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「プロダクトドリブン」のカルチャーで、人の役に立つ医療プロダクトを実現するメドレーの開発文化

日本最大級の医療介護求人サイト「ジョブメドレー」やクラウド診療支援システム「CLINICS(クリニクス)」を開発する株式会社メドレー。徹底したプロダクトドリブンによって「人の役に立つ」を実現する開発文化について2人のプロダクトマネージャーに聞きました。

稲本竜介さんと田中清さん

クロステック(X-Tech)という言葉に代表されるように、これまでテクノロジーの活用が縁遠いと思われていたさまざまな分野でIT化が進んでいます。医療×ITのヘルステック・メディテックもそのひとつ。高齢化による患者増加やそれに伴う医療費の高騰、医療を受けるうえでの地域格差や慢性的な人材不足による医療現場の疲弊など、医療をめぐる山積みの課題には、ITの力による解決が期待されています。

テクノロジーを活用して「医療ヘルスケアの未来をつくる」チャレンジをしているメドレーは、12月にマザーズ上場も果たした、いま注目の医療ヘルスケアベンチャーです。同社で開発チームのマネージャーとして活躍する2人のエンジニアに、医療分野における開発の現場や、その意義について聞きました。

※ この記事は、株式会社メドレーによるSponsoredContentです。

医療ヘルスケア分野はチャレンジできる場

田中清さん

田中 清(たなか・きよし)株式会社メドレー 執行役員 開発部長 エンジニア

田中清さんと稲本竜介さんは、共にメドレーでチームマネージャーの役職を務めつつ、プロダクトマネージャーも担当するエンジニアです。

メドレーは2009年創業ですが、一般的なベンチャー企業と同様に、エンジニアの採用を進めながら事業拡大を続けており、田中さんと稲本さんもその過程でメドレーに加わりました。

稲本さん「2014年に入社したんですが、それまで人の出入りが続いていて、その時点では開発チームの3人目でした。ちょうど会社として、エンジニアリングチームをきちんと整備しはじめたころでしたね」

なんでもできるようになりたかったエンジニアがメドレーへ入社した理由

その2年後の2016年には田中さんも加わり、現在ではプロダクト開発エンジニアは35名ほどに増加、サービスも拡大しています。

SIerとWEB業界を経験したエンジニアがメドレーに入社した理由

2人とも前職では医療とは別領域にいたとのこと。それぞれ音楽業界関連のシステム開発や、ゲーム・動画サービスの開発に携わっていましたが、医療への思いを持って転身してきました。

稲本さん「エンターテイメントもよかったんですが、人の生活に役立つサービスに関わりたくなったんですね。そこで医療系に行き着きました」

田中さん「私も近いところがあります。前職ではひとつやり切った、みたいな気持ちを抱いていて、自分の経験や能力を生かして何か人の役に立つものを作りたいと思いました。年齢的にも医療がより身近になってきたこともあります」

医療ヘルスケア業界が2人の目に留まったのは、社会的意義があることに加えて、解決すべき課題が点在する業界だということもあります。高齢化などによって医療そのものの需要が伸び、それに伴って医療従事者の労働人口は増加しているものの、人材は大きく不足しています。

加えて、医療分野においては情報化の取り組みが遅れており、まさに現在進行中という背景があります。ひとつの例をとってみると、電子カルテの普及率は、厚生労働省の資料で2008年から2017年にかけて約3倍に増加しましたが、それでもまだ全体の5割に到達していません。全体のおよそ6割の医療機関が、いまだに紙のカルテを利用しているという状態です。

医療分野の情報化の推進について |厚生労働省

稲本さん「法整備が徐々に進んでいることもあって、テクノロジーで実現できることは増えている。デジタル化、クラウド化の市場もどんどん伸びてきています。私のチームには10人ほどのエンジニアがいるので、どんどん新しいチャレンジをチームで行っていけることにやりがいを感じています」

稲本竜介さん

稲本 竜介(いなもと・りゅうすけ)株式会社メドレー 開発部 副部長 エンジニア

医療ヘルスケア分野の大きな課題を解決するサービスを展開

メドレーでは現在、以下のサービスを運営しています。まず医療介護領域の人材採用システム「ジョブメドレー」は、創業時から手がけている人材プラットフォーム事業。

日本最大級の医療介護求人サイト | ジョブメドレー

医療プラットフォーム事業では、オンライン診療アプリも含むクラウド診療支援システム「CLINICS(クリニクス)」に注力しつつ、市民のための介護情報サービス「介護のほんね」と、患者のための医療情報サービス「MEDLEY(メドレー)」も運営しています。

オンライン診療アプリ CLINICS(クリニクス)

クラウド診療支援システム CLINICS(クリニクス)

田中さんは開発部の部長として開発チーム全体をマネージメントすると共に、クラウド診療支援システム「CLINICS」のプロダクトマネージャーを務めています。稲本さんも、「ジョブメドレー」のプロダクトマネージャーと、開発部副部長を兼ねています。

田中さん「基本的に、プロダクトごとにリーダーがついています。プロダクトの方向性を決めたり、メンバーのマネジメントを行っていますが、開発の状況によっては、リーダーであっても自らコードを書いて開発に携わります。私も以前よりは比率は少なくなりましたが、今も手を動かす仕事をやっています」

ジョブメドレーと共にメドレーの柱となっているのが、CLINICSです。オンライン診療・クラウド電子カルテ・Web予約の3つのプロダクトからなる、診療所向けのクラウド型診療業務システムです。

田中さん「電子カルテは、会計システムや検査機器など病院内にすでにあるシステムと連携し、いわば医療システム全体のコントローラー、軸となる非常に重要なシステムです。さらにオンライン診療やWeb予約とも連携することで、患者さんと医師とのコミュニケーションがスムーズになるというメリットもあります。

こういった連携は、他のサービスにないCLINICSの強みであり、今後の事業展開を考える上でも欠かせない機能です」

CLINICSは、ジョブメドレーよりかなり新しいサービスで、2016年にリリースされました。新しいサービス展開には、事業上の必要性だけでなく、規制緩和の動向も大きく影響しています。

以前は、過疎地や離島でないとオンラインでの治療を行うことができませんでしたが、2015年の事実上の規制緩和によって都市部でも実施が可能になりました。それを受けて、翌年からオンライン診療のサービスが次々にリリースされたのです。

遠隔診療、事実上解禁 「ソーシャルホスピタル」へ前進 :日本経済新聞

また、電子カルテに関しては、病院内から外部のシステムに接続する場合にVPNが必須だったものが、クライアント認証とTLS 1.2によるオープンネットワークでの接続がガイドラインで言及されたことで、クラウドでの運用が可能になったのです。

田中さん「必要十分な医療業務の知識を持ち、国のガイドラインを満たした上で、実際のシステムのアーキテクチャーや仕様に落としていくところは、難しかったですね」

タイミングを逃さず、行政による通達やガイドラインの改定などをタイムリーにサービスに反映させるスピード感も求められます。

稲本竜介さんと田中清さん

現代的なWeb開発と医療ドメインならではのシステムとの共存

メドレーで提供しているサービスは、一般ユーザー向けの側面をもちつつも、医療機関の既存の業務システムそのものと密接に関係しているという特徴があります。

田中さん「電子カルテと病院の従来システムとの間で、データの連携を行っています。電子カルテはクラウド上にありますが、従来の病院のシステムは閉じたネットワーク上にあるため、直接やりとりはできません。

病院内ネットワークから外部ネットワークにアクセスするためには、以前はVPNを使用するなどの手段が必要だったために、従来のシステムではAPIでの連携がされていないことが多いのです。

2017年に外部ネットワークとの通信にTLS 1.2を使用できるという通達があり、連携のハードルは下がりました。そこで現在では、こうした従来のシステムと電子カルテ間をつなぐプログラムを書いて、連携を実現しています」

稲本さん「プロダクトの開発チームとは別に、医療機関に電子カルテを適切に導入する専門のチームがあり、連動しながら動いています」

こういった医療分野特有の面もある一方で、サービス開発に関しては一般的なWeb開発の手法を採っています。

田中さん「CLINICSとジョブメドレーでは、フレームワークとしてRuby on Railsを使用しています。新規のサービスでも、アプリケーション部分ではRailsを使っていることが多いですね」

稲本さん「同じ言語で統一することで、スピード感のあるプロダクト開発のオーバーヘッドが出ないようにすることを目指していました。しかし最近では、プロダクトの数が増え、多様化してきていることに伴い、事業やプロダクトによって違う言語を使うこともあります」

田中さん「そうですね、プロダクトによってやりたいことが違うので、適している言語を使うという判断をしています。例えば、先ほどの連携プログラムでは安定性や配布のしやすさを考慮して、Go言語で開発しています。

どの言語を使うかは、自分が案を出すこともあれば、他のメンバーから提案されることもあり、相談して決めています」

田中清さん

「言われたものを作るだけ」は求められない

システムの導入を支援するチームは、病院側の要望を直接受けやすい仕組みがあるので、どうしても個別の現場ドリブンあるいは事業部ドリブンで、新しい機能開発を進めてしまいがちになります。しかし、クラウドサービスは汎用的に作る必要があるため、開発はプロダクトドリブンで進めることを徹底しています。

田中さん「いろんな意見が上がってきますが、ユニバーサルな要件であるかどうか? とか、本当にそれをすることが全体最適につながるのか? という観点を最優先しています。顧客の価値の向上につながることと事業の成長はイコールだと思っていて、そこは事業部側とも意識の統一はできています」

稲本さん「役割上、事業部側が情報を整理して、エンジニアが開発するという流れになることも多いですが、エンジニアも自分で考えて、建設的な議論を事業部側と対等に重ねてよいものを作っていくことが求められます。鵜呑みにして作るだけのエンジニアでは難しいですね」

田中さん「本当に何が必要かを考える、というカルチャーは全社的に意識統一されていると思います。そのため、事業部からも特定の顧客に特化した機能の要望はそもそも上がってこない。そして、上がってきた案件については、本当の課題は何なのかを追求します。例えば、こんなことがありました。

医療機関から『ある画面固有の機能を、別の画面からも使えるようにしてほしい』という要望があったのです。ところがその要望の背景を掘り下げていくと、別の画面からも使えないことに課題を感じるというよりも、該当機能の操作性そのものに問題があり、その画面での作業がスムーズに進まないことに課題があることが分かりました。

この場合、本当の課題は『機能の操作性が良くない』ことであり、別画面から使用できるようにすることではなかったのです」

こういった本質を追求するということが大事だという意識統一は、自然に行われたものではなく、会社の戦略として意識的に築き上げてきたものだと言います。

稲本さん「CTOの平山が2015年に参画し、本格的なチームビルディングを開始していく中で、本質的な課題は何かを捉え、解決案を考えて実行する文化を浸透させていきました」

その結果、いまではメドレーの「企業文化」として根付いたというわけです。

医療ITには「歴史と未来」「技術と医療」をつなぐ対話が求められる──メドレーCTO平山宗介 | FastGrow

稲本竜介さん

医療分野だからこその「人の役に立っている」という実感

専門的な知識が必要とされるシーンが多くあるため、メドレーには医療の専門家が従事しています。医師を始めとして、看護士や医療事務など医療従事の経験者が複数名勤務しています。

稲本さん「事業方針の決定や営業提案を行うには専門知識は不可欠ですし、サービスの本質を考えるときにもドメイン知識がないと判断ができないので、医療の専門家が社内にいることは重要だと考えています」

田中さん「ただ、専門家にお任せ、というふうにはしていません。エンジニアも本質を考えるためには、もちろん業務知識をインプットしておく必要があります。同様に、医師もITのことが分からないといけないというのは共通項としてあります。

ジョインしたばかりのエンジニアに医療の知識がないことは当然の前提ですので、中途で入った方のためにオンボーディングとして、やるべきことの定義や、覚えるべきポイント、参考ドキュメントをまとめてサポートしています。勉強会も適宜開催しています」

田中さん、稲本さんとも、医療業界の外から「人の役に立ちたい」という思いで飛び込んできました。それを開発のなかで実感することも、大きな原動力となっているようです。

田中さん「震災直後の被災地で診療所が閉鎖され、医師が不足していたときに、オンライン診療のシステムが使われて、役に立ったことがありました。そのときは自分もそのシステムに関わっていただけに、仕事を通じて『人の役に立つことができた』という強い実感がありましたね」

Webサービスでは、アクセス数などの数字がサービスの成否の絶対的な判断基準にされる傾向にあります。それももちろん重要ではありますが、人の役に立つという数字に現れない実感をモチベーションにできるのは、医療ドメインならではの開発体験でしょう。

医療ヘルスケア業界のデジタル化、クラウド化の波に乗って、日本の未来をつくる仕事で人の役に立つプロダクトを作り続けていくことも、ひとつのエンジニアの幸せのあり方だと言えるのではないでしょうか。

稲本竜介さんと田中清さん

医療ヘルスケアの未来をつくる|株式会社メドレー

[SponsoredContent] 企画・制作:はてな
取材・構成:森嶋 良子
写真:赤司 聡