宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月25日(木)、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」とNASAの人工衛星「スウィフト」が、ブラックホールに星が吸い込まれる瞬間を世界で初めて観測したと発表しました。8月25日付の英科学雑誌「Nature」オンライン版に成果が掲載されています。
▽ JAXA|「きぼう」に搭載された全天エックス線監視装置(MAXI:マキシ)と米国スウィフト衛星を用いた観測による成果論文の英科学誌「ネイチャー」への掲載について − 巨大ブラックホールに星が吸い込まれる瞬間を世界で初めて観測 −
▽ http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110825-OYT1T00326.htm
2011年3月28日21時57分(日本時間)、スウィフトの観測チームがりゅう座の方向にある天体からエックス線を検出しました。「きぼう」に搭載された全天エックス線監視装置(MAXI)の観測チームは、この連絡を受けて観測データを調査。その結果、同天体から数時間にわたってエックス線が検出されていたことが分かったそうです。
MAXIとスウィフトの観測データを解析した結果、エックス線の正体は、ブラックホールに星が吸い込まれた瞬間を、世界で初めて捉えたものだと判明しました。
ブラックホールとは、質量が大きく密度の高い、重力が極めて強い天体のことです。ブラックホールの重力に引きつけられた星が、自身の重力とブラックホールの重力の差による潮汐力でばらばらになることを潮汐崩壊といいます。今回観測されたエックス線は、潮汐崩壊を起こした星が、ブラックホールに落ちる直前に放射したものだと考えられています。
今回の成果は、スウィフト観測チームのデイビッド・バロウズ教授(ペンシルベニア州立大学)らによる論文として、英科学雑誌「Nature」のオンライン版に掲載されています。
▽ Relativistic jet activity from the tidal disruption of a star by a massive black hole | Nature