今週は、5人のはてなブロガーさんが「私の好きな場所」についてつづるリレーコラムをお送りしています。4本目は「暇な女子大生が馬鹿なことをやってみるブログ」の暇な女子大生(id:aku_soshiki)さんによる、“好きな本屋BEST5”。本屋をのぞくだけで、その街のことが不思議とよく分かりますよね。(編集部)
深夜のコンビニ……駅前のドラッグストア……スターバ○クスコーヒー……
「見つけると必ず寄ってしまう」という場所があなたにもあるのではないだろうか。
わたしの場合、それは「本屋」だ。沖縄に行こうがイギリスに行こうが真っ先に入るところは本屋であり、観光しに来たのか本の品揃えを視察しに来ているのか分からなくなる。
自分にとっての本屋はランナーにとっての給水所であり、勇者にとってのセーブポイントなのだ。
おもいで本屋BEST5
静かで、新刊本の独特の匂いがあり、ドアを開けば一瞬で外の世界から隔離してくれる本屋。『ここには本が好きな人しかいない』という安心感もある。
また、店頭を見れば世の中の情勢、社会問題、流行、その街がどんな街なのかが一目で分かるのも本屋のいいところ。
「その街らしさ」「雰囲気」「思い出」などの観点から5つの書店をランキング方式で紹介してみたい。
第5位 大阪の名も知らぬ本屋
いきなり名も知らぬ本屋で申し訳ない。というのもこれは3年前の夏休み、京都・大阪・神戸を一人で旅した時にふらっと入った店で店名をハッキリ覚えていないのだ。
覚えているのは、
・広くてキレイ(とても新しい建物)で内装は青みがかった白を基調としていた
・店名にアルファベットが入っていて洒落ていた
・確か大阪の主要駅、多分新大阪とか梅田の駅の側にあった
ということだけで、これらの記憶を頼って色々検索してみると、「紀伊國屋書店グランフロント大阪店」か「MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店」の線が有力だが自信は持てない。
初めての土地に一人で降り立つ不安感と高揚感。それと店内の明るく開放的な雰囲気が重なり、リリー・フランキーのやや下ネタの多い文庫を立ち読みしながら『これは良い旅になりそうだ』と確信できた思い出の場所である。
第4位 青山ブックセンター六本木店
大学に入って初めて「六本木」という街へ遊びに行った時、慣れない雰囲気から逃げるように駆け込んだ青山ブックセンター。『六本木にあっても、本屋は本屋なんだな……』とホッとした。
入り口付近は狭いが、奥に行くにつれて広くなっており落ち着いて本が探せる。デザインなど、アートに関する本や洋書が多く取り揃えてある印象。大抵ジョン・レノンみたいな丸い伊達メガネをかけた男性がいる。あと、カップルが多い。
第3位 八重洲ブックセンター八重洲本店
JR東京駅八重洲南口から出てすぐのところにある八重洲ブックセンター。地下1階地上8階建てで、ありとあらゆる種類の書籍が置いてある。
2階の喫茶店では静かにコーヒーを飲みながら購入した書籍を開き自分の世界に浸る本好きたちの様子が窺えるが、わたしも就職活動中よくここへ来てスパゲティを食べながら傷ついた心と羽を休めたものだ。
階下に広がる安息の地を見下ろし、『ここで働けたら幸せだろうな』と思ったりもした。
小説サークルの皆で「文学フリマ」と呼ばれる同人誌即売会の反省会をここでして、何となくわたしが放った一言により喧嘩になってサークルが解散したという苦い思い出もあるが、なんだかんだでとても好きな書店だ。
山田詠美さんのサイン会の予約をしたはいいが直前で怖くなって行かなかったことは今でも後悔している(平謝り)。
第2位 クエスト小倉本店
「クエスト? そんな本屋知らねえぞ」という方も多いだろう、クエスト(積文館書店)はわたしの地元である福岡県と佐賀県を中心に展開している本屋だ。
クエスト小倉本店は代々木ゼミナール小倉校の向かいにあり、参考書や過去問題集など受験関連の本を豊富に取り揃えている。わたしも授業の合間に頻繁に来店しては大量に本を買っていた。ちょうど伊坂幸太郎や森見登美彦にハマり始めた時期でもあり、予備校で勉強する時間よりもクエストで買った小説を読んでいる時間のほうが長かったように思う。
大学に受かるのかどうかなど、将来が全く見えていなかったにもかかわらず、何故かこの頃が一番楽しく密度が濃かった。あの日に戻って、徹夜で「アヒルと鴨のコインロッカー」を読みふけってみたい。もう一度あの興奮を味わってみたい……
北九州を思い出すといつも切なくなる。なお代々木ゼミナール小倉校は諸事情により2015年3月に閉鎖となったが、その詳細は各自でググってみてほしい。
第1位 あゆみBOOKS 高円寺店
「高円寺純情商店街」の中にある本屋、あゆみBOOKS 高円寺店。サブカルチャー系の本や、中央線関連の本が目立つところに置いてある。深夜1時まで営業しているので、いつも夜中文章を書いていて行き詰まった時に中野の自宅からえっちらおっちら歩いてここへ来ていた。
夜中でも明るく照り輝くその看板を見つけ安心し、中に入れば仕事帰りのサラリーマンとわたしみたいな「何やってるかよく分からない感じの人」が半々くらいいて、でも本棚にかじりつく様子は皆一緒で、その光景を眺めながら『ああここは本当に良い本屋だ』とか言いながら閉店時間までダラダラ過ごす。
あゆみBOOKS 高円寺店にいると『本屋はみんなの人生を支えているのだなあ』と実感できる。
深夜ラジオと本屋は心の避難所
ここまで書いてみて気づいたのだが、本屋というのは心の避難所だ。傷ついた時も行き詰まった時も、本屋に入ればしばし問題を忘れることができ、自然と自分の心が求める書籍へと導いてくれる。
『みんなに開かれているけれど楽しみ方は人それぞれで、自分の世界に浸れる』という点で本屋と深夜ラジオは似ているなあとも思ったが、自分でもちょっと何言ってるかよく分からなくなってきたのでニュアンスだけ読み取って頂けたら幸いです。
今、街の本屋はどんどん潰れていっているらしいが、彷徨える現代人にとって本屋が果たす役割は想像以上に大きいと思う。ぜひそういう人間のためにいつまでも開かれていることを願う。
筆者:暇な女子大生(id:aku_soshiki)
はてなブログ:暇な女子大生が馬鹿なことをやってみるブログ世界で2番目に好きなのは東西線です
Twitter:@sada_freejd29
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