スクリーンから何かが“飛び出す”という3D作品が珍しくなくなってきた今、映画は“体感”するものへと進化しつつあるのかもしれません。作品の中に入り込んだようなリアリティーを感じられるIMAXデジタルシアター、首筋をなでられる感覚まで楽しめるMX4Dなど、近ごろはさまざまな仕掛けを取り入れる映画館が増えてきています。“アトラクション”のように映画を楽しめる上映システムやシアターを紹介します。
■ 被写体が膝の上まで迫るような臨場感 「IMAXデジタルシアター」
▽ IMAX®で“感動”を超える“体験”を! - ユナイテッド・シネマ UNITED CINEMAS
▽ IMAXデジタルシアターとは? | 109CINEMAS IMAX
IMAXデジタルシアターは、独自の技術を生かして「映像・音響・空間・作品」を最高水準まで高めたという上映システムです。シアター内のどのシートに座っていても、映画の中に入ってしまったような臨場感を堪能できるとのこと。スクリーンを床や天井、左右の壁いっぱいまで広げ、通常よりも客席に近い場所に設置しています。3D版ではさらに臨場感を発揮し、被写体が膝の上まで迫ってくるような映像体験ができるそう。“映画を見ている”のではなく、自分が物語に取り込まれるような感覚を楽しめそうです。
日本ではTOHOシネマズやユナイテッド・シネマ、109シネマズなどが一部の劇場に導入しています。
<日本最大級のIMAXシアター「成田IMAXデジタルシアター」>
▽ 成田IMAX®デジタルシアター|HUMAX CINEMA WEB 株式会社ヒューマックスシネマ
▽ 未来にいちばん近い映画館、成田IMAXで「ゼロ・グラビティ」を見る : 清水節のメディア・シンクタンク - 映画.com
映画評論家の清水節さんは、IMAXデジタルシアターの能力を最大限に引き出している国内スクリーンは成田HUMAXシネマズ(千葉県成田市)の「成田IMAXデジタルシアター」だと語ります。劇場全体をIMAXデジタルシアター用にカスタマイズしているのが特徴で、スクリーンのサイズも日本最大級です。シアター内の中央には座席をリクライニングできる「プレミアムスカイシート」が設置されており、ゆったりと映画を楽しめます。
<「度肝を抜かれた」 IMAXを体験した声>
▽ 『マッドマックス 怒りのデスロード』感想!ヤバすぎる!とにかく劇場へ行け!狂気!狂乱!狂騒!脅威!極限!極限!極限!極限! #マッドマックスヤバい [ネタバレなし] |Cinema A La Carte
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を見た人のブログによると、同作は“体験する”映画のため「出来る限りの大スクリーン×高音質での鑑賞」がおすすめだそう。実際に言葉で言い表せないほどの迫力だったようで、ブログでも「狂気!狂乱!狂騒!脅威!極限!極限!極限!極限!」と興奮した思いがつづられています。
▽ [ま]初体験の IMAX 3D で「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」を観てきました @kun_maa - [ま]ぷるんにー!
「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」でIMAX 3Dを初めて体験した人によれば、スピード感にあふれた迫力ある映像の連続に度肝を抜かれてしまったとのこと。「迫力のある音に驚いてビクッとし、緊張の場面では全身に力が入り、ユーモラスなシーンのおかしさは直に伝わる感じで思わず吹いてしまいました」と、映画を最大限に楽しんだそうです。
■ 突風、銃弾の圧力……“体感型”の「4DX」&「MX4D」
<銃弾の圧力まで体験できる「4DX」>
▽ 新次元の4Dアトラクションシアター ユナイテッド・シネマ|シネプレックス
3Dを超えた「体感型」を演出するための劇場上映システム「4DX」。作中のシーンに合わせてシートが前後・上下・左右に稼働するのが特徴です。さらに風・水(ミスト)・香り・煙を体感できるアトラクション効果も搭載。作中で降る雨や突風、危険な香り、爆発によって起こる煙のほか、主人公をかすめる銃弾の圧力まで体験できるそうです。国内では、コロナワールドやユナイテッド・シネマなどが一部の劇場に導入しています。
▽ https://www.youtube.com/watch?v=DquInkfHX7o
4DXで「ゼロ・グラビティ」を鑑賞したブロガーによると「映画に勝手に余計な味付けをして台無しにしてしまうんじゃないかと、不安に感じていたが、それは不要な心配だった」とのこと。登場人物が宇宙空間を浮遊するシーンで「グラスの中のワインのような、ゆったりとした動きで揺さぶられる動き」を体験できたのが印象的だったそうです。
<首筋に何かが触れる感覚も伝わる「MX4D」>
▽ https://www.tohotheater.jp/service/mx4d.html
「MX4D」は、アメリカのMediaMation社が開発したシステム。シーンに合わせてシートが動くだけでなく、五感を刺激する11種類の特殊効果を備えています。中には、首筋に何かが触れるようなゾクッとした感覚を与える「ネックティクラー」、背中をつつくような「バックポーカー」といったホラー・サスペンス系の作品に効果的な仕掛けも。TOHOシネマズの一部の劇場で体験できます。
<4DXとMX4D、違いは? 「マッドマックス」で比較>
▽ あなたの休日をWhat A Lovely Day!!にするための『マッドマックス』4DXとMX4Dの比較レポ - 狂い咲き映画日記
▽ 【緊急レポ:話題のMX4Dと4DX、そして“極上爆音”を「マッドマックス 怒りのデス・ロード」でハシゴしてきた!】 : 映画ニュース - 映画.com
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で4DXとMX4Dの違いを比較したというレポートがこちら。座席の揺れについては4DXの方が強く、アトラクションのようだったそう。MX4Dは全体的に控えめだったそうです。水の演出は、4DXは天井から雨が降る効果があり、MX4Dは顔めがけて強めに水が噴射されるとのことでした。
■ 爆発音が体に響きわたる! 立川シネマシティの「極上爆音上映」
大音量で臨場感たっぷりに映画を楽しめるというのが、立川シネマシティ(東京都立川市)の「極上爆音上映」です。通常よりも音量を上げるだけでなく、音響家に調整を依頼して作品にふさわしい音量で楽しめます。 爆発音や轟(ごう)音などは、音波で体が震えるほど響くそうです。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」では、作品の世界観をより味わえるように「音響のマッド化」を実施。爆発音・衝撃音をさらに増幅するために高性能サブウーファー(重低音専用スピーカー)を導入し、質と圧を突き詰めています。
極上爆音上映でマッドマックスを楽しんだ人は「予告のジュラシックワールドから低音域ヤバいと感じましたが本編はもっとヤバかった」「エンジンと爆発の轟音が響き渡って服から産毛まで全身を震えさせる」「五臓六腑に染み渡る低音」と、その体験をツイート。その興奮した様子から、いかに“マッド”な体験だったかが伝わってきます。
▽ 映画マッドマックスの聖地と化した『立川シネマシティ』 “極上爆音”上映のトリコとなる人が後を絶たない - Togetter
※本記事の内容は2015年7月時点の情報です。
Title Photo by Dick Thomas Johnson