米軍の機密情報、外交公電などを次々に公開し、世界の注目を集めた機密情報公開組織「ウィキリークス(WikiLeaks)」。ウィキリークスという組織とその思想について、理解の手掛かりとなるノンフィクション、解説書、当事者による書籍が続々と出版されています。
■ ウィキリークスを間近で追った究極のノンフィクション
早い時期から、ウィキリークスによる事前情報提供を受けてきたドイツの週刊誌「デア・シュピーゲル(Der Spiegel)」と、イギリスの新聞「ガーディアン(The Guardian)」。それぞれの記者が、ウィキリークスと、この人抜きではウィキリークスを語れない創設者のジュリアン・アサンジ氏に迫るノンフィクションを出版しました。ウィキリークスの成り立ち、アサンジ氏の天才ぶりと奇行、世界を転々としながら活動を続ける様子、彼らが気に入って使用している技術やツールまで、詳細に書かれています。
シュピーゲル誌の記者による『全貌ウィキリークス』は、ウィキリークスの問題点を指摘しつつも、ある面ではウィキリークスやアサンジ氏に共感しながらウィキリークスを追っています。ウィキリークスのTwitterアカウントでは、著者の努力をねぎらう投稿(英語のツイート、邦訳のツイート)も。
一方、ガーディアン紙の記者による『ウィキリークス WikiLeaks アサンジの戦争』は、ウィキリークスに近づきすぎることなく、客観的にこれまでに起きたことの詳細を描いています。
- 作者:マルセル・ローゼンバッハ,ホルガー・シュタルク
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/02/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
▽ 全貌ウィキリークス - ハヤカワ・オンライン
▽ 『全貌ウィキリークス』電子書籍版同時発売!! - ハヤカワ・オンライン
- 作者:『ガーディアン』特命取材チーム,デヴィッド・リー,ルーク・ハーディング
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/02/15
- メディア: 単行本
▽ 『ウィキリークス WikiLeaks アサンジの戦争』(『ガーディアン』特命取材チーム,デヴィッド・リー,ルーク・ハーディング,月沢 李歌子,島田 楓子)|講談社BOOK倶楽部
■ 日本の有識者によるウィキリークス解説書
日本の著者によるウィキリークス関連書籍も出版され始めています。先日はてなブックマークニュースの「新刊ピックアップ」で紹介した『日本人が知らないウィキリークス』では、ジャーナリストやエンジニアなど7人の著者が、それぞれの専門分野から、ウィキリークスについて解説しています。
▽ Amazon CAPTCHA▽ http://www.yosensha.co.jp/book/b82112.html
また、『日本人が知らないウィキリークス』の中で言及されている、国際政治アナリスト菅原出さんの日経ビジネスオンラインでの連載が書籍化され、『ウィキリークスの衝撃』というタイトルで3月3日に出版予定です。
- 作者:菅原出
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2011/03/03
- メディア: 単行本
▽ 日経BP SHOP|ウィキリークスの衝撃 世界を揺るがす機密漏洩の正体
▽ http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20101214/217539/
■ ウィキリークスの“中の人”たちによる書籍
最後に、ウィキリークスを最もよく知る“中の人”の書籍を紹介します。ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジ氏の自伝『Wikileaks Versus the World: My Story』と、スポークスマンを務めたダニエル・ドムシャイトベルク氏の書籍『ウィキリークスの内幕』です。それぞれ2011年4月、2011年3月11日出版予定となっています。
Amazonの『ウィキリークスの内幕』のページには、概要と目次が掲載されています。「第5章 変人ジュリアンとの共同生活」「第6章 ウィキリークスの資金源」など、元"中の人"だからこそつづれる興味深い内情がうかがえます。
WikiLeaks Versus the World: My Story
- 作者:Julian Assange
- 出版社/メーカー: Canongate Books Ltd
- 発売日: 2011/04/07
- メディア: ペーパーバック
- 作者:ダニエル・ドムシャイト-ベルグ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/03/11
- メディア: 単行本