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宇宙やルフィと融合する「歌舞伎」の世界 2015年のユニークな4作品


■ 絵本の世界を表現 九月花形歌舞伎「あらしのよるに」

九月花形歌舞伎|南座|歌舞伎美人

http://www.kabuki-bito.jp/news/2015/07/post_1434.html

京都四條 南座(京都市東山区)は9月、きむらゆういちさんの絵本『あらしのよるに』(講談社)を原作とした、若手役者による花形歌舞伎を上演します。同作は、オオカミの「ガブ」とヤギの「メイ」の友情を描いた物語。歌舞伎で「がぶ」を演じるのは、アニメ映画でも声優を務めた中村獅童さんです。獅童さんは「風や雨の音の表現など、歌舞伎ならではの見せ方にこだわりたい」と意気込みをコメント。同作には、市川月乃助さん、尾上松也さん、中村梅枝さん、中村萬太郎さんも出演します。

南座 九月花形歌舞伎「あらしのよるに」

脚本を担当する今井豊茂さんは、構想について「創作的な御家騒動などを絡ませて、メインのストーリーをつないでいく」と言及。ベースとなる原作にオリジナル要素を加えながら、歌舞伎の演出方法で作品が持つ魅力を表現します。

■ 宇宙人が登場! 六本木歌舞伎「地球投五郎宇宙荒事」

http://www.roppongikabuki.com/

六本木歌舞伎 大阪公演 地球投五郎宇宙荒事|オリックス劇場|歌舞伎美人

時は元禄、度重なる宇宙生命体の襲来により、江戸幕府はその機能を失っていた――ユニークな題材で話題を呼んだ、六本木歌舞伎「地球投五郎宇宙荒事」。市川海老蔵さんと中村獅童さんが、「新しい歌舞伎の時代を築くために、二人で何かしたいね」と意気投合し、考案しました。浅草寺の空に宇宙船が現れ、その船から悪の親玉・駄足米太夫(だあしべえだゆう)という衛利庵(えいりあん)が降り立つといったストーリーは、これまでにない歌舞伎の方向性を感じさせます。

六本木歌舞伎「地球投五郎宇宙荒事」

きっかけになったのは、海老蔵さんが故・中村勘三郎さんに言われた「海老蔵が新作をやるなら、最後は地球を投げるくらいのことをやってほしいね」という言葉だったそうです。“地球投げ”をヒントに生まれた同作には、脚本に宮藤官九郎さん、演出に三池崇史さんと、豪華な制作陣も集結。“宇宙規模の新作”として、2015年8月には名古屋と大阪で上演されます。

■ 劇団☆新感線とのコラボ 歌舞伎NEXT「阿弖流為」

歌舞伎NEXT 阿弖流為|大阪松竹座|歌舞伎美人

http://www.kabuki-bito.jp/news/2015/01/post_1309.html

http://www.kabuki-bito.jp/news/2015/05/post_1397.html

市川染五郎さんと劇団☆新感線のコラボレート企画として2002年に上演された舞台「アテルイ」が、歌舞伎の演目としてよみがえります。同作は、脚本家・中島かずきさんが書き下ろしたオリジナル作品。当時、主人公・阿弖流為(あてるい)を演じた染五郎さんは、13年の時を経て再び同じキャラクターに挑みます。

歌舞伎NEXT「阿弖流為」

染五郎さんが製作発表会見でキーワードに掲げた言葉は「混ぜる」。新たな要素と歌舞伎を混ぜ合わせ、「化学反応を目指したい」と語りました。中島さんは、歌舞伎版に書き直した内容について「田村麻呂をかなり若くしました。若さゆえに間違うこともあり、ドラマも増えています」とコメント。演出家・いのうえひでのりさんは「生の声が届くような芝居、そこに付随する音楽にします」と明かしています。出演者はほかに、中村勘九郎さん、中村七之助さんなど。大阪公演は10月3日(土)から10月17日(土)まで、大阪松竹座(大阪市中央区)で上演されます。

■ 客席の上を飛ぶ! スーパー歌舞伎II「ワンピース」

スーパー歌舞伎II ワンピース <特設サイト> 主演 市川猿之助

スーパー歌舞伎II(セカンド) ワンピース|新橋演舞場|歌舞伎美人

マンガ誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されている「ONE PIECE(ワンピース)」が、歌舞伎の舞台に登場します。ストーリーはほぼ原作通りで、原作を読んでいない人にも分かる内容にするほか、せりふも歌舞伎の言葉を使わずに構成するとのこと。客席の上を斜めに飛ぶ「斜め宙乗り」や本物の水を使った「本水」など、演出にもこだわります。物語の舞台は「頂上戦争編」。義兄弟の契りを結んだエースを救うため、主人公・ルフィや海賊団は、海軍との全面戦争に挑みます。

スーパー歌舞伎II ワンピース

ルフィ役は、市川猿之助さん。猿之助さんはこのほか、ハンコックとシャンクスも演じます。エースを演じるのは、俳優の福士誠治さんです。キービジュアルは、原作者・尾田栄一郎さんによる描き下ろし。鮮やかな衣装や、歌舞伎らしいポーズが目を引きます。上演は10月7日(水)から11月25日(水)まで、新橋演舞場(東京都中央区)で行われます。

文: あおきめぐみ

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