京都大学化学研究所の千葉大地助教らによる研究グループは10月3日(月)、電圧を加えることで室温下の永久磁石の磁力を失わせることに成功したと発表しました。10月2日付の英科学雑誌「Nature Materials」オンライン版に成果が掲載されています。
▽ 室温で電圧による磁力のスイッチに成功~スピンデバイスの電気的制御手法に新たな道~ — 京都大学
▽ http://www.asahi.com/science/update/1002/OSK201110020040.html
今回の研究によると、強い磁性を持つ金属であるコバルトを、0.4ナノメートルという非常に薄い膜状にして、絶縁膜を介し電圧を加えると、室温付近で磁力が消えたそうです。電圧を加えるのをやめると再び磁力が発生しています。
外部から磁界を加えたり温度を変えることで磁石の性質を制御するという研究はこれまでにも行われてきましたが、室温下において電気的に磁力のオンオフを切り替えることに成功したのは今回が世界初だそうです。
今後の展開として、磁石を利用しているハードディスクや磁気メモリなどの省エネ化、高速化への応用が期待されるとのことです。
▽ Electrical control of the ferromagnetic phase transition in cobalt at room temperature | Nature Materials