「ポーの一族」「トーマの心臓」などで知られるマンガ家の萩尾望都さんが、少女マンガ家としては初の紫綬褒章を受章しました。受賞に関するインタビューの全文が、NHK科学文化部の「NHK『かぶん』ブログ」に掲載されています。萩尾さんは、「トーマの心臓」で描いたテーマやマンガの魅力、今後描きたい作品について語っています。
▽ http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/800/119069.html
紫綬褒章は、学術、芸術の分野で功績を残した人物に送られます。萩尾さんは1969年、少女マンガ誌「なかよし」に掲載された「ルルとミミ」でデビュー。その後「ポーの一族」「11人いる!」「残酷な神が支配する」など数々の作品を発表しました。
3月に電話で受章を知らされたという萩尾さんは、当時の心境を「まさか、いいんでしょうかほんとにって感じで、まだそのびっくりが続いているような感じです」と語りました。「文学的」と評される自身の作風については、「SFとか、ヘッセとか、ロマン・ロランとかの影響も受けている」とのこと。1974年発表の「トーマの心臓」では、「もっと人間性というものは細やかなもので、その細やかなものを描いてもいいんじゃないか」と思い、悩みを抱える主人公の様子を描いたそうです。
萩尾さんにとって、マンガの魅力は「絵と言葉」だそう。カット割り次第で読み手の気持ちをとことん揺さぶれるとして、「自分も揺さぶられましたし、おなじ揺さぶりを描いて、誰かに返したい」と述べています。今後描きたいテーマについては、福島第一原子力発電所の事故を挙げたほか、「SFとか、もしくは衣装が好きなのでコスチュームが出てくる華やかな話を、歴史物とかを描きたい」と回答しています。
はてなブックマークのコメント欄には、「ヘッセの影響ってのはとても頷けるなぁ」「語り手が見上げた空に鳥がさえずっている、というような、ストーリーと無関係なシーンが描き込まれていたのが子ども心に新鮮だったなあ」といった声が寄せられています。
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