安土桃山時代に千利休によって大成されたと言われる「茶道」。日本古来の雅な習わしとして、現在まで伝わっていますが、数多くの作法や日常で触れる機会が少ないことから、敷居の高そうなイメージがありますよね。今回はそんな方のために、春にピッタリな“野点”を紹介します。きちんとした場所・作法で本格的にお茶を頂くことも大事ですが、入門編として友人を集めて気軽なお茶会を開くのはいかがでしょう。
■歴史や開催場所、用意すべきものなど
<野点とは>
▽野点
野点は、春や秋など比較的すごしやすい時期に野外でお茶を点てること、またはそのお茶会のことを指します。春は桜、秋は紅葉というように、その季節に見ごろを迎える自然に触れながら、お茶を楽しみます。従来の屋内でのお茶会に比べて、さほど作法を問わない催しも多く開催されています。
<オススメの開催場所>
四季の移り変わりを楽しめる、自然の多い場所がいいでしょう。かと言って手洗い場やトイレがないと不便なので、飲食可能な植物園などを選びましょう。京都市内だと、大芝生のある京都府立植物園がオススメです。
▽京都府立植物園-京都府ホームページ
河川敷や大規模な公園などでもいいですね。
<用意するもの>
まずは、お茶をたてるための基本の道具を用意しましょう。
- 茶碗…お茶を飲む器
- 茶筅(ちゃせん)…お茶を点てる道具
- 茶杓(ちゃしゃく)…抹茶をすくう茶さじ
- 茶巾…お茶碗を拭くための麻布。濡らして使用します
- 抹茶…何がいいか迷った時はお店で相談するのがベター。あらかじめ振るっておくと点てやすくなります
- お湯…自宅で沸かして保温性のある容器に入れて持ち寄りましょう。器を温めるときにも使うので、多めに用意すると安心です
- お茶菓子…作法上ではお茶の前にいただきます
その他、あるといいもの。
- シート…ブルーシートなど、大きいものを用意すれば、ゆったり楽しむことができます
- 防寒グッズ…いくらすごしやすい気候でも、ずっと野外にいれば冷えることも。念のためひざ掛けやカイロを用意しましょう
- ボウル…茶碗を洗った後の水や、温めた後のお湯を入れておき、ある程度たまってきたら手洗い場に捨てましょう
- 懐紙…あるとお茶会の雰囲気がアップします。なくても大丈夫です
- トランプやカードゲームなど…もちろん、なくても大丈夫ですが、あると人と集まる楽しみが増えます。よければ、下のエントリーを参考にしてみてください。
■お茶を点てよう!
ではさっそく、お茶を点ててみましょう。一般的に、大寄せの茶会や禅寺のもてなしに点てられる、1人1椀づつのお茶を「薄茶」と言います。
▽茶道について
こちらのエントリーでは基本的な薄茶の立て方が、写真入りで紹介されています。
1.お茶碗を温める。
2.茶筅の穂先を湯でなじませる
3.器の湯を捨て、茶巾でしっかり拭く
4.抹茶を入れる。茶杓2杯半が目安
5.茶碗に約4分の1弱ほどのお湯を入れる。お湯の量はあくまで好みで
6.茶筅をまっすぐ立て、穂先全体を使って点てる
お茶に浮かんでいる泡は、流派によって立てたり立てなかったり。ちなみに、表千家・武者小路千家はあまり泡を立てず、裏千家では泡をたくさん立てます。こちらも、流派を重んじない会であれば好みでいいでしょう。筆者はなめらかな触感を楽しめる、裏千家を好みます。
お茶をいただく作法は細かく存在しますが、気にせず、ぐいっといただきましょう。外の空気に触れながらいただくお茶は、おいしさもひとしおかと思います。
きちんとした作法が気になる方は、以下のエントリーを参考にしてみてください。
今回紹介したのは、気軽な人たちと楽しむいわば“野点ごっこ”。もちろん、本来の茶道とはかけ離れていますが、気さくに日本の文化に触れることも、貴重な伝統を残す上で重要なのではないでしょうか。興味を持った方は、ぜひとも我流の野点を楽しんでみてくださいね。
Title Photo by Paul Davidson