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よしもと×NHK、落語と吉本新喜劇の“多言語字幕公演”を実施 海外観光客の取り込みに挑む



よしもと落語

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よしもとクリエイティブ・エージェンシーは、NHKグローバルメディアサービスと協力した“多言語での会場字幕演出”を公演に導入。演者の語りや演技に合わせ、英語と日本語の字幕をリアルタイムで表示します。今回、多言語会場字幕を取り入れるのは、6月5日(日)に神保町花月(東京都千代田区)で開催される「桂文枝“字幕”落語会」と、6月9日(木)から6月12日(日)まで東京グローブ座(東京都新宿区)で行われる「THE 舶来寄席 2016」東京公演。「THE 舶来寄席 2016」では、日本語字幕公演を6月10日(金)午後7時から、英語字幕公演を6月11日(土)午後1時から実施します。

5月2日に開催された発表会見では、実際に会見の場で話す内容を使ったデモンストレーションを実施。登壇者の背後にスクリーンを設置し、NHKグローバルメディアサービスのLIVETEXTチームによって書き起こされた内容を瞬時に表示させていきます。LIVETEXTとは、ライブイベントでの発言をリアルタイムでテキスト化するサービス。この日は3人のオペレーターが“あうんの呼吸”で分担しながら発言を書き起こし、内容を確認する担当者の最終チェックを通ったテキストがスクリーンに投映されていきました。聞き取った発言をチームで連携しながら入力していくという運用は、リアルタイム字幕放送で約10年の経験があるとのこと。早い人だと1分間で650回キーボードを打ち込むそうです。

よしもとクリエイティブ・エージェンシーで劇場センターのセンター長を務める坪倉大輔さんは、「吉本興業のライブを海外の方に楽しんでもらうというのは、よしもと公演として長年の課題だった」とコメント。増え続ける海外からの観光客にも楽しんでもらえるショーを作っていきたいと考えていたものの、言葉の壁を感じていたそうです。しかし「よしもとが世界に誇る最高のコンテンツはやはりお笑い」だとして、落語と吉本新喜劇の字幕化に挑戦する決断をしたと説明します。

まずは英語字幕の公演と、耳の不自由な人でも楽しめる日本語字幕の公演を実施。今後は英語以外の翻訳公演も行うほか、吉本興業が運営する劇場にも字幕システムを導入し、世界中の人々がいつ来ても吉本興業の公演を楽しめるシステム作りをしていくとのことです。

株式会社NHKグローバルメディアサービス
字幕制作センター 次長・松隈天さん

NHKグローバルメディアサービスで字幕制作センター次長を務める松隈天さんは、独特の文化があるお笑いというジャンルでのリアルタイム字幕は「大変難しく高度な技術がいる」と説明。しかし国連防災会議やグローバル企業の新製品発表会などの実績を糧に、日本が誇るお笑い文化の“バリアフリー化”に貢献していくとの意気込みを語りました。

続いて、桂文枝さんの弟子である桂三四郎さんと、吉本新喜劇の座員である伊賀健二さん、高井俊彦さん、レイチェルさん、鮫島幸恵さん、字幕用の英語翻訳を担当したお笑いタレントのチャド・マレーンさんが登壇。それぞれの自己紹介もしっかりテキスト化されており、多人数の発言にも対応していることがうかがえました。

さらに、実際の会場で落語が上演される様子をイメージしながら、司会のお笑いタレント・タケトさんが桂文枝さんからのコメントを代読。桂文枝さんをモチーフにしたパネルの左右から吹き出しが飛び出すように、読み上げられたコメントが表示されていきます。テキストを左右に振り分けることで、発言する人物の立ち位置や、せりふを発する人物の切り替わりも表現できそうです。

桂三四郎さんによる漫談のデモンストレーションでも、左右の吹き出しでテキストを表示。発表会見ではスクリーンへの投映でしたが、実際は特殊フィルムを貼ったアクリル板の上にテキストが表示されるそうです。

吉本新喜劇のデモンストレーションでは、おなじみの“新幹線”ネタを英語字幕付きで披露。せりふを発する人物によって字幕の色が切り替わるため、誰の発言なのかが分かりやすくなっています。

吉本新喜劇の英語字幕の場合は、台本のせりふをあらかじめ英語に翻訳し、せりふを発するタイミングに合わせて表示していくとのこと。NHKグローバルメディアサービスのプロデューサー・須藤竜平さんは「(公演には)平均で20人ぐらい人が出る。スピードも速いので、いろいろな位置に表示領域を持って、テンポよく出していきたい」と話しました。

文: あおきめぐみ

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