」 宮崎アニメにオマージュ J・キャメロン監督 (1/2ページ) - MSN産経ニュース
独自の生態系をもつパンドラには、ユニークな生物や宙に浮く山々、動植物の生命をつなぐ網状の組織などの描写があり、どこか宮崎駿監督のアニメと世界観が似ているが…。「ミヤザキの新作は必ず見ているよ。実は映画の最後に『もののけ姫』にオマージュをささげたシーンがあるんだ」と教えてくれた
■ 今後のためにも覚えておきたい! 3D方式の違い
最後に、もし今から『アバター』を観に行こうと思っている人がいれば、ぜひ知っておいてほしいことがあります。それは、3Dには種類があり、その方式ごとにそれぞれ特性を持っているということです。
本作字幕版ではナヴィ語が右端上端に映し出されるため,頭を動かして視線を右上にあげすぎるとゴーストに悩まされる.立体感を重視して予告編で驚かされた XpanDのベストポジションでも見直す予定だ.3D映画には上映方式の特性があること,視聴位置が重要だということは本作を契機にもっと知られていいと思う.
3D方式は映画館ごとに違っているため、ここにこだわりたい人は自分が求める方式を採用している映画館を選ぶ必要があります。映画館に足を運ぶ前に、ぜひ以下のサイトなどを参考にしてみてください。
DVDでは決して味わえない、映画館ならではの映像の魅力を非常に分かりやすい形で見せてくれる、この『アバター』。もうしばらく上映期間は続くとのことなので、ぜひ映画館に足を運んでみましょう!