大阪地裁は4月25日(金)、大阪・中崎町にあるクラブ「NOON」の元オーナー・金光正年さんが風営法違反に問われた裁判について、無罪判決を言い渡しました。摘発以降、ネットで話題を集めた一連の流れと、判決後の反応をまとめました。
■ 摘発の経緯
NOONが摘発されたのは、2012年4月4日午後9時43分ごろ。当日、店内ではDJイベントが行われており、約20人の客がいました。警察は強制捜査でNOONの元オーナー・金光さんをはじめ同店のスタッフ8人を逮捕。店内において無許可で客にダンスをさせたとして、金光さんが風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)違反の罪に問われました。
裁判は2014年1月に結審。検察側は懲役6ヶ月と罰金100万円を求刑しました。
▽ クラブを無許可営業「NOON(ヌーン)」を摘発。NOON利用者の見解まとめ - Togetter
▽ クラブNOON 風営法違反訴訟 最終公判 @大阪地裁 まとめ - Togetter
金光さんと弁護団は「性風俗秩序を乱すおそれのあるいかがわしいダンスをお客さんにさせたことはない」と主張。ダンスやクラブを厳しく規制する風営法に対し「憲法21条1項の保障する表現の自由、憲法22条1項の保障する営業の自由を不当に侵害する違憲の法律である」と指摘しました。
■ 判決は“無罪” Twitterで大きな反響
▽ http://www.asahi.com/articles/ASG4T3GB0G4TPTIL00N.html
▽ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140425/k10014018471000.html
NHKニュースによると、4月25日の判決で斎藤正人裁判長は「摘発されたクラブで行われていたダンスは、法律で規制の対象となる『性風俗を乱すおそれがある享楽的なダンス』には当たらない」と判断。一方で、金光さんと弁護団が主張していた風営法が憲法違反だという主張には「性風俗秩序の乱れにつながるおそれがある場合は、営業を規制する必要性は高い」としました。
風営法の規制対象から「ダンス」の削除を求めて署名活動を行っていた「Let's DANCE」は、無罪判決についていち早くツイート。弁護団の男性が「無罪」の文字を掲げる写真と合わせて投稿しました。同ツイートは4月25日午後5時時点で3,000以上リツイートされています。
▽ Twitter / dance_shomei: 速報!NOON裁判、無罪判決が出ました!! http://t ...
朝日新聞の文化くらし報道部記者で、風営法について取材を重ねている神庭亮介さんは、閉廷後の金光さんのコメントをツイート。金光さんは「めっちゃうれしいです。安心しました。これが法改正につながっていけば」と話したとのことです。
▽ Twitter / kamba_ryosuke: NOON風営法裁判、先ほど閉廷しました。元経営者の金光正年さ ...
裁判を支援するサイト「NOON TRIAL SUPPORT」は、弁護団声明を掲載。弁護団長・西川研一さんの署名入りで「私たち弁護団は、本判決によって、不合理さが明らかとなった現行風営法を速やかに改正し、ダンスを指標として性秩序を統制しようとする時代遅れの規制を速やかに撤廃するよう求める」と発表しています。
■ 無罪判決を受けて著名人の声
Twitterでは無罪判決後、クラブカルチャーを愛するさまざまな著名人から、喜びの声が上がりました。
<大友良英さん>
朝日新聞の取材に対し、一連の裁判について「検察側の主張は社会常識に照らしてナンセンス。踊った、踊ってないでモメてるなんて、まるでコメディーみたいじゃないですか」とコメントしていた音楽家の大友良英さん。「まずは良かった。これが法改正に繋がっていけば」と投稿しています。
▽ Twitter / otomojamjam: クラブNOONの風営法裁判無罪、まずは良かった。これが法改正 ...
▽ http://www.asahi.com/articles/ASG4P7SF3G4PUCVL03F.html
<いとうせいこうさん>
作家のいとうせいこうさんは、新聞社に「社会常識として無罪は当たり前だが、判決としては画期的である。戦ってきた人々に敬意を表する。ただし不合理な抑圧はなお根本的に維持されたままだ。法改正に向けた大きな一歩となることを期待する」などのコメントを出したとツイートしています。
<宇川直宏さん>
「金光さんお疲れさまでした!法改正への一歩!」とツイートしたのは、DOMMUNE代表の宇川直宏さん。過去に配信した「TALKING about 風営法・第一章」の動画を紹介しています。
<磯部涼さん>
音楽ライターで、クラブと風営法の問題を取り上げた『踊ってはいけない国』シリーズ(河出書房新社)を編著した磯部涼さんは「この判決はあくまでNOONのケースに対してであって、クラブと風営法の問題の解決には法改正が必須。それと共に、業界の団結と自主規制ルールの制定が重要であることを確認しておきたいです」と今後を見据えた冷静なコメントを発表しています。
▽ Twitter / isoberyo: この判決はあくまでNOONのケースに対してであって、クラブと ...