こんにちは、からあげ(id:karaage)です。愛知県でモノづくり系企業のエンジニアとして、愛する妻と子供のために日夜一生懸命働いています。また、本業とは関係なく、趣味で電子工作やソフト開発をしていて、作ったものや技術的な内容をはてなブログで発信しています。今回は、Amazon Dashボタン(Amazon Dash Button)をHackして面白いことをしようと思います。
Amazon Dashボタンは、お気に入りの商品をワンプッシュで注文できる便利なボタンです。「フルグラ」「ウィルキンソン」など、対応している商品ごとのボタンが販売されています。
▽ Amazon Dash Button お気に入りの商品をワンプッシュで
とりあえず3つ買う
Amazon Dashボタンをポチポチしながらニヤニヤしていると、妻から「それ何に使うの?」と聞かれたので「Amazon Dashボタンは、ワンプッシュで商品を注文できる便利なボタンなんだけど、Raspberry Piという電子工作によく使われる小型コンピュータ基板を使うことで、商品注文以外の凄いことができるんだ! Raspberry Piを使えば何でもできるんだ!」と説明したところ「いつもみたいなしょうもないものじゃなくて、ボタンを押したらお茶を沸かしたり、掃除をしてくれるやつ作って!」と貴重なご意見をいただいたので、Amazon Dashボタンを使って妻を助けるようなボタン、名付けて「からあげDashボタン」を作ってみることにしました。本記事では、その内容をご紹介します。みんな付いてきてくれよな!
■ 「からあげDashボタン」のシステム概要
今回Amazon DashボタンをHackして作る「からあげDashボタン」のシステム概要は以下となります。
なんだか凄そうですね!
それでは、早速この「からあげDashボタン」を使ってどんなことができるかを見ていきたいと思います。
■ ワンプッシュでお茶・お風呂を沸かしたり掃除をしたりする
まずは、ワンプッシュでお茶・お風呂を沸かす、掃除をするといった家庭の仕事をこなす仕組みです。「ワンプッシュでお茶を沸かす!? どんな魔法だ!」と思われた方もいるかもしれませんが、種は簡単です。妻がボタンを押すと夫である私のスマホに通知が来て、私が猛然とダッシュし仕事をこなすのです。現代の魔法とは、みな等しく闇を抱えているのものなのです。
早速試作した「からあげDashボタン」でテストしてみます。
ボタンが押されるたびにスマホに通知が来る様子
今回、Twitter経由とチャットソフトのSlack経由での通知を両方試してみました。Raspberry PiとTwitterとの連携に関しては、以前作った温度をツイートするbotを流用しました。興味がある方は参考にしてみてください。
Slackに関しては、IT系母ちゃんこと平 愛美さん(id:mana-cat)の記事を参考にさせていただきました。
Slackの方が簡単に使うことができ、非公開情報としてプライベートな用途にも使えるので、今回の用途にはより適しているかなと感じました。
通知が来たので、早速お茶を沸かしに行きます。
これが、私がお茶を沸かすやかんです
■ ルンバに掃除をさせる
いかに愛する妻のためとはいえ、私の身体はひとつなので少しでも仕事は減らしたいのが人情というものです。最近我が家ではルンバを買ったばかりなので、掃除はルンバにやってもらうことにしました。とはいえ、わざわざ通知が来てからルンバのスイッチを押しに行くのも面倒です。「からあげDashボタン」を押したら直接ルンバが掃除してくれたら便利そうですね。そんなことができるのでしょうか? できるんです、Raspberry Piを使えばできるんです!
作り方は比較的簡単です。まずは、改造されたルンバを用意します。もし改造されたルンバを所持していない方は、下記の記事をご参照ください。あっという間に改造されたルンバの出来上がりです。(※メーカーが想定している使い方ではないので、試す際はご注意ください)
これと「からあげDashボタン」を組み合わせてテストした動画が以下となります。
▽ https://www.youtube.com/watch?v=VNPRaJpH5SY
「からあげDashボタン」を押すとルンバが掃除を始めます。ボタンを2回押しているのは、1回押すとルンバがスリープから起動し、もう1回押すと掃除を始める仕様のためです。タイマを使ってコマンドを2回送るようなソフトを作ればワンプッシュでもいけそうですね!
妻に見せたところ「いや、リモコン使うし……」と愛情あふれるコメントをいただきました! 作ってから気付いたよ!
でも、話しているうちに「娘がルンバを怖がるので、リモコンが届かない玄関でルンバを起動するという使い方がありそうだね」という新たな発見ができました。ただ、まずは配線やむき出しの基板をなんとかしないといけませんが、それはまた別のお話。
■ 家庭菜園の栽培写真をブログに自動投稿
他の応用例として「からあげDashボタン」をRaspberry Piのカメラのリモートシャッターとして使うことにもチャレンジしてみました。単純に写真を撮るだけだとあまり面白くないので、ついでに撮影した写真をブログに投稿してしまうことにしました。「えっ? そんな写真を手軽に投稿できるような無料ブログがこの世の中に存在するのかって?」それがあるのです。「はてなブログ」というブログが。
実は、はてなブログはブログ投稿用のAPIを用意していたり、メールでの投稿に対応していたりと、色々な方法で記事を更新できるブログサービスなのです。今回は、画像を手軽に投稿できるメールでの投稿を試してみました。実はやってみると結構大変だったのですが、それもまた別のお話。
撮影対象は、最近家庭菜園を始めたので、その写真をアップすることにしました。Raspberry Piの防水ケース等のハードウェアは、昨年Raspberry Piを使って家庭菜園の栽培記録を付けた際に使ったものがあったので、そちらを利用します。
以下のようにセッティングしておいて「からあげDashボタン」を押すと。
自動でブログが更新されました!
ブログに書くことがないとお嘆きのあなた! 家庭菜園と「からあげDashボタン」さえあればワンプッシュするだけで毎日ブログを更新できてオススメです!
Raspberry Piに温度や湿度センサを付けると、もっと本格的な栽培日記も簡単に作れそうですね。また、カメラのリモートシャッターとしての使い方は、他にも応用例が考えられそうです。例えば、毎日家族写真を撮るという使い方も、手軽に家族の記録が残せてよいかなとか思います。
■ 「からあげDashボタン」専用ラベル作成
今のままだと、どのボタンが何のボタンかパッと見分けがつかないので、専用のラベルを作ると実用的になりますし、ぐっと愛着が湧きますね。なんとテンプレートを公開してくださっている方を見つけたので、ありがたく使わせていただきます。
▽ Amazon Dash Buttonを(正しくない方向で)使ってみた - Qiita
フォントは「けいふぉんと!」を使って、Macのプレビューアプリでささっとデザインして、プリンタでフィルムラベルに印刷します。後は切るだけなのですが、これが不器用な私には大変……
私が作ったもの
サイズは合ってないし、シールは切れてるし……不器用にもほどがあります。器用な妻にヘルプをお願いしました。妻を助けるためのデバイスを作っているはずが、妻に助けを求めるとはこれいかに。
妻が作ったもの
素晴らしい仕上がり! 私があっさり諦めた小さい穴もちゃんと開けてあります。これぞ夫婦の愛の結晶ですね。コツとしては、剥がせるタイプのシールを買うことと、100%のサイズで印刷することです。予備の分も2、3セットあると安心です。
■ 「からあげDashボタン」のIoTデバイスとしての可能性
今回「からあげDashボタン」を、妻の手伝い要求のスマホ通知から、ルンバのコントロール、リモート撮影、ブログへの自動投稿まで様々な用途に使ってみました。他にもたくさんの使い道が考えられそうですね。電源コード不要でWi-Fiに繋がるスイッチとして、これほど安く手軽に使えるものはそうはないんじゃないかなと思います。最近IoT(Internet of Things)という言葉をよく聞くようになりましたが、手軽にネットに繋がるスイッチである「からあげDashボタン」は、まさにIoTデバイスとして無限の可能性を秘めているんじゃないかなと思います。
「からあげDashボタン」のセットアップ方法やソフトウェアの使い方といった技術的な解説記事は、後日私のブログで公開予定です。本記事からも解説記事にリンクを追加予定ですので、もしこの記事で興味を持った方は是非試してみてください。(※2017年6月13日追記:記事へのリンクを追加しました)
■ 著者プロフィール
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