多くの“中毒者”を生み出している、アクション映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」。熱を帯びた感想が日々あちこちに投稿されるなど、見た人たちの興奮が伝わってきます。そんな同作を、少し変わった視点で見てみるとどうでしょうか。水耕栽培農家や音楽ライターによる分析を読むと、今までにないおもしろい発見があるかもしれません。同作を見た4人による、個性的な分析・感想エントリーを紹介します。
■ 秋田の水耕栽培農家はマッドマックスをどう見たか
▽ 水耕栽培農家の視点から見る「マッドマックス 怒りのデス・ロード」 | ITとゲームとメタル
武装集団の首領であるイモータン・ジョーが作中で「大規模な多段式水耕栽培」をしていたことにテンションが上ったというのは、自身も水耕栽培農家だという秋田在住のChihokさん。水耕栽培は汚染された土壌や水が乏しい場所でも効率よく多くの作物を育てられるため、同作で描かれている資源が乏しい環境でも、年寄りや病人を養っていけるのだと指摘しています。
また「水耕栽培」という観点で作品を見ていると、イモータン・ジョーの5人の妻たちが置かれている環境そのものも“水耕栽培的”だと感じたそう。水耕栽培の要は「徹底管理」で、気温や水温を年中一定に保ち続けたり外から菌や虫が入らないようにしたりと、とにかく手をかけて育てていきます。しかも、この水耕栽培レーンと5人の妻たちの部屋は隣り合わせ。このことから、Chihokさんは2つの部屋の空調システムと水回りは共通しているのではないか、とも考察しています。
女性7人で構成されたバイクチーム「鉄馬の女たち」やフュリオサ大隊長についても“野菜”に例えるなど、これまでにないおもしろい観点で同作を読み解いているこちらのブログ。はてなブックマークのコメント欄にも「農家視点で見ると、イモータンジョーがつくる明るい農村」「より一層マッドマックス見たくなったし秋田に行きたくなった」「マッドマックスの舞台は秋田」などの感想が集まっています。
■ 「目が覚めた」 初見の女性イラストレーターの心境
▽ 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で目が覚めた話。~Mad Max fury road~: ラクガキ人物戯画
イラストレーターの松崎りえこさんは、同作を見て“目が覚めた”体験をイラストで表現しています。作品についてはTwitterでの盛り上がりを見かけた程度で、知識はほぼなかったとのこと。すでに同作を見た知人にもう一度見たいからと映画館に連れられ、初めてマッドマックスの世界を目の当たりにした松崎さんは、口の中がカラカラになってしまうほどの衝撃を受けます。
映画を見終わった後は、前作を見たり画集を購入したりと、とにかく“マッドマックス漬け”になったしまったという松崎さん。“ツッコむヒマ”もなかったという作品の内容を、鑑賞中の心境とともに雰囲気たっぷりのイラストで紹介しています。最後は「とにかく体感しないとわからないこのグルーヴ感!!最初から最後まで興奮しっぱなしでした!DVD欲しい!」との熱いコメントも。
■ あちこちに散らばる“音楽ネタ”に注目
▽ http://www.yamaha.co.jp/ongakukiji/news.php?no=15266&lid=12
「音楽的に語りがいのある映画でもある」と同作に言及したのは、『激重轟音メタル・ディスク・ガイド』などを監修・執筆した音楽ライターの山崎智之さん。同作に携わっているミュージシャンや使われている曲などに触れ、音楽的な楽しみ方を紹介しています。
同作の音楽を担当したジャンキーXLは、オランダ出身のトム・ホーケンバーグさんによるソロプロジェクト。山崎さんによると、同作ではフルオーケストラの演奏に加えて、ギターやドラム、シンセサイザーも担当しているそうです。一部のギターパートは、アメリカのロックバンド「ヤー・ヤー・ヤーズ」のニック・ジナーさんが演奏しています。本編ではアメリカのミュージシャンであるレニー・クラヴィッツさんの娘、ゾーイ・クラヴィッツさんがイモータン・ジョーの妻の1人を演じているなど、とにかく「とにかく音楽ネタに事欠かない映画」だとしています。
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」オリジナル・サウンドトラック
- アーティスト:ジャンキーXL
- 出版社/メーカー: SMJ
- 発売日: 2015/06/24
- メディア: CD
■ なぜマックスは誰にも恋愛感情を抱かなかったのか?
▽ 【第19回】婚活女性も専業主婦もキャリアウーマンも必見! 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
恋愛や性をテーマにした新作映画を取り上げているエル・オンラインの連載「二村ヒトシの映画でラブ&セックス考」で、アダルトビデオ監督の二村ヒトシさんは「アクション映画に先入観をもっている人にこそ観てほしい」と呼び掛けました。同作はアクションと登場人物の魅力だけで進むとしながらも、「何の説明もないのに登場人物それぞれが(味方も悪役も)何を思うのか、何のために戦っているのか、そのときの気持ちがとてもよくわかる。静かな場面でも主人公たちは多くを語り合わず、表情と視線を通わせる」と、繊細な演出について指摘しています。
さらに「この映画のテーマは現代の女性と男性が抱える、それぞれの問題に関わっています」と、恋愛的な観点で作品を分析。なぜ主人公のマックスは誰にも恋愛感情を抱かなかったのか、独自に考察しています。
▽ <ブラック&クローム>エディション 2017.2.8 ブルーレイ発売 映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』公式サイト