理化学研究所は6月21日(木)、被験者に気付かれることなく過去の映像を “現実”に差し替える実験装置「代替現実システム(SRシステム)」を開発したと発表しました。ネイチャー・パブリッシング・グループのオンラインジャーナル「Scientific Reports」に成果が掲載されています。
▽ http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2012/120621_2/detail.html
▽ Substitutional Reality System: A Novel Experimental Platform for Experiencing Alternative Reality | Scientific Reports
SRシステムは、ヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンを用いて、あらかじめ撮影しておいた過去の映像と、リアルタイムのライブ映像を切り替える装置です。研究チームは、パノラマで撮影された映像と被験者の頭の動きを連動する、過去と現在の映像を切り替えるタイミングを調整するなどの方法で、過去のシーンを実際に目の前で起きていると信じさせることに成功しました。実験の様子はイラストで再現されています。
今回開発されたSRシステムによって、ヒトのメタ認知の仕組みを研究するためのさまざまな認知心理実験が可能になります。その他にも、PTSD(心的外傷後ストレス障害)のような心的疾患に対する心理療法への展開や、次世代インターフェースとしての活用が期待されています。
日本科学未来館(東京都江東区)では8月24日(金)から26日(日)までの間、SRシステムを用いたパフォーマンスアート「MIRAGE」の公演を予定しています。