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童話コスプレ服を生んだのは“コスプレイヤー” 「フェリシモ」担当者に聞くヒットの理由


■ 大ヒット商品を生んだのは、コスプレ好きの女性スタッフ

「最初はイメージと違うサンプルしかできなくて。全然、思い通りにならなかったです」

そう話す星野さんは、コスプレ大好きな“コスプレイヤー”。プライベートは、イベントや撮影などでコスプレを楽しんでいます。

もともと画像処理などを担当するアルバイトスタッフとして入社した星野さん。無縁だった企画の世界に足を踏み入れたきっかけは、先輩の岡崎さんと訪れた「日本橋ストリートフェスタ」というイベントでした。イベント内でコスプレの世界に衝撃を受けた岡崎さんは、「あれを作ってみたら?」と星野さんに持ちかけます。

絵や服作りについて学ぶ大学を卒業していたものの企画の経験はなく、最初は「コスプレは好きだし、きっかけを与えてもらったからやってみよう」という軽い気持ちだったそう。さまざまな企画を考える中で着目したのが、女の子が小さなころに抱く「お姫様になりたい」「物語の主人公になりたい」という思い。「不思議の国のアリス」や「白雪姫」「眠り姫」などの“童話”をモチーフとした服を考案しますが、フェリシモがこれまで作ってきた服の中に、星野さんが求めていたドレスのようなデザインやパターンはありませんでした。工場と直接やりとりし、イラストを描いてはサンプルにしてもらい、サンプルを見ては修正する日々。


生地のサンプル。見て、触って、イメージに近い生地を選ぶ

「今はかなり広がりましたが、もともとコスプレは足を踏み入れづらい世界。ファッション感覚で気軽に着てもらえるコスプレ服を目指して、女の子が好きそうなフリルやレースを取り入れつつも、多用はせずフリフリさせない。色味も落ち着かせて、ゴージャス過ぎないようにしました。コスプレはお金もかかるので、童話コスプレシリーズは本体価格を1万円以内に収めました」

紆余(うよ)曲折を経て出来上がった童話コスプレシリーズは、発表するやいなやTwitterなどのSNSで注目を集め、異例の大ヒット商品に。約1年のうちに4シリーズ全19着を発売し、“完結”しました。


左は「ピノッキオ」、右は「赤毛のアン」がモチーフ

星野さんは2014年春から、『不思議の国のアリス』をイメージしたブラウスやスカートを展開するシリーズをスタート。もう少し落ち着いたら、童話コスプレシリーズの“第2章”を始めたいと考えているそうです。

「以前、誰かに『ファッションもコスプレのようなものなんじゃないの?』と言われたことがあって。確かに女の子は、“クールな女性”や“森ガール”など、自分がなりたいイメージを、服で表しているのかなと。一方で、コスプレの世界には『コスプレは外でするものではない』という暗黙の了解みたいなものがある。でも、もっとオープンにコスプレを楽しんでもいいんじゃないかと思うんです。いつか、コスプレが自己表現のひとつとして気軽に楽しめる日が来たらいいですね」

■ “普通にかわいいもの”を“普通の子”が着る

星野さんの童話コスプレシリーズをきっかけに、フェリシモでは、アイドルやアニメ、マンガなど、日本のカルチャーとコラボするプロジェクト「スキヤキ」が立ち上がります。スキヤキのプロモーションなどを担当しているのが、岡崎さんです。

「童話コスプレシリーズのヒットで、こういうのを求めている人がいっぱいいるんじゃないかと。“特定の属性の人”に向けた商品群を作るプロジェクトをやってみてはどうかという社内の声が、スキヤキの誕生につながりました」

最初にコラボしたのは、アイドルグループの東京女子流が出演した映画「5つ数えれば君の夢」。haco.のカタログデザインなどを担当したことのある制作会社が新たな会社を立ち上げて製作した映画で、フェリシモに衣装協力の声が掛かり、作中で東京女子流の5人が着る制服の製作・販売につながりました。Webでは「フェリシモが制服を発売した」と注目を集めました。


普段着としても着られる、かわいいデザインで人気に

次のコラボ作品として目を付けたのが、テレビアニメ「キルラキル」でした。綿密なやりとりの末に生まれた商品は、ネイルシール、タイツ、ネックレス、インナーの4つ。いずれも“ファッションとして楽しめるデザイン”にこだわったと岡崎さんは言います。

「アニメの好きな人はもちろん、そうじゃない人もかわいいと思って、『こんなにかわいいんだったらアニメも見てみようかな?』と作品に還元できるプロジェクトにしたかった。例えばネイルシール。最初はキャラクターの顔をそのまま使う案で進んでいたんですが、それだと作品が好きな人だけにしか届かないので、極制服やエフェクトをプリントしました」


右は設定資料をもとに再現性にこだわった片太刀バサミネックレス(完売)


左はレディースのタンクトップとパンツのセット(5月下旬発売予定)。アニメ本編カットからプリントするシーンを厳選

「今の若い子が『今期はどのアニメを見る?』と話しているのは、僕らの世代だと『今クールのドラマ何見る?』みたいなノリなんですよね。若い子たちにとって、アニメやアイドルが好きなのは“普通”なんです。だからこそスキヤキは、普通にかわいいものを普通に売って、普通の子が普通に買って、普通に楽しむような商品を展開していきたいと思っています」

■ 「選ばない」行為から生まれる、服との新しい出会い

星野さんが企画した童話コスプレや、岡崎さんが携わるスキヤキのほかにも、フェリシモでは数多くのユニークな商品が生まれています。企画が生まれる経緯などを、広報の中島健太郎さんに伺いました。


(左)日常生活で写仏を楽しむ「プチ写仏プログラム」(右)深海生物をモチーフにした靴下

「商品開発の現場は、トップダウンよりもボトムアップ。自分たちがやりたいことを常に提示し、いい案であればどんどん実行できる環境で業務が進んでいます。深海魚ソックスも、新入社員の熱い思いから生まれた商品です。あとは、スタッフが女子DIY部や猫部など、好きなテーマの“部活”をしていたり。“好き”が形になりやすい会社だと思います」

フェリシモは、2015年で創業50周年を迎えます。さまざまな取り組みを行ってきた中でも、独特なのが「コレクション」という購入システム。申し込んだ商品の色・柄・デザイン違いが毎月1着、ランダムに届きます。

「テレビの画面を通して見る芸能人の服装って素敵ですよね。でも、多くはスタイリストがコーディネートしていて、私服を見ると全くイメージが違ったりする。フェリシモの『コレクション』も、自分で選ばないことで、新しい自分に出会うようなスタイルを楽しんでいただけるのではないかと思っています。あとは、商品が増えていくと違った価値が生まれる。例えば童話コスプレシリーズは、エプロンやリボンなどの付属品を、別のアイテムと組み合わせて使えるようにデザインされていて、集めれば集めるほど、続ければ続けるほど、どんどんコーディネートの幅が広がっていきます」

童話コスプレシリーズを注文した顧客の多くは、1着のみではなく、継続して複数回購入しているとのこと。これまでに発売した全種類をコレクションしている方もいるそうです。


組み合わせの楽しさを提案する

「童話コスプレシリーズは、服としてだけではなく、その先にある“童話のヒロインになりきって楽しむ”という価値をご提案しています。フェリシモのコレクションには、商品が持つ“モノの有用性”を超える価値も含まれているということをしっかりご案内しながら、安心して楽しくお買い物していただけるようにしていきたいです」

神戸ファッション美術館(神戸市東灘区)で6月24日(火)まで、上記で紹介した童話コスプレシリーズ全種類やスキヤキの“制服”などを展示する「乙女なコスプレファッション展」を開催しています。詳しい情報は以下でどうぞ。

FELISSIMO プレスリリース詳細

【フェリシモについて】
FELISSIMO フェリシモ
ファッション通販のhaco! | ハコ!毎日のお洋服と明日のハッピーを届けます。
http://www.felissimo.co.jp/contents/alice/
スキヤキ│フェリシモ

※岡崎誠さんの「崎」は正確には山へんに立に可ですが、一部表示されない環境があるため「崎」としました

文: タニグチナオミ

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