最近、通称「まおゆう」なるWeb小説が人気を集めていたり、キンドルのような電子書籍リーダーやiPadが話題になったりと、ネット上で読める文章作品に再び注目が集まっているようです。そこで今回は、著作権切れの文書をWeb上にアップロードしている有名サイトを紹介してみます。
■ まずは定番のサイト
<iPhoneアプリでも人気「青空文庫」>
▽ 青空文庫 Aozora Bunko
日本語圏でネット上の文章を読むと言えば、まずはやはりこの「青空文庫」。最近は、人気iPhoneアプリの方で知っている人も多いかもしれません。著作権の切れた作品がボランティアの手で多くアップロードされており、無料で読むことができます。明治から昭和初期にかけての国内文芸作品が多いのが特徴です。ちなみに、はてなブックマークでは、以下のような作品が人気のようです。
▽ 夢野久作 ドグラ・マグラ
▽ 寺田寅彦 科学者とあたま
▽ 小栗虫太郎 黒死館殺人事件
▽ 夏目漱石 夢十夜
<古典もソフトウェア開発も「プロジェクト杉田玄白」>
▽ Project Sugita Genpaku
こちらの「プロジェクト杉田玄白」では、著作権上問題ない翻訳作品へのリンクが多数掲載されており、『聖書』やディケンズ『クリスマスキャロル』のような古典から、キャロル『不思議の国のアリス』やベンヤミン『複製時代の芸術作品』のような比較的近年の作品まで、様々な著作権切れの文章を読むことができます。また、オープンソース界隈を中心にソフトウェア開発に役立つ文書が多数置かれているのも特徴です。例えば、以下の文章などは非常に有名なものです。興味のある方はぜひどうぞ。
▽ The Cathedral and the Bazaar: Japanese(『伽藍とバザール』)
▽ Hackers and Painters(『ハッカーと画家』)
▽ A Declaration of the Independence of Cyberspace(『サイバースペース独立宣言』)
<歴史ある「プロジェクト・グーテンベルク」>
上の二つのようなサービスは、しばしば「電子図書館」という名称で呼ばれることがありますが、そうしたサービスの中でも世界で最も長い歴史を持つのが、この「プロジェクト・グーテンベルク」。
実はこのプロジェクトは1971年に始まっており、当時15個あった、後にインターネットに発展するノードの一つにイリノイ大学の学生が『アメリカ独立宣言』をアップロードしたことに端を発しています。古今の著作権フリー文書が集まっているので、英語に自信のある方は、ぜひ使ってみてください。
■ 他にも電子テキストを読んでみたい人に
日本語圏の文章で、これらのサイトに載っていないものを探している場合には、以下のサイトが役に立つはずです。
▽ 電子図書館 書籍デジタル化委員会
▽ http://www.konan-wu.ac.jp/~kikuchi/link/linkd.html
▽ 現代語訳リンク
1番目のサイトでは、各電子図書館の電子テキストにリンクが貼られています。ただし、2005年頃を境に更新が止まってしまっているようです。2番目のサイトは、国文学の研究者の方が作成した、国文学関連テキストのリンク集。ちなみに、簡単に国文学名作の現代語訳を読んでみたいという人は、3番目のエントリーのリンク集が便利です。
▽ 電子テキストを公開しているサイトまとめ - 次の音は、思わぬところに埋まっている。
▽ 電子図書館の一覧 - Wikipedia
こちらは、電子図書館のリンク集。特に最初のブログのエントリーでは、各電子テキスト公開サイトを丁寧に紹介しており、非常に参考になります。
また、こうしたリンク集に入っていないサイトであっても、下のリンク先のように、まだまだ独自に書籍を電子化して公開している人たちがいます。興味のある方は、ぜひ探してみてください。
▽ http://wageiidiom.cocolog-nifty.com/jitsuroku/2007/02/post_761a.html#more
(Title photo by taberandrew)