沖縄に生息するサンゴの一種「コユビミドリイシ」のゲノム(全遺伝情報)を解析したことを、独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構(OIST)のマリンゲノミクスユニットが発表しました。研究成果は、7月24日付の英科学雑誌「Nature」オンライン版に掲載されています。
▽ http://www.oist.jp/ja/press-room/press-releases/150-2011/1047-pr-first-coral-genome.html
▽ Using the Acropora digitifera genome to understand coral responses to environmental change | Nature
OISTのホームページでは、コユビミドリイシのゲノム情報を解析した結果、以下の内容が明らかになったと紹介されています。
1. 化石から予想されたよりもサンゴの起源は古いこと
2. 白化に弱いミドリイシ属は、非必須アミノ酸であるシステインを合成するのに必要な酵素を持たず、褐虫藻に依存している可能性があること
3. サンゴ自身がUV吸収物質を合成できること
4. 複雑な自然免疫系の遺伝子を持つこと
5. サンゴ特有の石灰化遺伝子候補が多数あること
サンゴの起源は約2億4千万年前であるとされていましたが、今回の研究成果では約5億年前に登場したと推測されています。他にも、これまでサンゴに共生している褐虫藻が作っているとされてきたUV吸収物質を、サンゴが自ら合成できることなどが分かったとのことです。
OISTによれば、解析に使われたコユビミドリイシは、世界各地で1998年に発生したサンゴの大規模な白化現象の際に激減したそうです。この研究によって、サンゴと褐虫藻の共生メカニズムや、今後起きるであろう海水温上昇にサンゴがどのように対応するかなどの詳細が明らかになることが期待されています。
OISTは、沖縄に世界最高水準の科学技術に関する研究及び教育を実施する大学院大学の設立準備を行い、沖縄の自立的経済発展に寄与することを目的として2005年9月に発足した団体です。