世界保健機構(WHO)は2月28日(木)、福島第一原子力発電所で発生した事故による健康への影響について調査報告を公開しました。放射線や疫学、公衆衛生といった分野の専門家らによる科学的な分析結果です。
▽ WHO | Global report on Fukushima nuclear accident details health risks
WHOの報告では、国内や国外に住む一般的な人々において、福島第一原発で発生した事故による健康への危険度は低く、がんが増加するおそれは低いと結論付けています。また、原子力発電所からの放射線による流産や死産の急激な増加や、事故後に誕生した乳児の肉体や精神状態への影響は予想されないとのことでした。
調査をまとめた専門家らは、緊急時の対応のために放射線にさらされた作業員らへの影響も予測。作業員のうちの3分の2はがんのリスクが一般的な人と変わらない一方、残りの3分の1はリスクが高くなっていると推定しています。
専門家の1人でWHOの環境・公衆衛生の担当者Maria Neira博士は、危険にさらされている人々の長期的な健康のモニタリングと医療支援を行っていく必要性を強調。さらに報告書では、直接的な健康への影響だけでなく、健康や幸福にとって重要と思われる社会心理的な影響についても述べています。
報告の詳細は以下のページからダウンロードできます。
▽ http://www.who.int/ionizing_radiation/pub_meet/fukushima_report/en/index.html