NHK総合の情報番組「クローズアップ現代」は2月26日(火)、ゲームクリエイターの飯野賢治さんが逝去したことを受け、飯野さんが出演した放送回の文字起こしをWebサイトに掲載しました。公開されたのは、1996年に放送された「天才を探せ~激化するゲームソフト人材獲得合戦~」の後半部分です。その中で飯野さんは、独創性のあるものを作るために何が必要かを語っていました。
▽ http://www.nhk.or.jp/gendai-blog/900/147707.html
飯野さんは「Dの食卓」「エネミー・ゼロ」などを開発したゲームクリエイターです。高血圧性心不全のため、2月20日に42歳という若さで亡くなりました。クローズアップ現代には、Dの食卓で「マルチメディアグランプリ'95 通産大臣賞」を受賞した翌年の1996年にVTRで出演。サイトには、飯野さんに関連する部分の文字起こしが掲載されています。
1996年に発売された「エネミー・ゼロ」を、飯野さんは当初、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「PlayStation」向けに開発していました。しかし、SCEが開催したイベントで、開発をセガのセガサターン向けに変更すると異例の発表。業界で波紋を呼んだこの“挑戦”は、飯野さんにとって「大手メーカーの下請け的立場から脱却したい」という気持ちがあったそうです。
さらに、ゲーム開発はメーカーの注文を聞いて行うものではなく、クリエイターが主導しなければならないと言及。独創性のあるものを作るには、1つの価値観だけに縛られて全員がそれに従うのではなく、新しい提案をすることが必要だと語っています。このほか、「俺は何が詳しいんだろう、俺は何が好きなんだろうっつうのを、どんだけ冷静に見るかなんですよ」と、客観的に自分を見つめることの大切さも話していました。
はてなブックマークのコメント欄には、「途中10年以上も業界を離れてたのに、ゲームクリエイターとして一般メディア含めてこれだけ認知され続けた人って後にも先にも飯野氏だけと思う。オーラ漂う発言と風貌を改めて見てこんな人忘れる訳がないよなあと実感」「不気味なエネルギーがあった当時のゲーム業界を象徴する人。そして、ゲームクリエイターの地位を押し上げた功労者だと思う」といった声が集まっています。